2015年6月25日木曜日

#141 テレビコマーシャル,やりたい放題――これでいいのか?

 昨年12月に脊柱管狭窄症の手術を受けて2週間入院しました。  腹の周りにコルセットを巻いて、ベッドに横になっているだけの生活ですから、読書をするか(本を持つ腕がすぐ疲れる)、テレビを観るか、うたた寝をするしかありません。最初のうちはテレビをぼうっと観ていましたが、ある日、番組研究(?)をしてみる気になりました。
 ここに報告します。

◇ あふれる韓流ドラマ  

 こりゃあひどいわ。ある平日のテレビ番組を新聞の番組案内で見ると、BS日テレでは毎日4本の韓流の連続ドラマを放映している。そのほかの民放BSテレビを合わせて3本、NHKBSでも1本、計8本になる。もっとあるかもしれない。
 現代劇もあるが、時代劇ではどれも4~7世紀の三国時代(日本の縄文、弥生時代)を描いている。ドラマだからすべて史実ではないだろうが、創作ドラマであることに責めを負わない。
 問題にするのはドラマそのものではなく、その数の多さだ。聞くところによると、どの民放テレビも自主番組の制作には金がかかるから、韓国から番組を買った方が安上がりのだという。

 私が高校生の頃、そしてその後もアメリカのドラマが全盛だった。記憶をたどると、「アンタッチャブル」、「ローハイド」、「アイラブルーシー」、「ララミー牧場」、「逃亡者」、そして最近では「刑事コロンボ」などが毎週放映されて、私もよく観た。どれも名作だった。
 ただ、韓流ドラマと違う点は、アメリカドラマは連続していても毎週の話は完結、週一回だったのに対し、韓流ドラマはNHKの大河ドラマのように話が連続し、毎日何本もやっていることだ。私はどのドラマも一回しか観ていないが、面白くない。
 今、午前と真昼間の韓流ドラマを誰が観ているのだろうか?

 BSのコマーシャルはひど過ぎる  

 先ず、頻繁に入れられるBSのコマーシャルは一回につき5分以上で長い、長い。午前はどの局もまるでコマーシャル専用のようだ。
 コマーシャル専門の俳優、老令でほかに出番がない俳優に加えて、教授や弁護士(かっこ悪いと思わないのか?)を使って消費者に仕立てる。名が知れた大企業から知られていない中小メーカーまで、栄養剤(サプリ)のコマーシャルを流す。青汁か緑汁のコマーシャルは激烈な競争だ。すっぽん、にんにく、しじみ、青魚の成分がたっぷり入っているという。はてな、一粒に「しじみ300個分」だとか「まぐろ9皿分」が含まれるなんて。そんなに栄養分が必要なのか?
 また、よくあるように、「厚生労働省の摂取基準」などと、お上の名を使うのは、消費者が信じやすい効果を狙っている。  さらに、コンドロイチン、グルコサミン、DHA、DNA、コンスタンチンなど栄養成分のカタカナ語で消費者を釣りあげようとする。これら、学名なの?
 こんなセリフは空々しい。例えば、

 「これから30分の間、電話担当者を倍増します」
 「コマーシャル終了後30分以内にお申し込みの方には半額にします」
 「おひとり様3個以内に限ります」
 「個人の感想です」  

 若者諸君、こんな栄養剤を買う金があったら、美味いものを食べた方がいいよ。私は今日まで人並みに健康であるが、栄養剤は生涯摂ったことがない。これからも摂らない。
 ハイ、これは「個人の感想です」。

◇ テレビで濫用の外来語5悪  

 ますます外来語のカタカナ語が増えている。挙げられないほど多いが、ここでは諸君には使ってほしくない悪例を五つ出してみる。  

 リベンジ revenge 日本では安易に使われているが、これは本当にきつい意味なので、ハリウッドのアクション映画以外で日常に聞いたことがない。マスコミも使わない。 意味は「復讐」であり、「仇討ち」に相当する。私の記憶ではスポーツ紙が使い始め、今では広く使われるようになった。野球でも何でも「雪辱」と言うべき。リベンジと言うとアメリカ人はびっくりすると思うよ。
 コラボ collaboration 辞書によると「共同制作」とか「協調」と訳されている。それが今ではコラボと略されて「協力」、「融合」、「共演」などの意味で、cooperationとcoordinationと混用し、なんでもコラボ。まあ、なんでも使う便利語がコラボなのだ。20年も前か、公明党の女性議員が国会質疑の中で「コーディネート」と何度も言っていたが、初めて聞いた。ただし、コーディネートでは短縮語をつくれないから、コラボに取って代わられたのだろう。
 ウインウイン win-win 「双方が勝ちの関係」という意味で、「相互利益」と言えばいいものを、ことさらカタカナ語を使う。聞き手は分かるのか?
 ブイエス vs. ラテン語のversusの略語であるが、ヴアーサスと発音し、ブイエスとは言わない。「○○対△△」の「対」をわざわざブイエスと言うのをかっこええと思っているのか。
 マタハラ maternity harassment  「妊婦いじめ」のことで、妊娠した社員を仕事で差別をしたり、休退職を勧告すること。「セクハラ」、「パワハラ」、「モラハラ」と広がって「マタハラ」と来た。これは品が悪いな。
  他方、使用者の3悪を挙げれば、政治家・自治体首長、教授・評論家、テレビキャスター・タレントということになるだろうか。

◇ 誰が観ている?

 諸君の多くはスマホ中心でテレビを観ないだろう。  私もあまり観ない。ニュースもほとんど聴くだけ。時間を取られずにほかの仕事ができるから。
 それでもコマーシャルのスポンサーがつく。アホみたいだが、代理店投資の経費がかからない通販はコストが少なくて儲かるのか。  
 スポーツや映画の専門局が値下げでもすれば、諸君の時代には地上局もBS局も一つや二つは淘汰されるだろう。                  (完)

 追記。6/26に「オワハラ」という新語をNHKテレビで聞いた。もうついていけない。                          

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2015年6月13日土曜日

#140 韓国人の若者へ――反日では国が持たないよ

 1970年代、朴正煕大統領(現大統領の父)の時代に日本企業から韓国によく出張しました。輸出する設備の研修で工場に滞在する韓国技術者に付き合い、逆に私が韓国企業を訪問する機会を通じて何社か大企業の技術部長や技術者と親しくなりました。
 彼らは母国の技術を高めるために献身的な努力をしていました。その中で会食の時に日韓関係のきわどい話をできる間柄になった人もいます。今は故人になりましたが、今日の日韓関係を草場の陰で嘆かれていると思います。
 今回は、若い諸君たちが知らない韓国の話をしてみます。

 当時の韓国には建国の熱気

 まだまだ貧しい国だった。軍人出身の朴大統領は国民に贅沢を戒め、自らも実行していた。ぼちぼち頭をもたげてきた財閥グループのオーナー経営者に対しても厳しい生活の規律を課していた。彼は世界の独裁者の中で善玉だっただろう。社会には緊張感があった。
 ある時、帰国するためソウル国際空港(今は仁川空港が国際空港)に行くと、広いロビーいっぱいに韓国人の集団を見た。親、特に母親たちが大声で泣いていた。見送りに来た代理店の技術者に訊くと、熱砂のサウジで建設労働者として派遣される中年や若者を見送りに来ているのだという。まるで戦場に送られる兵士を見送るようだった。彼らは帰国すると国から住居と職を与えられるということだった。戦場の兵士ほどではないにしても、危険な仕事で死者も出た。
 彼らは国が外貨を稼ぐために危険を覚悟で労働者になった。
 後年、80年代の初め、アメリカ企業から入札の仕事でカイロに出張した帰り、乗り換えの便を待っていたアテネ空港で、上下のトレーニング服を着た集団が現れた。言葉から韓国人と分かった。引率者らしい人に英語で訊くと、カタコトの英語でアラブ国に行く建設労働者だと言った。
 ソウル空港の時からまだ労働者派遣が続いていた。

◇  若い女性が春を売った  

 70年代に韓国企業の多くが日本から機械設備を輸入し、技術導入をしていたので、ソウルには商社やメーカーからの日本人出張者に出くわした。キーセンパーティ(夜の会食)が花盛りだった。たいていセックス絡みで日本人出張者にとって天国の時代だっただろう。
 彼らの一人から、「キーセンでなくてもいくらでも機会がある。彼女たちは弟や妹の学資を稼ぐために売春をしている。多くは昼間の仕事を持っている」という話を聞いた。本当か嘘か他でもこんな話を耳にした。
 ある日、出張先からの帰途、プサンのホテルに泊まった。眠って間もなく、ドアがノックされたので出てみると、何人かの女性を連れた日本人の男が立っていた。そのツアーガイドがツアー客に女性を配達するのに部屋を間違ったのだ。
 この時代には買春付きの日本人ツアーが盛んだった。
 当時、韓国駐留のアメリカ兵専門の売春施設があったという。政府が用意した施設だと聞いたが、本当かどうか?

◇  ベトナムで恐れられた韓国軍  

 サイゴン(今はホーチミン)に一ヶ月余り出張していた時、サウナでオーストラリアの新聞記者と一緒になった。気持ち良く汗をかきながら、彼が話してくれた。  「サイゴン近郊に駐留する韓国軍は、襲った村人を皆殺しにするので、ベトコンから恐れられている。一般の韓国人もベトナム人に嫌われている。韓国政府がアメリカからの資金援助の見返りに軍を派遣している。彼らのために韓国政府が売春施設を設けている」などなど。
 別れ際に彼はジョークを言った。  
 「あなたは日本人であってもベトナム人には区別がつかないから、襲われないように気をつけた方がいいよ」と。世話になっていた商社の人からも同じことを言われた。
 それ以後、この警告が利いて一人歩きを止めた。

◇  ハングル回帰は愛国心の表れか

 私が韓国に出張していた時代には、韓国の新聞には少なからず漢字が使われていた。その昔、李承晩大統領は漢字を法律で禁止した。そのために漢字をまったく知らない世代をつくった。
 今また、政府文書も新聞もハングル文字だけになっている。対日攻撃と言い、ハングル強制は愛国心の表れか。どちらもいびつな心理が背景にありそうだ。
 友達の一人は、「あんなハングルだけでよく表現が通じるものだ」と言ったことに対し、「韓国人は、漢字、ひらがな、カタカナに加えて、わけも分からないカタカナ外来語を濫用する日本語こそクレージーだ」と言うだろうとジョークを飛ばした。

◇  安倍首相の対韓国外交に批判  

 相次いで元首相など長老の政治家たちが記者会見で安倍首相の対韓国外交を批判した。今に比べれば、緊張が少ない時代の政治家たちだ。
 首相はそれなりに首脳会談を呼びかけているが、パク大統領はかたくなで受けない。彼らは首相に何をせよというのか?
 感情を抜きにして言えば、韓国政府は責めとケチをつける敵対行為を続けているのであり、日本政府はもっぱら受け身で、韓国に何も要求をしない現状は外交交渉とは言えないではないか。   
 パク大統領は外見からの印象ではきつい性格とは思えない。私の素人診断では偏執狂になっている。彼女への支持率は30%と報道されているが、本当はもっと低いはず。
 韓国では内政の課題が日本より深刻だ。政体では内政は首相の責任とされるが、任命した首相は次から次に辞任。今も首相候補が議会に審査されていて空席のまま。こんな状態では国が持たないだろう。先ず、財閥支配の経済構造を改革して大統領として実績を出してほしいものだ。                     (完)                         

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