2017年11月24日金曜日

#185 攻めてくる英語教材の広告ーー惑わされてはいけない

  どんな職場でも仕事でもリーダーになる諸君のためにこの連載を書いています。
  英語でもリーダーになるためにはそれに応じた勉強の仕方があります。テレビや新聞の広告に惑わされず、しっかりと立ち位置を意識してほしい。 
  巧みな販売戦略によって、教材「スピードラーニング」は5年以上も衰えがないのは「話せる」という意味があいまいなことです。巧みに使っています。 
 目標とする英語・英会話には高い順で下記があります。

 ① 同時通訳。英語に加えて日本語にも高いレベルが必要。
 ② 英語学・英文学研究。英語を話せた方がよいが話せなくともよい。
 ③ 海外で英語を使って仕事をする。読み・書き・話すが必要。私はこれ。
 ④ 日常会話。海外での会合やパーティーで話せる。これは意外に難しい。
 ⑤ 海外旅行・接客。高度な英会話は要らない。通じればよい。 

  さて、諸君はどれを目標にしますか?これが重要であり、目標によって勉強の仕方が違うのです。

 ◇ スピードラーニングの巧みな販売戦略  
 新聞広告やテレビのコマーシャルで最も攻勢をかけているのは、「スピードラーニング」で全国紙と地方紙に毎月2回以上も広告を出している。私が集めた10回の広告から内容別にまとめてみよう。1回分の広告からは大した影響を受けないかもしれないが、これだけ繰り返されると人は信じるように仕向けられるものだ。 
  1)英語ブームの中で人の負い目につけ込む、さらに脅しをかける。 
   「英語の日が訪れたその日あなたはどう反応するのか」 
   「英語を諦めていた人専用」 
   「英語を身につけるビッグチャンスを逃がしてはいけない」 
    「間違った英語の勉強はもうやめて」 「諦めるのは、まだ早い!」 
  2)嘘か嘘に近いもの 
     「いちいち辞書を引いたり、テキストを見ることはいらない」  
  「ただ聞くだけ、耳から覚える英会話 聞き流すだけの教材 だから誰でも簡単」 
  「英語のために時間を用意することなど全く必要なし!」 
  「えっ、気がついたら自分の口から英語が出てきた」 
  「『スピードラーニング』なら時間もお金も無駄にしない!」
   「暗記じゃないなら私にだってできる」   「音楽を聞くように好きな時間にCDを聞き流す」         「暗記・文法も不要」  
  「中学・高等学校で採用」 「勉強していないのに英語が話せた!」  
  「驚きの効果を上げた」  
  「外国人アナウンサーの話す英語が分かったわ!」  
  「洋画が字幕なしで分かった」  
  「英語教師が驚いた」  
  「世界中どこでも通じるきれいな英語」  
  「無理しない、飽きたらやめる、文字に頼るのを一切やめたら英語が口をついて出た」
   「海外旅行先で買い物、観光が楽しめる英語が身につきます」 
 3)学校英語の教育と子供に有害 
   「机に向かって英語の勉強一切しない」 
  「単語は覚えない」
   「教科書英語ではない自然な英語」 
  「英語を勉強する時代は終わった」
   「今までの英語をぜんぶ忘れて赤ちゃんに戻って!」  
 4)罪づくりなこと  
 「東大医学部卒、医学博士も絶賛!!受講者の発音がキレイとほめられるは収録されているきれいな発音を聞こえたままインプットしているからです」   →東大卒、医学部、教授の肩書きに人は魅かれる。サプリのコマーシャルでも同じ手口が使われている。こういう教授は恥ずかしいと思わないのか。   
 ゴルフの石川選手「恥ずかしいほど英語が話せなかった僕も1年で英語のインタビューに答えられるようになりました」。 →彼の発音も文章も正確で多分個人レッスンを受けた。アメリカで生活しているから環境に恵まれている。  
5)私のアドバイス
 諸君も子供さんたちにもあせらずに学校の英語に集中すること。
  無駄と思っても無駄の積み重ねが何事にも成就のために必要なこと。 
 文法と言っても構えてすべて勉強する必要はなく、とりあえず仮定法、関係代名詞・関係副詞、不定詞を一つずつ理解すれば表現か広がること。大したことない。知っているか知らないかは大違い。英語は学問じゃないから、何歳からでもどこからでも学べる。 
 鳥飼玖美子氏の近刊『本物の英語力』(講談社)を読んでみるとよい。本物の英語を教えてもらえる。彼女は同時通訳者から立教大学の教授になった人で、英語を長年実務で使ってきたことが強み。  
 私も30年前、名優オーソン・ウエルズが朗読する教材など聞くだけで英語を話せるという本があふれた時代に、読み書き文法の大切さを説いた本『意欲派のビジネス』(産能大出版部)が刊行された。売り上げが心配されたが、編集者の英断に助けられた。会社や教育界で買われ、よく売れた。図書館に置かれている。 
  最近、人から問われてアドバイスしたことであるが、旅行会話程度ならこんな高い教材は金と時間がある年寄りに買わせればよいのです。聞くところによると、初回15000円、45巻の一つずつ毎月5500円で計25万円の出費になるとか。初回でやめたとしても、版元は充分利益を挙げています。なかなか巧み。 本屋でCDつきの本が千円も出せば買えます。 

これは「個人の感想です」                   (完)

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2017年11月11日土曜日

#184 新高岡に停まる新幹線「かがやき」が週末だけにーー富山篇③

   12月から新幹線特急「かがやき」が新高岡に停車する一日一本が週末だけに減便されることになりました。高岡の官民は反対しています。  
 考えるに、新高岡には毎日1時間毎に10本の各駅停車の「はくたか」があるのに、なぜ「かがやき」にこだわるのか分かりません。「はくたか」は高岡東京間で30分しか違わないのです。
  私は「かがやき」より、名古屋からの「しらさぎ」と大阪からの「サンダーバードを金沢から富山に延長運転する方が地域経済にも観光にも効果があると思います。高岡の官民が運動してきたノウハウを富山の官民に教えてほしい。
 富山県民の若者諸君、運動を起こしませんか。  
 今回、私がかつて会員であった大学の関西同窓会会誌に寄稿した小論を転載して参考に供します。  

    ―――――――――――――――――――――――――――――――

   「大阪から富山が遠くなった」  2016年6月 

 早いもので今年6月に富山移住4年になりました。病気知らずだった私はどういうわけか富山に来てから、前立腺癌、脊柱管狭窄症、右目の白内障・緑内障、心筋梗塞(この賑々しさ!)が健康診断で見つかり、手術を受けました。いずれも治癒し、残るは狭窄症によって弱った脚力を取り戻すためにリハビリを継続中。現在はまあまあ元気、この間墓参りに京都まで日帰りしただけで、もっぱら県内か県境をうろちょろしています。

 (中略)

 JR西日本が大阪からの特急サンダバードをすべて金沢止めにしたことについて書きます。
  もともと登山やビジネス目的を除けば、一般の関西人には富山は馴染みが薄いようです。茨木を離れる前に、2回の送別会に招かれた時、富山についてこんな会話がありました。

   「富山には出張を除いて観光には行ったことがないな」
  「北陸に観光に行ったことがあるが、金沢までで富山には行かなかった」
    「金沢から先の富山までの距離感が分からない」
    「魚を食べに氷見に行ったが、金沢から乗り換えたので富山には行かなかった」

 金沢と富山の距離は、京都神戸間より近いのですが、こういう認識があまりされていないようです。 昨年3月、東京と金沢を結ぶ北陸新幹線が開通し、その結果、富山と東京間はわずか2時間8分で結ばれるようになりました。富山には大きな経済効果がもたらせましたが、反面、かつて大阪、名古屋、富山の経済圏、すなわち50年前に言われていた「三角経済圏」が事実上壊されました。 というのは、大阪発で富山行きの特急「サンダーバード」と名古屋からの「しらさぎ」がすべて金沢止まりになったからです。長い目で見れば、富山経済にはじわじわとダメジが出てくると思います。
 さて、皆さんが富山に来られるとすると、サンダーバードで金沢に着くと、新幹線の金沢富山間のシャトル便である「つるぎ」に乗り換えしなくてはなりません。わずか20分の乗車です。
 昨年、富山に来てスピーチをしたJR西の社長はメリットとして、「大阪から富山まで5分早くなった」と言いました。彼には乗り換えの不便と運賃が高くなったことへの利用者が被る不利に対して配慮する感性がないようです。 少々の赤字路線を合わせて全体で黒字経営することが、公益性もある鉄道事業のあり方であると思うのですが、皆さんはどう考えられますか。
 私は、せめて朝夕1往復のサンダーバートとしらさぎの直行運転を願っていますが、経済が潤っている今、市民の反応は弱い。JR西によれば、JRの在来線が「IR石川鉄道」と「あいの風とやま鉄道」になって2社にレール使用料を払わなくてはならないからだそうです。
  終わりに、富山と金沢について、私は「生活の富山、「観光の金沢」と提唱しています。 皆さんが両市を訪ねてみられると分かることですが、金沢駅に降りると構内は観光客があふれ、巨大な赤門のあたりにはバスとタクシーで大混雑しています。いかにも大観光地の賑わいがあります。戦災に遭わなかったので、城下町そのままの道路です。
  他方、富山駅前は比較的静かなもので、駅舎も平凡です。しかし、他市への旅から帰るとすっきりしていて安らぎを覚えます。 戦後焼野原になったせいで、都市計画に基づいて車道も、歩道も広く、歩道は歩行者と自転車走行者に仕切られています。どの道も街路樹が美しい。雪が積もっても行政と個人が融雪装置を設けて水を流します。茨木では車を運転しなかった家内もここではよく運転します。
  富山市は今コンパクトシティと呼んで、公共施設やマンションを中心部に集める政策を推進しています。アメリカの都市と同じ構想です。かつてどの市でも進めた郊外のニュウタウンで広がったドーナッツ化の見直しと言えるでしょう。 中心部にはライトレールを含めて3本の市内電車が走っています。最新型のライトレールや新旧の車両が走る市電は全国の鉄道ファンに人気があります。
 皆さんが富山の観光と言うと、立山、アルペンルート、五箇山、宇奈月温泉の有名観光地を思うでしょう。しかし、いずれも富山市ではありません。ただ9月1~3日に毎年行われる八尾のおわら風の盆の時には、市内に観光バスがあふれ、数多いホテルが満室になります。八尾は富山市です。  富山経済では観光は第二で、第一は農工漁業が一体の経済が強いことです。世界の先進国は、そして日本も農業が強いので、富山はそのミニチュア版でしょうか。 富山には大企業のほかに中小企業の集積がありますが、必ずしも薬業だけではありません。技術開発力もあります。例を挙げると、農業用水を利用した小水力発電は世界最先端を行っています。これを開発した中小企業は30ヶ所に設置し、インドネシアの農村へ輸出しようとしています。IT産業も盛んで、高層ビルに本社を置くインテックは全国でトップレベルのIT企業です。その他にもIT企業の裾野があります。 
 5月15,16日にG7環境相会議が国際会議場で開催されました。市電の中で観光客から「富山は美しく街路の花を準備しましたね」と言われました。私は「特別ではなく、花が街路に飾られるのは例年のことですよ」と内心得意に応えました。
  富山市41万人、金沢市46万人の人口は10年の間に逆転すると私は予測しています。
  富山には漁港が16もあり、朝水揚げされた魚が豊富で美味いと言われます。スーパーでも魚屋でも朝獲りたての魚を買えます。 東京から来る芸能人は、口を合わせたように富山の魚は美味いと言い、市民もまともに受けているようです。私の体験では寿司屋や料亭では金沢でも東京でも魚は新鮮で美味しいのです。繰り返しますが、富山では新鮮な旬の魚を誰でも買えることが生活の利点なのです。
 これまで書いてきたように、富山は薬と魚だけではないことをお分かりになったと思います。 是非とも有志のグループで富山に来てください。  (完)               

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2017年11月4日土曜日

#183 北朝鮮の行方と難民問題ーーヨーロッパの極右政党

  今、ヨーロッパの各国で極右政党が国会の議席を得て台頭しています。彼らの共通点は大量の移民が流入して社会の混乱を招いていることへの反発です。 
 さて、日本では極右政党が出てこないのはなぜでしょうか?
 一つは移民や難民の大量流入がないからでしょう。これからはどうなるのでしょうか。 
 諸君の時代には北朝鮮からの難民の問題が起きます。どう考えますか? 

北朝鮮はどうなるか 
 私は年来ビジネスでも政治でも一つの問題について戦略を考えることが好きだった。今も変わらない。
  今朝、朝鮮半島の地図を見ていて戦略的に思考をめぐらせた。 
  先ず動かせない事実は、金委員長が交渉に乗ろうと乗るまいと核とミサイルを放棄することはないということだ。もし放棄すれば彼は地位を失い、体制が崩壊するからだ。 アメリカを敵国として煽り、国民をあざむいている。交渉か圧力かという議論はむなしい。 
 アメリカは表向きでは外交的解決を語る間に、北朝鮮のあらゆる情報を集めて攻撃の準備を進めてきた。今や準備は整ったと思う。 
 アメリカ軍は先ず国境近くに配備されている北朝鮮長距離砲部隊を、素早く戦闘機と爆撃機で絨毯爆撃する。その間に、海上から空母と駆逐艦からミサイルのトマホークで北朝鮮の核基地とミサイル基地を破壊する。さらに首都周辺の基地を攻撃する。
  これでソウルの被害を最小にできる。我々は北朝鮮による「ソウルを火の海にする」という脅しをまともに受けてきたと思う。 
 首都ピョンヤンの市民と軍人はアメリカの脅威について完全に洗脳されているかもしれないが、疑いを持っている北部の市民と軍人は大挙して中国に逃げるだろう。 北朝鮮の体制が崩壊した後は中国に統治させる。アメリカは関与しないだろう。もともと北朝鮮には関わりがなかったのだから。
  こんなことは外野席の私よりアメリカの軍事プロには分かっているだろう。 
 そして中国政府は望まないかもしれないが、彼らは38度線を守る必要があるから他に選択がない。中国式の一党独裁政治が持ち込まれる。選挙により指導者を選ぶ先進国流の民主主義が混乱を招くことに比べれば、独裁がまだましだ。国連の委任統治も成功しないだろう。北朝鮮の核が除かれるなら世界も支持するはずだ。

 ◇ アメリカの軍隊と軍需産業 
 世論ではアメリカの攻撃はあまり支持されていないようだが、いつものことながら、軍事産業からの圧力がある。湾岸戦争からイラク攻撃までそうだった。 
 町の友達数人は、アメリカの軍隊は一定期間に戦争をしないと組織がもたないのだと言っていた。映画の話だからどこまで信用できるか分からないが、ベトナム戦争を主導したジョンソン大統領が、「きみたちに戦争をやるから、私の選挙を支援しろ」というシーンがあった。軍事産業も戦争なしではもたないのだろう。  今、アメリカの軍隊も軍事産業も金委員長の次の一手できっかけを待っている。

 ◇ 北朝鮮からの難民 
 北朝鮮が崩壊すれば中国や韓国に難民が押し寄せる。在日朝鮮人の組織がある日本にも海路来るだろう。彼らは命がけなのだから日本海の荒波など恐れない。 人口2500万人の国から一割が来ても25万人。現在北朝鮮系の在日は約30万人と言われるから、これと比較しても新規の北朝鮮難民に日本政府が対応することは難しい。
  もっとも、ヨーロッパには100万人を超える難民がアフリカから流入していることに比べれば大したことないという意見があるかもしれないが、今は年に30人くらいの難民認定をしていないから、大変なことだ。 
 さて、世論はどう動くか? ◇ 日本の極右勢力 今は自民党の一強体制だから、右翼が活躍する状況ではない。しかし、今の自民党は田中元首相が言ったように総合商社化しており、政策が広がり過ぎている。世論に迎合して本来の国益を重視する保守党ではなくなろうとしている。
 無理に膨らませた風船はいずれ萎むものだ。 
 そこで、大量の難民が押し寄せた時、内外の世論によって人道主義の高まりに対して論理的に対応できるかどうか。その時の批判に耐えられるか。自民党が腰くだけになり、 旧来の左派の人道主義者が勢いづくと右翼が台頭する隙を与えることになろう。 
 我々年寄り世代が生きている間に難民の国難が起きるか、起きても眺めて過ごすだけで力にはなれない。
  さて、諸君は「情」に流されず、冷静に「理」につけるか?          (完)  

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