2012年2月24日金曜日

ネット月刊誌『言論大阪』#22、2月、2012  維新の会は保守本流かーー国政進出の狙い

橋下市長が坂本竜馬の国政政策にならって「船中八策」という維新の会が国政進出するための政策目標を発表しました。実現できるはずがない、と国会議員たちから批判を受けていますが、彼は当然予想したことで、今、実現の可否はどうでもよいことでしょう。
 大阪市職員は市長就任以来これだけ締め付けされているにも関わらず、まだ自ら姿勢を改めることができず、綱紀の緩みが根深いことを示しています。橋下市長には国政も大阪市政の延長線上に見えているに違いありません。
 その国政では本来保守党である自民党が、『若者塾#65』で書いた保守になりきれない。選挙目当ての大衆迎合に流され、解散ばかり叫ぶざま。橋下市長は維新の会を保守本流政党に育てることが目標かもしれない。
  
 ここでは、府・市政の具体的案件を挙げて、私の考えを述べることにします。

市職員の選挙違反を追及 
 幹部以下の全職員を対象に選挙活動に加わったかどうかを尋ねるアンケート調査を実施したが、労働委員会の要請を受けて橋下市長は中途で取り下げた。主犯の幹部はすでに退職したから、開封したところでみんな「加わらなかった」と回答しているだろう。
 さらに、選挙前と選挙期間中に交わされた内部のメールを調査している。処罰の対象になる違反者が出るかもしれない。
 市長は組合事務所を市庁舎から退去を求める命令を出している。
 いずれ一歩譲って落とし所を見つけることで矛をおさめる計算をしているだろう。完全実施を見送っても職員の規律引き締めと組合対策として充分な効果があったからだ。
 他人事ではない。どの市においても、現職支持のために職員が票固めをしたり、選挙事務所で手伝いをしていることは常態だ。こちらにも橋下市長のパンチが利くことを願いたい。

府庁舎のWTCへの移転 
 松井知事が条例を通さずに職員全体をWTCに移す決意を固めた。姑息な手段だと他党から批判されているが、このまま実行するだろう。過半数を制している議会では条例を通すこともできるが、実行が先延ばしになる。
 府庁舎のWTC移転は橋下前知事が実行するところだったが、東日本大震災の時に壁の一部が落ちたことで、耐震性を疑問視されて一旦中止していた。
 WTCの耐震強度と液状化対策が足りないと学者が見解を出してから騒ぎになったのであるが、その見解には不合理があると私は考える。
 第一に、淡路神戸大震災が起きた時、WTCは完成間際で内装工事をやっていた。この時には特に被害はほとんどなかった。液状化についても報道もされなかった。それが東日本震災では大阪は震度1だった。私は神戸震災時の目立たないひび割れが東日本震災の揺れで外に出たのだと思う。
 第二に、メディアが一方的に学者の見解を報道し、建設当事者の見解を確認しないことは片手落ちだ。設計は日本のトップレベルである日建設計、施行は一流のゼネコン共同体が担当した。彼らに見解を訊きたい。
 人は実務経験もない学者の言うことを信じるから危ない。
  
  耐震強度は充分なのか?
  長周期地震に対しても液状化対策が設計で考慮されているか?
  補強が要るにしても、何十億円と言われるような大工事が必要なのか?

終わりに、埋め立て地である東京の豊洲には何棟もの高層ビルが建っている。液状化対策に関してこれらとWTCの設計・施行に違いがあるのかどうか。物言いをつけた学者と、建築当事者に見解を求めたい。

近代美術館を今の府庁舎につくる 
 松井知事は大阪市が予定している近代美術館を府庁舎につくることを提案した。彼はWTCの強度について確証を得ているのだろう。
 私は本稿の中で近代美術館を天王寺公園内に建設することを提唱してきたが、府庁舎利用については中之島の立地よりは良いことを評価する。予算も補強費と改装費で済む。
 何よりもWTCが生きる。
 また、つい先日、松井知事と橋下市長が共同で、中之島図書館を美術館にするという構想が発表された。近代美術館とは同じなのか、別構想なのかまだ分からない。

堺市長が大阪都構想に反対 
 「堺市は政令都市のままで発展させる」として大阪都には加わらないことを発表した。
 私の読みでは、これは選挙戦略かもしれない。つまり、一旦反対表示をしたことで次期市長選のために堺市民の票を得ようとしたのではないか。
 私は狭い大阪府をいじくり回してもたいした改革はできないと考えており、堺市が周辺都市とともに「大大阪市」、府は奈良県と和歌山県と合併して「関西県」をつくることを提唱している。

市長選投票率、やったぜ、大阪の若者諸君 
 本稿#20で投票率を押し上げたのは若者世代だと書いたが、友達から根拠がなく推測に基づいていると指摘された。その通りだった。
 先日、大阪市選挙管理委員会の発表を新聞が伝えた。これによると、「30代が20.8ポイント増の52.8%、20代は37.5%、世代全体で17ポイントアップしていた」と。まぎれもなく若者世代が動いて橋下候補補を当選させ、次世代が自分たちの市長を選んだのだ。(完)

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2012年2月15日水曜日

#65 「バカになれ」とはーースティーブ・ジョブズも言っていた

私が「バカになれ」と最初に言われたのは、もう半世紀も前に大学野球部のコーチからでした。入学間もなく、コーチからスリークオーターのフォームをアンダースローに変えることを勧められ、納得できないまま練習をしていました。バッティングピッチャーとしてもコントロールの良さを打者から評価されていましたから、縦横の変化球のコントロールに自信を持っていました。しかし、コーチはオーバースローの速球投手の後に登板する救援投手を求めていたのです。こういう時にコーチは「バカになれ」と言ったのです。
 つまり、「バカになれ」というのは、迷いを捨ててひたすらアンダースローに取り組めと示唆したのです。163センチの短身の不利がなく、効果てきめんでした。威力が増し、入部してから一ヶ月も経たない春のシーズンから登板して実績を出せました。これでも北海道のノンプロとの交歓試合では打たれなかったのですよ。
 その後社会人になってから望まない仕事に就いても、バカに徹してベストを尽くしました。今も時に『若者塾』の執筆に意欲が減退してもバカを続けています。私は筋金入りのバカだと自覚しています。
 アップル社の創立者で昨年亡くなったスティーブ・ジョブズが、“Stay hungry, stay foolish”と言っていたことを知りました。彼も「バカになれ」と言っていたのですね。

◇ 求職は嫌な仕事から選んでみよう 
 新聞の求人広告が紙面の全面に出ている。
 諸君の中には見ている人がいるだろう。そこで取りたくない仕事を五つ挙げてみよう。さらにその中からもっとも取りたくない仕事を選ぶ。この仕事でベストを尽くすことにより、「バカになれ」の極意を得られるはずだ。
 本稿#18「馬鹿に徹せよ」の中で、新しい職場に入った時の心得を下記のように挙げている。参考にしてほしい。(注。その後本当の馬鹿と区別するために、前向きの意味を含む方はバカと変えた)

 1)守備範囲に徹して黙々とベストを尽くし、他人のことに口出ししないこと。
 2)自分ならこうする、という改革案はメモに取り、周囲に話しないこと。
   追記。改革の考えを上司から訊かれたら一つだけ述べること。
 3)嫌な上司からは反面教師として学ぶこと。
 4)辛い仕事を取らざるを得なかったことは実力が及ばないからではなく、不運と考えること。
 5)会話を苦手と思っていても、仲間をつくり世間話を交わすこと。

◇ 10人に1人のリーダー 
 先月に『言論大阪#21』で武士道について書いた。異論も持たれるかもしれないが、要するに、いろいろある武士道の中で自己規制のかなめにしてほしいことだ。
 諸君がどんな職場で働いていようが、10人に1人でいい、リーダー意識をひそかに持ち、静かにリーダーの資質を磨いてほしい。つまり、10人に1人が武士になれば諸君が社会の改革に自ずと反映するということだ。
 私は何度か武士だと言われ、外観にも出ていると指摘されたことがある。もし外観に、例えば、偉ぶっていると見られるなら不徳のいたすところ。私が言う武士道はあくまで5Dによって自己を律するための糧にしている。

◇ 右派と左派のイデオロギー対立の時代は終わった、
 得意の堅い話を一つ。
 右派を右翼と言うと国粋主義、左派を左翼と言うと社会主義というイデオロギー(政治思想)の対立が終わった。元左翼を含む民主党が政権を取ったことで、民主党政権は国政を担う現実に直面した。これで民主党政権に変わった意義がある。
 諸君にも、おそらく多くの人にも、分かりにくいことかもしれない。それでは今の対立、というより違いは何なのか?
 今は保守とリベラルの対立の時代になっている。リベラルなんて一体何なのか?
 そこで、私なりに内政について一つの参考に供したい。

   保守――国益、伝統、社会の紀律を重視する。経済政策を重視、大企業
         優先は否定できない。弊害は官僚支配になりやすく、
         官僚の中に公僕の使命を軽んじ、市民に顔を向けない
         「宮僕」を生む。

   リベラル――個人益重視、紀律に緩やか、社会福祉政策を重視、弱者
        支援。弊害は社会全体が緩み、リベラルの中の少数ツッ
        パリ派が跋扈する。

 時代を振り返ると、自民党が国民政党と称して国粋派から左派までを含むことで長期政権を維持し、そのために責任ある野党の成長を阻んできた。
 さて、私は何派か?私は無党派ではなく、時代によってリベラル派と保守派の間で政権支持を変える転党派だ。次世代の諸君はどう考えるか? 
                                   (完)

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2012年2月6日月曜日

#64 金を少しでも貯めようーー自己規制の挑戦

一月にはやっとのことで『言論大阪』を一つ書いただけで『若者塾』を書けませんでした。苦しい正月の出だしだったのです。
 現在、経済小説を書いているのですが、これから10年生かされる間に二つ書く経済小説の一作目です。パソコンに向かうと頭が痛くなったり、眠くなったりして執筆拒絶症にかかっています。以前にも経験したことで、作家は「ブレーキがかかる」、「ペンが折れる」とも言っています。風邪を引いたせいもありますが、それよりもうまく表現できないのです。昔風に言えば、書いた原稿のできが不満足で、原稿用紙を丸めて捨てるような状態です。
 丸1ヶ月間、読書三昧に逃げ、蔵書処分の意図もあって手持ちの古い本を読みふけっていました。読みさしや読んでいない本が何冊もありました。昔、定期試験が近付くと、いらいらして読書したことを思い出しました。
 会社の仕事でも気力が減退するスランプを何度も経験しました。こういう時、仕事がたまっても一時休養するか、それでも自分を駆り立ててもがくかの選択がありますが、私はもがくタイプでした。諸君にも好不調の波があるはずで、どちらのタイプでしょうか。
 閲覧数も減りました。「堅い」、「長い」の意見、「もっと辛口で書け」、「もっと自分のことや体験を書け」という要望に応えられなかったせいでしょう。顧客の要望を満たせない商品が市場から受け入れられないことと同じことです。
 今年は要望に応えることと、もっと若者諸君に直接役に立つような内容にすることを肝に銘じます。月刊誌の論文調と言われる文から脱皮、品位がないときつい批判を受ける覚悟でやりますよ。

◇ 超緊縮で知恵を出すことは面白い 
 諸君は私が老後に悠々自適の生活をしていると思っているかもしれない。ところが、完全年金生活に入っていつも小遣いに不自由している。今では講演料もわずか、執筆も金にならない名ばかりの作家生活。昨年からは引越し資金をつくるために、我が家は超緊縮財政を実行している。家内の事業仕分けにより、文化費ゼロ、本代ゼロ、間食費ゼロ、交際費は最少、旅行は年一回、葬儀や法事があった場合は旅行なし。
 さらに、事業仕分け屋は外食を含めて食費を圧縮するとのこと。私はもともと大学と会社の寮生活のお陰で粗食志向だからno problem ! それどころか、アメリカ時代にビジネス会食で美食をしていたせいか、帰国直後の健診で脂肪肝、コレステロール、高血圧(軽度)、中性脂肪過多、大腸ポリープの5種目に引っかかった。ポリープ切除以外は薬と雑食だけで2年くらいで全快した。
 今年は私の携帯電話をもっとも簡便で安いものに変えられる。私はすべてパソコンに集中しているから、多機能のスマホは要らない。no problem !。通信費も安くなる。
 この半年の倹約強化生活で気がついたことがある。それは、始めの不満から我慢の苦痛に変わり、今は面白いという風に気分が変わってきたこと。そう、諸君、倹約の限界を追及することはなかなか面白いよ。

◇ 金を全力で貯めよう
 諸君の中で困窮しているか、失業中なら、「気楽な年寄りが何を言うか」と叱られるかもしれない。それでも、倹約の限界を求め、1円でも貯めることを求めたい。今はそんな時。金を貯めることで自己規制を鍛練してほしい。
 健康管理も大事。昔、学生寮に生活していた時、倹約を極めていた後輩のM君がいた。彼は貧しい家庭の出身、奨学金二つをもらう医学部生だった。ある夜、彼の部屋をのぞくと、安く手に入れたキャベツ、人参、きゅうりをそのままかじっていた。彼曰く、「腹に入れば栄養に変わりない」と。学寮食では野菜が不足するから、これが彼の健康管理策だった。私はここまで徹しられなかったが、いつも空腹をしのぐために、学生食堂で昼食を取る時には、「ライスカレーライス」を得意技にしていた。つまり、安いライスカレーに追加のライスを取り、一人前のカレーを二つのライスにうまく均等に配分した。
 今、貯金箱に入ってきた500円玉を貯めている。一年に7,8万円が貯まる。
 自己規制は生涯の財産だ。困難な時こそ自己規制を試す機会になり、知恵を呼ぶ。

◇ 消費税が8%に上がる 
 諸君には痛いことかもしれないが、まだ先の話だから苛々することはない。
 70歳以上の医療費負担を20%に上げることが先送りされて残念。これで2790億円の老人医療予算を削れなかった。若者のために浮いた分を使えばよいと思っていたから。週に2回狭窄症の痛みが残るのでリハビリに通っていたが、約30分の機械治療がたったの120円(1200円の間違いではない)、医師の診断を受けても340円、いつも年寄りの客でいっぱい。これじゃ国の医療予算が持ちこたえられるわけがない。
 前回、消費税が5%に上げられる時には反対で大騒ぎした。大阪では近隣の町からおばはんと婆さんの群れがデパートなどに事前買いのため押し寄せた。1万円の買い物をしても、値上がり分の2%は200円で電車賃も出ないというのに。
 今回も8%に上がっても差は3%、我々は倹約でしのげる。経済のためには金持ちがどんどん消費してくれればよい。
 諸君、世間の風潮に乗せられるなかれ。             (完)

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