2013年1月28日月曜日

#85 なぜ日本は世界の長寿国か?ーー政治家の失言の裏にある事実

 政治家の発言がメディアの批判を浴びています。失言や放言と取られていますが、諸君は本当にそう思いますか?  今回は、医療保険制度について書いています。これを読んで「病気になったら大変だ」と思うなら、少しは諸君の健康管理に参考になるでしょう。もっとも健康であることは運次第ですが。  
 どれもこれも政府が抱える課題は深刻です。いかに政府の課題が多くても、中国政府の重荷に比べればまだ軽い。たとえ世間の批判がきつくとも、政府にはやるべきことをやり抜いてもらわなければならない。なぜなら、医療制度も諸君たち次世代に大きく関わるからです。
 なぜ世界の長寿国ランクのトップで日本が唯一の人口大国なのか?諸君にも考えてほしい。 

麻生副総理が言ったホンネ  

  新聞がテレビニュースより詳しく伝えているので引用する。  

 「現実問題として、いま経費をどこで節減していくかといえば、もう答えは多くの学 者は知っている。残存生命期間が何ヶ月かと、それにかける金が月に一千何百万円だという現実を厚生労働省も一番よく知っているはずだ。チューブの人間だって、私は少なくとも遺書を書いて、そういうことをしてもらう必要ない、さっさと死ぬからと書いて渡しているが、そういうことができないと、死ねません。死にたいときに死なせてもらわないと困っちゃう。いいかげんに死にたいと思っても「生きられますから」なんて生かされたんじゃかなわない。しかも政府の金でやってもらっていると思うと、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと」  

 これは社会保障制度改革国民会議で発言されたのであるが、彼は後で問題部分を議事録から削除するように申し入れした。しかし、ホンネは事実であり、誰かが言わなければならないことだ。  国の医療費改革も「わかっちゃいるけど実行できない」の一例で、今のままではどうにもならない。 
 日本のように手厚い国の制度は、北欧の国か旧ソ連くらいで、今では北欧でもロシアでも政府は制度を維持できない。  
 麻生副総理の放言に対し、高齢世代は反発するだろう。「年寄りと病人は早く死ね」と言うのか? 
 何しろ後期高齢者の呼称に対してでさえ、「姥捨て山(予備軍)」と批判したのだから。90歳を超えて元気な知人は「末期高齢者」と自称している。私も将来そう呼ぼうと思っています。 念のため、麻生副総理は終末期医療、つまり延命医療について言っている。

延命医療とは何か  

 老人ホームに入っていた私の母は、ある日、軽い肺炎がきっかけになり、食べ物をのどに通すことができなくなって救急車で病院に運ばれた。担当医師から別室に呼ばれて次の三つから処置を選ぶように告げられた。

  1. 点滴だけで栄養を補給する。ただし、長くは持たない。自然死になるだろう。
 2. 胃に穴をあけて流動食を入れる。(胃ろう、という)
  3. 喉を手術して管を通し、流動食を入れる。胃ろうより他の器官を使う効果があること。

 予備知識がない私はいきなりこう問われても即答のしようがない。一日弟妹と相談した結果、無難な気がした2を選んだ。その間、救急治療の病院で3ヶ月を超えると退院しなければならない規則(法律)のため、老人ホームに帰すことになったが、ホームから離れて3ヶ月を過ぎたことと、胃ろうを受けた入居者を増やせる体制にないことで再入居を断られた。やむなく入院費が高い療養型病院に入れてもらった。半年後、母は97歳で静かに亡くなった。
 私は「胃ろうなし、喉手術なし、人工呼吸なし」で延命治療を受けないことを家内と誓約している。  
 さて、諸君が親御さんについて私と同じ立場になったらどうする?

降って湧いた前立腺癌の高額治療  

 昨年、市の健康診断で前立腺癌の警告を受けた。アメリカでは年寄りの男がかかる金持ち病と言われ、高額の治療費がかかることでよく知られている。肉食と偏食が原因だとされるが、どちらにも縁がない私がなるばずがないと思っていた。
 3回の精密検査の結果、本物の癌とわかった。聞いてみると、私の周囲でごろごろと経験者がいる。病院では放射線治療の順番待ちに1ヶ月以上かかった。手術もあるが、私の場合は初期だったので通院治療になった。これが2ヶ月余り、週末を除いて毎日39回も通院し、根気との勝負だった。
 アメリカ製の放射線治療装置は5億円以上もするもので、当然、数少ない大病院しか買えない。 個人負担3割と高額医療助成金のお陰で検査と治療を合わせて私の出費は20万円足らずだったが、逆算してみると国に100万円以上も使わせた。アメリカで保険会社の健康保険に加入していない貧乏人(the poor)ならお手上げだ。それでも進行が遅く、痛みもないので放置しても10年は生きられると言われていた。
 この治療をアメリカで受けていたら、それでなくとも高い保険料支払いが翌年にはぐんと値上げされる。 日本に居てよかったと実感している。

それでも政府の医療費支出は少ない?

 統計によると、世界の先進国の中で、国の医療費支出はもっとも低いという。年間に37兆円もの支出があるというのに、この統計はよく分からない。  
 日本の薬代支出が世界一高いと言われるが、これは薬の乱用が原因かもしれない。提供を指示する医師の側にも、なんでも薬を欲しがる年寄り世代の両者に問題があるのか。
 本当によく分からない。                (完)

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2013年1月10日木曜日

#84 新年に思いつくままーー政治を愚弄するな

 年末、年始は体調不良で考えることに気力が湧きません。まあ、なんでもよいから、思いつくままに書いてみることにしました。  『若者塾』は私と同じ世代の読者が多いと聞き、若者世代にメッセージが届いていないようで、今回は若者世代を意識しないで書いてみます。年寄りのぼやきです。

◇ 紅白歌合戦はダンス合戦か
 
 NHK紅白歌合戦は最近ずっと観ていない。例年、炬燵でうたた寝しながら、家内が観ているので、除夜の鐘まで仕方なく聴いている。なんと歌手とは言えないようなダンサーのグループが歌う曲の多いことか。男女ともに低音は出せないし、高音は裏声でごまかしている。彼ら、彼女らは和音をつけてコーラスもできない。
 ああ、フランク・永井、水原弘、尾崎紀世彦、青江美奈、岸洋子など心に響いてくる本物の歌手はみんな亡くなった。バーブ佐竹という歌手もいたな。  デューク・エイセス、ダークダックス、ボニー・ジャックスのコーラスグループの後継者もいない。ピーナッツの二重唱もきれいだった。歌手なら高音、低音のハーモニーくらい歌ってみろよ。  ロック歌手が歌う曲もメロディが印象に残らない。楽器はうまいにしても、声が貧弱。

 少しは政治と政治家に敬意を払え

 年末に不快感と腹立ちを覚える地元新聞の寄稿文が出た。作家の曽野綾子が、「落ちるべき人間は落ちたが」という見出しで民主党の選挙敗北をあしざまに書いたものだ。冒頭の部分を引用してみよう。この後もえんえんと政治家の悪口を書いている。

 
 (引用)12月16日の日曜日は、日本国民にとって「ハッピー・サンデー」になった。第46回衆議院議員選挙が行われた結果、自民党が大勝したから、ではなく、民主党がやっと政権の場から去っていってくれたからである。「バカがいなくなってほんとうによかった」と手放しで喜ぶ女性が、私の周囲にかなりいたのである。(以下略)

 地元新聞は、彼女が「終戦前後の10カ月間、金沢市で過ごす」と紹介して、これだけの縁で東京の作家に寄稿を求めた。よくある地方で東京の人材を有難がる例だろう。
 曽野先生よ、あなたの作品とは落差が大きいこんな文を書いたのは感情に流されたのだろう。事は井戸端会議で主婦たちがうさを晴らすのとはわけが違うのだ。地方新聞と言え、天下の公器なのだからなめてはいけない。また読者をなめてはならない。  
 その上、「日本国民」とか「民主党」とかを一つの括弧にして論じるミスをした。どれにもピンからキリまでを含むにもかかわらずだ。政治家にも、そして作家にもピンからキリまでいるものだ。
 若者諸君、誰が何を言おうとも、日本の政治を良くするには政治家に頼らなければならない。世間の風潮に惑わされず、少しは政治家に敬意を払おうではないか。
 今回、不幸にして落選した候補者は、選挙運動期間はもとより、事前準備や後始末に大変な労力を費やした。その努力に敬意を払いたい。

  ◇ “DON’T GIVE UP THE SHIP”  
 

   年末にアメリカの古い友達が大きな旗を送ってきた。青地に白の文字で書かれた表題は、訳すると「艦をあきらめるな」。
 1813年(江戸時代、文化10年)米英海軍が戦ったエリー湖海戦で劣勢であった時、米海軍のオリバー・ペリー提督(正確には代将司令官)が全軍に「艦をあきらめるな」と檄を飛ばして勇気づけ、後にこの海戦に勝利した。
 エリー湖(琵琶湖の38倍)は友達と私が住んでいた町から北に50キロの距離で近い。そのために地域では「艦をあきらめるな」はよく知られている。
 因みに、この海軍の英雄であるオリバー・ペリーは、日本に黒船を率いてきたマシュー・ペリーの実兄である。
 年始に当たり、諸君に贈る。「キミの艦をあきらめるな」、私もあきらめない。                                  
                       (完)

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