2016年8月11日木曜日

#165 沖縄県が抱える問題 ――次代を考える

\ 今回が最終の「若者塾」になります。まだまだ書きたいことはあるのですが、疲れかどうか気力が減退してきました。そして、長年の悩みは多くの若い諸君たちに私のメッセージが届かなかったことです。 私は、若い諸君たちの100人に1人でいい、どんな仕事でもリーダーになるための思考力、発想力、教養を積んで参考にしてほしいと思って書いてきました。
  一つアドバイスすることは、「オレのとは違うなあ」と感じたら、なぜ違うのかと自問し、大勢に流されることなく、自分の感性を大事にすることです。
 今回、沖縄をテーマにします。締めとしてふさわしい重大な問題を挙げてみましょう。

◇ 竹島、尖閣諸島とフォークランド戦争

 中国の脅威は南シナ海から東シナ海まで及んできている。南シナ海全域の支配が完了すれば、次の中国の狙いは尖閣諸島にあることは現実と言えるだろう。私のような素人でも予測できることだ。
 今、フォークランド島戦争と比較してみよう。
 フ島は周辺の諸島を合わせると沖縄ほどの面積で、3千人のイギリス系住民が暮している。19世紀から両国が領有権を主張してきた。フ戦争では1982年に3ヶ月にわたってアルゼンチン軍とイギリス軍の将兵各5千人が闘った。
 私は滞米中にテレビで戦争の推移を観ていたが、なぜアルゼンチンの沖合500キロにあるフ島をイギリスが支配しているのか、と思った。イギリスは鉄の女サッチャー首相が 陸、海、空の3軍5000人と最新の装備を派遣し、民間の客船クイーンエリザベスまで兵員輸送に使った。なんと大げさな、と思ったが、これではアルゼンチン軍はかなわない。
 結局、フ島に上陸していたアルゼンチン軍が投降して戦争は終わり、イギリスの実効支配は今も変わらない。  
 竹島と尖閣の両島がフ島と違う点は、両島に住民がいないことだ。「住民を保護するため」という戦争目的が立たない。だから竹島に一方的に韓国軍を駐留させて実効支配をしても、「まあ、やらせておけ」として戦闘までして自衛隊によって奪還することをしない。世論も味方しない。
 日本の対応を読んでいる中国は時が来たら尖閣に人民軍を派遣して実効支配をするかもしれない。最近きな臭くなっている。何しろ、世界中から嫌われてもへっちゃらの国だから恐い。
 当事者の沖縄県は地方自治法を盾に取って派兵に反対するだろう。世論も割れるだろう。

◇ 普天間基地の辺野古移転と地方自治法

 99年に地方自治法が改正され、国と自治体の関係が上下から対等に変わった。これによって、今、基地の辺野古移転をめぐって沖縄県と国の対立が最高裁判所に持ち込まれようとしている。先だって高裁が法廷闘争より協議を求める裁定をしたが、もともと協議が成り立たない対立だ。    
 諸君たちの批判を浴びるかもしれないが、国の安全保障についても県と国は対等なのだろうか?最高裁の判決いかんではでは国の統治が危うい。 沖縄県を除く46都道府県知事はどう考えているのだろうか?
 私は国に交渉力の優位があると思う。問題を二つ挙げよう。
 一つ目は、交渉が長引けば、危険と言われる普天間基地の返還が先延びになり、現状が改善されない。現実には政府は困らない。日米で交わされた約束が守られないことで、日本政府は信頼を失うが、米軍沖縄基地には情報部署を置いており、事細かに事態の推移を ホワイトハウスや議会に送っているはずだ。米軍にも今のままで安全の守りがそこなわれることは何もない。米政府が無理押しすれば日本の内政干渉に及ぶことも知っている。
 二つ目は、政府も沖縄の基地削減を目指しており、辺野古移転は過渡的な対応だ。参考までに、ソ連・ロシアからの脅威が少なくなったので、米空軍の千歳基地は返還され、北の守りは自衛隊に任された。仮に、中国の脅威がなくなるなら、沖縄の米軍基地は日本にいつか返還されるかもしれない。日本政府の資金もつがれているが、米国政府にとっても沖縄の基地維持は大変なコストなのだ。
  世界ではどの国でも、外交と安全保障は中央政府の権限だ。
  

  ◇ 中国の九段線とアチソンライン

 九段線は中国政府が敷いた南シナ海、東シナ海から日本海まで領海を広げようとする防衛ラインだ。他方、アチソンラインは戦後に米国が提唱した北海道沖、日本海からフィリピンまでの防衛ラインだ。もともと米国が本土を遠く離れて防衛ラインを敷くのはアジアでもヨーロッパでも国策なのだ。今もこの両ラインがせめぎ合っている。
 中国の論理では、なぜ米国がこの海域を支配するのか、ということになる。私もそう思うことがある。しかし、特にアジアでは中小国ばかりだから中国の覇権主義に対抗できない。米国に公海を守ってもらうしかないのが厳しい現実だ。
 さしあたり、そのうち中国が財政破綻するまでは、現実に対応するしかないではないか。

◇ 沖縄の若者諸君、翁長知事でよいのか?

 舛添前都知事は公費で海外を豪遊したことが批判された。翁長知事も米軍沖縄基地の撤廃を求めて、ワシントン、ホノルル、ジュネーブに公費で豪遊した。知事が国策に反対してこんなことが許されてよいのか。極めつけは敵性国の北京を訪問したことだ。
 私は、琉球王国が薩摩藩に侵攻された時、琉球王が清朝に支援を求めたことを思い出す。これはまだましだ。
 しかし、合法的に沖縄県は日本国に属する自治体であり、自治体の長が敵性国に対し、国に反することを訴えるのは異常だ。地方自治法で許される範囲なのか?マスコミも沖縄に対して異論も唱えない。さわらぬ神にたたりなしと逃げているのか。
 知事は沖縄県知事というより辺野古知事になっている。
 沖縄の若者諸君よ、県を出て本土で就職するといい。沖縄県は求人倍率が.8から.9に改善されたとは言え、まだ全国最低レベルだ。1.5で求人に困っている県では安易に外国人の採用さえ進めている。私はどこかの県が企画して沖縄で合同会社説明会を開くことを提唱している。どこが先鞭をつけるか。
 参考までに、大阪市の大正区には沖縄人コミュニティがあるが、私は沖縄県人の少ない県を勧める。そこで順応することは諸君の人生に大いにプラスになると思うからだ。諸君が受けてきた教育と本土の新聞の違いも分かる。沖縄の先人はかつて南米に移住したことに比べればその困難はしれたもの。
 定住するもよし、沖縄の経済振興のために故郷に変えるもよし。

◇ 沖縄県知事選と県議選

 先の知事選では翁長知事が圧勝したと言われるが、4割は反翁長知事だったと言われる。決して民意は一枚岩ではない。県議選では48人中17人が辺野古賛成派だった。どちらが沖縄の将来を考えているか。
 ごねるだけごねて知事は立ち位置を守った。その先はどうするのか?

◇ 「オレのとは違うなあ」――都知事選余談

 前回に都知事戦について予測を書いた。選挙後、偶々目にした赤旗は一面で「鳥越氏、大健闘」と書いていた。「オレのとは違うなあ」と思った。次の週の週刊誌の新聞広告では「惨敗」だった。沖縄の新聞はどう書いたか?
 諸君、こんなにもマスコミの間で見方が違うのだから鵜呑みに気をつけてほしい。                         (完)   

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