2015年9月24日木曜日

#144 日本のメディアが急進左翼化ーー極右政党の反動が怖い

 前々回#142で、安保法案に反対するデモ集団が、本当に法案を理解しているのかと疑う内容を書きました。言ってみれば、大衆は当てにならないと。
 「大衆をバカにしている」、「上からの視線で見ている」、「えらそうにものを言うな」などと読者から叱責を受けると思っていました。ところが、これまでのところ批判の意見なし。これは共感を得たのではなく、本稿が読まれていないのでしょう。執筆の気力をそがれる結果になりました。
 ただ一人、若い人から「それじゃあ我々はどうすればよいのですか?法案をどう考えればよいのですか?」と訊かれました。 この問いに答えることは難しいのですが、例を挙げて説明してみましょう。
 
どう自分の考えを決めるか? (重要順なし)
 
  1) 私の古い友達は教養水準が高いが、安保法案のような重要な問題については、『週刊朝日』に寄稿している学者(評論家)を信頼して参考にする。結果として反対になる。
  2) テレビ番組か、新聞を参考にする。例えば、朝日新聞を読めば反対に、読売新聞を読めば賛成に傾きやすい。
  3) 支持する政党を選ぶ。与党なら賛成、民主党なら反対になる。
  4) 知人か友達に相談する。友達が反対なら反対に、私が相談相手なら賛成に説得される。
  5) 詳しい特集を載せる月刊誌を読む。ここまで熱意がある人は少ないだろう。月刊誌によって反対か賛成に影響される。

 さて、テレビ番組で出演者が「結局、一人ひとりが自覚を持って決めてほしい」と言ってオチにしているが、現実を見れば空々しい。諸君はどう思うか?

危ない世論調査の一面

 先月だったか、NHKが会社向けに電話によるアンケート調査を行った。約1100社に電話し、550の回答を得た。このうち反対が450だった。450/550で反対率は61%が反対と結論づけた。これは危ない。なぜなら無回答を入れて450/1100で61%、反対率は61%から41%の間であるからだ。
 どのアンケート調査にもこういう危ない一面がある。ただし、内閣支持率のように何年にもわたって同じ質問をぶつけて継続性があるものはある程度信頼してもいい。
 野党は今も安保法案に関して、国民は80%以上が理解していないと主張している。
 どんなアンケート調査によるものか分からないが、それよりも理解することが難しい上に本当に知る気があるかどうか。

憲法9条と国の安全保障

 はたして諸君たちは憲法第9条の原文を読んだことがあるだろうか?
 9条には二つの項目があることを知っているだろうか? ここに手元にある小六法から引用してみよう。

  ① 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
  ② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 アンダーラインは私がつけたものであるが、現実に照らして微妙な内容の条文になっている。日本語としても主語述語の表現がおかしい。②項はいずれ改正の必要がある。
 憲法には集団的自衛権に関する条文はない。これは戦後間もなく憲法が公布された時には、日本はアメリカの庇護下にあり、再軍備は禁止されていたから考慮の対象にもならなかったのだろう。
 因みに、国連憲章には9条①とよく似た条文がある。しかし、集団的自衛権の言葉はどこにも使われていない。国際的に認められているだけで、もともと曖昧なものだったのだ。

安保関連法は成立した

 集団的自衛権については、従来、内閣法制局によって「日本は集団的自衛権を有するが、行使できない」という解釈がなされてきた。なんとも奇妙な話だ。  政府はこれに対し、憲法に沿って集団的自衛権を行使できるとしたので、憲法解釈の変更だと野党や市民からの反発が大きくなった。そして、安保関連法案の核心になった。 私の喩えは品を欠くが、今回の法案は「これまで緩んでいたふんどしを締めた」のである。
 法案反対派は、戦後日本の平和を守ってきたのは憲法9条だと言うが、私はそうは思わない。日本が平和であったのは、重要順に①中国も北朝鮮も脅かす存在ではなかった、②日米安保条約、③自衛隊、④憲法9条であると思う。

極右政党が出てくる恐れ

 参議院で安保法案が可決される前の一週間、購読している読売新聞のほかに、隔日毎に朝日と毎日をコンビニで買って読んだ。朝日と毎日の法案反対キャンペーンは徹底していた。
 テレビの番組でも反対派の学者が圧倒的だった。彼らはキャリアがあり、知名度が高いのに対し、賛成派の論者は若く、影響力の上で弱かった。メディア挙げて左派が優勢だった。オーバーに言えばメディアは左派が支配しているようだった。
 こういう状況下では、次の参議員選挙では極右政党が出てくる恐れがある。  現に、イギリス、ドイツ、フランス、ギリシャ、デンマーク、そしてアメリカでも極右団体が台頭しているから、決して他人事ではない。
 諸君は、これから「日本は神の国」、「忠君愛国」、「国体護持」、「移民・外国人排斥」、「自衛隊の国軍化」などの言葉を聞いたら警戒する必要がある。                  (完)  

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