2009年11月30日月曜日

#19 大阪市開発と二重ブランド

 先日、家内と長谷寺にお参りも兼ねて紅葉見物に行ってきました。
 私は大阪南部の鉄道をよく知らないので、往きは近鉄大阪線、帰りは橿原神宮駅から南大阪線で阿倍野橋駅に出て一周してきました。南大阪線は初めて乗ります。JR天王寺駅は天王寺区、道路一つを隔てて阿倍野橋駅は阿倍野区に属しています。
 今回はここから発想を得て、二重ブランドについて書きます。大阪の地方問題でありますが、全国の読者にも大阪について知ってもらう機会になるとよろしいですね。


天王寺と阿倍野
◇ 大阪市には現在梅田北ヤード、南港・咲島・夢島など巨大開発プロジェクトが計画されている。阿倍野地区開発も建設中の近鉄百貨店の高層ビルを中心に再開発が進められる。
  さて、天王寺と阿倍野とはどこなのか?東京でもどこでも府外の人たちにはどっちがどっちなのかまったく知られていない。それどころか、私も含めて大阪の住人にも区別がつかない人は少なくないだろう。
  

 歴史を紐解いてみると、1889(明治22)年に天王寺村と阿倍野村が合併 されている。現在は天王寺区の南隣が阿倍野区で、このためJRと近鉄の駅名が別になっている。天王寺と阿倍野、これは天王寺地区とも阿倍野地区とも総称して呼ばれないことが現実にある。ビジネスで言えば、二重ブランドになっているのだ。

  地元経済界は知名度を上げるキャンペーンを進めると言っているが、現状の二重ブランドではどうにもならない。市外では天王寺の方が知名度が高い。もう一度天王寺区と阿倍野区が合併して天王寺区に統一すると良いが、改革を論理で考えない阿倍野区住民が感情的に反発するだろう。もう一つの問題は、天王寺区も阿倍野区も南北に長い行政区になっており、このまま合併するより、隣接する浪速区も含めて行政区域の線引き変更が良いと思う。従来のしがらみを超えて、次世代のため、大阪市100年の計のために統一ブランドをつくってほしい。

  松下電器が歴史ある社名を捨てて、ブランドのパナソニックに社名変更したことに驚いた。社名をブランドに統一することは時代の流れであるにせよ、本当に大胆な決断だった。天王寺を名実ともに「東京の新宿」に匹敵する地位を確立するために、大阪市も決断できないはずがない。

そもそも天王寺の地名は四天王寺から由来している。
  四天王寺は聖徳太子により593年に創建され、日本最古の寺の一つで立派な伽藍配置は他のモデルになってきた。後に天台宗派になったが、現在は和宗と称して独立している。

  寺町になっている周辺を緑化などで一体化すれば魅力が増すだろう。寺と言 えば京都とされるが、大阪駅から地下鉄谷町線か環状線で便利に行けるから、四天王寺にも全国の皆さんが訪ねてほしい。

 因みに、比叡山延暦寺は789年、高野山金剛峯寺は816年に創建された。

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2009年11月18日水曜日

#18 3K、嫌な上司、低賃金からも教訓

 失業率の上昇がまだ止まらない。自民党政権の時から雇用創出の政策を打ち出し、民主党政権も重要施策として取り組んでいます。しかし、施策の効果が出てくるまでは時間がかかります。そこで、もし皆さんの中で失業されている人がいる、あるいは友達にいるのであれば、「今は何が何でも生き残る」ためにアドバイスしてみたいと思います。
 滞米中の話でありますが、大不況だった80年代に困窮した男女二人の若者が身近にいました。彼らは親、かつての先生、牧師の誰にも相談に行かず、友達に相談していました。彼らには友達以外は他人と思っていますから、私は相談を受けた友達に間接的にアドバイスしたことがあります。
 友達は重要な存在なのです。その友達というのは、優等生タイプであるより、困難を分かち合える仲間の方がよいのです。


3K、嫌な上司、低賃金から教訓を学ぶ
人材派遣法。世の中には不公平と不公正が満ち満ちている。諸君は腹を立てているだろう。しかし、腹を立てていても始まらない。
 例えば、人材派遣からの仕事は低賃金の上に、いつ首を切られるか分からないという不安定さがある労働条件の悪化を招いている。急に世間が批判する対象になり、メディアも大きく取り上げたことから、民主党が選挙に勝った一つの要因になった。しかし、人材派遣業法の制定は1985年のことで古い。それがあたかも小泉政権の構造改革のせいにされるのは、小泉政権が2004年に法改正を行い、期間を1年から3年に延長し、対象業種を製造業に広げたことによる。
 民主党は製造業を外す法改正を提案しているが、これには功罪両面がある。
 なぜなら、将来は改めるべきであるが、今の時期には雇う側の雇用にブレーキがかかって失業を増やすことになるからだ。海外では失業を増やさないことと国際競争力を維持するためにドイツが人材派遣を認め、フランスは学生を中心として労働条件の悪化に反対して大デモによって中止に追い込んだ。当然フランスでは若者の失業率が20%を超えると伝えられた。日本はドイツ型を選んだのである。
 
バカに徹せよ。今は我慢の時だ。何が何でも生き残るために、汚い、きつい、危険の3Kであれ、仕事を取る。職場でバカになって守ってほしい心がけをいくつか挙げてみよう。

1)守備範囲に徹して黙々とベストを尽くし、他人のことに口出ししないこと。
2)自分ならこうする、という改革案はメモに取り、周囲に話しないこと。
3)嫌な上司からは反面教師として学ぶこと。
4)辛い仕事を取らざるを得なかったことは実力が及ばないからではなく、不運と考えること。
5)苦手と思っていても、仲間をつくり世間話を交わすこと。

 バカになるとは、たとえ嫌な仕事であれ、くそ真面目にベストを尽くすことを意味する。他人と比較して短期の損得の考えを捨てることでもある。私は嫌な仕事としてやっているわけではないにしても、この「若者塾」を書くのもしんどいが、いつかは若者にメッセージが届くと信じてバカに徹している。


体力を鍛えよ。将来に備えて何か一つ希望する業種について専門の勉強をひそかにすることも大切であるが、その前に先ず体力を強化してほしい。
 台湾や韓国と違い、日本には徴兵制がない。これらの国では、若者が等しく早起き、バランスが取れた食事、規律が厳しい生活を体験できる。健康意識も高められる。
 私は徴兵制を提案する考えは持たないが、自衛隊、消防、警察、海上保安庁など訓練施設を持つ公的機関が半年くらいの若者訓練コースを設けることを提案している。国民の安全を守るために、厳しい訓練を受けている隊員を身近に見れば、共感を持つことになるだろう。私の友達は、ここでも挫折したらさらに自信を失わせる恐れがあると言う。そのために訓練内容はいくらか緩和してほしい。わけがわからない特殊法人が能力開発の職業訓練をしているが、こんなものに予算を使うより、上記の訓練コースに予算を使う方が生き金になる。

 最近、テレビのドキュメンタリー番組で、若い男の精液が少なくなり、若い女の血液が薄くなっていることを伝えた。どのくらい広がりがあるのかわからないが、こういう男女が親になることは危ないことだ。仕事どころではない。

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2009年11月1日日曜日

#17 全国紙、最後の護送船団か

 10月15日からは「新聞週間」、27日は「活字の日」でした。
 今回は、新聞をめぐる話を書きます。私のような古い世代には、朝起きて新聞を広げる楽しみは生活に欠かせないのですが、若い世代は新聞を読まなくなったと言われます。購読数が減ると広告収入も減るので全国紙はどれもが赤字経営に陥っています。中には累積赤字をかかえている新聞社もあります。経営危機になっているのです。
  
 さらに最近相次いで有力な月刊誌も休廃刊になりました。オビニオン誌とか評論誌と呼ばれる『諸君!』(文芸春秋)、『月刊現代』(講談社)、『論座』(朝日新聞)がそれです。購読者が減る、広告収入も下がることによって雑誌事業の採算が取れなくなり、全体の経営見直しからリストラされてしまいました。
 
 全国紙も月刊誌も若い世代が読まなくなったことが衰退を招いた一つの要因でしょう。諸君たちはこのままでよいと思うのか?
 考えてみましょう。
 
  
   なぜ5社体制は変わらないか


☆ 日本には朝日、産経、毎日、読売の全国紙が四つあり、日経を加えると全国紙5社体制になっている。アメリカ、台湾、韓国の各国では全国紙が五つも共存していることはない。戦後このかた変わりなく5社体制が続いてきたのは、各社のカルテルまがいの協調に支えられてきたからだ。政府も競争制限を許してきた。全国紙は最後の護送船団だ。
 この新聞5社体制は、さらに悪いことに、民報キー局によるテレビの5社体制を維持してきた。もともと5社はテレビの創生期に全国紙新聞社が資本と人材を出して設立したか、1社は独立系テレビ局を新聞社が買収したからだ。今は新聞社の持つテレビ局の持ち株は少数になっているが、各局ともがっちりと各新聞の系列であることには変わりがない。
 見かけの競争があるようで、競争がない実態は温存されてきた。芸人、タレント、識者が出演するバラエティショウがどのテレビにもあふれ、どの時間帯にも料理番組が幅を利かせている現状はいつまでも続かない。その上、テレビ局の平均給料は大企業のそれよりも5割も高い。テレビはインターネットのコンテンツが増えている今、早晩経営危機に陥るだろう。

 私は諸君たちの時代には全国紙5社体制が合併により3社くらいに再編されると予測している。奇妙な組み合わせであるが、読売、朝日、日経が業務提 掲を進めている。
 諸君の参考のために、業界が護送船団であるかどうかを識別するには三つの共通項を挙げよう。①合併がない、②倒産企業がない、③外資が入っていない


若者諸君、どうか活字を読んでほしい
 テレビや携帯コンテンツを見るだけでは、論理的思考力をつけられない。 私がかつて講師をしていた大学の学生たちの多くは新聞を購読していないが、それでも大学に来て新聞を読む。床屋や医院では、全国紙を置かず、スポーツ紙だけのところがある。また、週刊誌だけで月刊誌が消えた。
 よく指摘されているように、テレビの日本語の乱れはひどい。これに対して、日本文化の基礎である正しい日本語を活字メディアが守っている。
 次世代のために、諸君が新聞と月刊誌を支えてもらいたい。

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