2017年9月20日水曜日

#180不二越会長の暴言、続き――富山篇②

 7月25日の北日本新聞が小さな記事で本間会長が副知事の面談要請を受けないことを伝えた。市会議員の政務活動費の不正使用については何回も紙面で追求したが、本件に関しては初めてのフォローだった。市民にとっては関心事だったからだ。しかし、暴言は民間企業の問題とは言え、本当は県民全体に関わる重大事だ。 
 加えて、不当な採用方針は違法であり、富山人が侮辱されたのだから、本来ならもっと追求すべきだ。 
 富山の若者が影響を受けるのだからもっと関心を持ってほしい。 
 諸君はどう思いますか? 

 ◇ 会長がOB会全員に送った文書  私はOB会員ではないが、偶々会長の文書のコピーを入手した。5頁に及ぶこの文書では、「不用意で不適切な表現」に対して詫びているが、違法な採用方針と富山人を侮辱したことについては撤回もしていない。本来なら社員OBのみならず、富山人全体に対して謝罪し、発言を撤回すべきだ。

 ◇ 閉鎖的と保守的 

 会長は富山人と社員を閉鎖的と呼んだが、保守的と呼ぶべきだ。よく似ていても違 う。私は在職中にも技術者が閉鎖的とは思わなかった。ただ、新技術に対しては慎重で直ぐには動かない傾向があった。そして多くは否定的な態度を見せる。 
 全体から見れば、どの企業でも、既存事業の技術改革や持てる技術の継承に貢献する技術者が、新技術に関わる技術者や研究者より多い。両者は車の両輪であり、前者は保守的な人材が多く、これが問題ではない。  
 10年も前、当時の社長から役員と幹部を対象に講演に招かれたことがある。この時に機械業界では給料が高くはないから、一つの提案として現場技術者と開発研究者の給料を別体系にして優秀な人材を採りやすくすることを述べた。
  私の考えでは、わざわざ東京に本社を移転しても望む人材を採れるかどうかは不確かだろう。  要するに、保守的な技術者を生かすのはリーダー次第なのだ。

 ◇ 内定者が逃げた

 会長は前述の文書の中で、「ロボットのエンジニアを10名ほど面接し、内定を出しました。しかし、富山勤務だと告げた途端、6名が辞退してきました。こんな現実を目の当たりにして、早く東京に本社を移し、(以下略)」と書いている。これは論理の飛躍か認識間違いだ。なぜなら、彼らは知名度が高い第一志望の他のメーカーに行ったのであって、不二越では富山勤務だから逃げたのではないと思うからだ。  言うまでもなく、不二越に面接に来る学生なら事前に富山の会社であることくらいは調べている。もっともホームページには「本社東京」、「富山事業所」と書いてあるが。  時代に逆行してでも、そんなに東京が良いのか? 

 ◇ 社名とブランドの知名度 

 不二越の社名は1928年(昭和3年)、創業者が仏典の不二から取った。正に対する反、その合への昇華を期するものと言われる。 
 私は変えた方が良いと思っていた反面、ユニークでどこか重みがある社名がやはり良いとも思っていた。多分、社員の多くも同じ思いだっただろう。 
 結局、私が貿易部勤務中に、英語社名だけFujikoshi Corporationを社名とブランドを合わせたNachi-Fujikoshi Corporation に変えた。これは正解だと思った。 
 もともと消費者製品を持たない地味な機械メーカーの知名度には限界があることは不二越に限ったことではない。 
 ある知人は「一流大学の二流人材より二流大学の一流の人材」が良いと言っていた。 私も共感する。東京の人材にこだわることはない。

 ◇ 月刊誌「Wedge」の広告 不二越は長年「Wedge」に文章が少ない写真主体の広告を掲載している。各製 品を一つずつ取り上げ、本当に美しい写真で社格を高める高級な広告だ。 
 役員も社員も是非見てほしい。これまでの広告すべてを冊子にして代理店にも配布してほしい。自信を持てることもさることながら、不二越が歩むべき方向を示唆してくれるだろう。 
 不二越の社員には「知名度などくそくらえ!」という気概を持ってほしい。   (完)                                               

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