2012年11月10日土曜日

Long and Winding Road to China Democracy

#79 中国の大移民戦略――日本も警戒する時


  最近の週刊誌や月刊誌の中にはどぎつい中国叩きの特集が目につきます。ただし、私は新聞広告でタイトルを見るだけだから、詳しい内容を知りません。中には情報源が怪しい内容もあるでしょう。
  私の海外情報源と言えば、アメリカと台湾を別格にして、他は限られています。つまり、情報量が少ないのですが、それでも私の誤認があれば正してもらえます。参考までに挙げると、上海の友達、北京のアメリカテレビ局の特派員、フランスの日本人の友達、ポーランドの通信社特派員などです。韓国の知人は亡くなって情報源を失いました。
  その他は、国内の新聞とテレビの専門家による対談、インターネットの記事を参考にしています。これらはあくまで断片的な参考情報にしているだけです。
 今回も中国特集を続けます。

中国政府の大移民戦略  
 
 私は中国政府が戦略的な移民政策を推進していると読んでいる。それは国内の周辺自治国から国外にいたるまで自国民を移民させることだ。  政府は国の将来を考えて人口減らしをやってきた。世界のどの国もやったことがない「一人っ子政策」を実行した結果、どうにか横ばいを定着させた。それでも13億人の人口では国を統治できないことを政府は認識している。だからこそ国民が察知できない長期戦略で人口減らしをやっていると思う。
 いくつか例を挙げてみよう。  一つ目は、本土の東北部(旧満州)、周辺自治区の、新疆ウイグル、チベット、内モンゴルなどもともと漢民族は少数派であったが、今日では10~90%にも達し、漢民族が支配している。いずれでも独自の言語を持ちながら今では北京語が公用語になった。言語を変えることは植民地支配の基本だ。
 欧米諸国による植民地支配では、支配者民族の比率は高々10%であることと比べると中国の漢民族移住政策は異常に高い比率だ。かつてソ連によるバルト三国の支配においてもロシア人の移住は10%くらいだっただろう。  

 二つ目は、中国の外に移住が広がっていることだ。国境を接するロシアの町には大量の中国人がロシア人から農地を借りて農業労働者になっている、そして商売人も増えている。現実には中国で飯を食えない彼らは必死で働くからロシア人はかなわない。借地には不安があるだろう、と考えるのは日本人の心情で、彼らは本国の生活はもっと不安なのだ。  
 イタリアでは中小都市に4万人にも中国人移住者が増えて地場のファッション業界を脅かしている。中国人経営の雑貨店や食堂も増えるとチャイナタウンができてしまう。
 アフリカや中米の諸国にも中国政府の資金による公共施設、道路建設、鉱山開発の工事に従事する大量の中国人が移住している。中国政府は現地労働者を雇わない点で、他の国による援助事業とは大きな違いがある。どの町にも中国人の店が増え、チャイナタウンができる。こうして自国民の移住先を得ている。中国政府にとっては、資源獲得と人口減らしの一石二鳥だ。
 他方、60歳以上の高齢者がやがて2億人に達すると言われる中国で、働き手の世代を国外に流失させてよいのだろうか。

中国の膨張主義の行方
 中国政府の軍事膨張主義は世界で警戒されている。しかし、私が指摘している移民膨張主義は見落とされている。中国政府は国内統治のために「中華文化」と「中華民族」の言 葉を強調する。「中華民族」とは中国籍を持つ移民集団と居住地の国籍を持つ華僑など中国系人を合わせた言葉だろう。
 現在、本国では非漢民族を含めて13.4億人、国外の中国人が世界で7千万人の合計14億人で世界の人口70億人の20%を占める。5人に1人が中華民族だ。恐ろしいと言えば恐ろしいが、問題は国外の中華民族が増えることだ。ただし、国外の中華民族がすべて本国政府に忠誠であるとは限らない。むしろ本国の民主化に影響を与える存在になってほしいものだ。
 この民族膨張主義は周辺国に脅威だ。日本も例外ではない。 最も脅威に感じているのは台湾だろう。なにしろ言語が同じであり、移民を狙う中国人には台湾が豊かに見える。実際、台湾は豊かなのだ。 私の台湾の友人によれば、今でも10万人を超える大陸からの不法移民者が居るという。

ビザ発給規制と入国審査の強化  
 日本に住んでいる新中国人は50 万人にもなるという。失業率が高い日本でやがて中国人排斥が起きる前にこれからは中国人の入国者を厳しく規制する必要がある。中国人による犯罪も少なくない。アメリカでは不況になると外国人排斥が起きることが度々あった。
 どの国でも一般労働者の移民を認めていないし、経済的困窮は難民として扱わない。日本も規制している。
 それにしても、日本政府機関のビザ発給と入国審査は甘いように見える。おそらく審査が手薄と見られる地方空港が狙われる。港からの不法入国もある。偽の親戚照明や偽装結婚による入国者も相変わらずだ。  日本が彼らにとって夢の国ではないことを広報すべきだ。もっとも困窮の新移民者にとって夢の国など世界にはない。        (完)  


Back to TOP  

0 コメント:

編集

Back to TOP