2009年12月28日月曜日

#21 民主党政権の100日

 民主党政権が発足して100日が過ぎました。私はじっと我慢してハネムーン期間を見守ってきたのですが、民主党、特に鳩山首相が抱える問題について初めて書くことにしました。《周囲の声》は私が聞いたことをメモした中から古い順に並べています。
 自民党政権を置き換えた民主党政権が、皆さんの将来に吉と出るか、凶と出るか?


《周囲の声――鳩山首相》

 「友愛なんて言い出したな。あれは彼の政治理念を言っているのか?」
 「英語ではfriendship つまり友情だから海外ではなんのことか理解されないだろう」(岡本)
 「あの人はどう見てもリーダーというより、調整型だから難局には向いていない」
 「見かけでは情の人で、論理に弱いな」、「いや、彼は工学の学位を取っているからそんなはずがない。工学は論理の世界だよ」(岡本)
 「今は論理に基づいた戦略を立てる戦国武将型が必要だよ」
 「そうかと言って、味方も敵も蹴散らす暴君武将の小沢ではだめだろう」
 「鳩山は武将ではなく、公卿タイプやね」(岡本)
――民主党が選挙で大勝して鳩山首相が選ばれた――
 「彼の日本語はおかしいね。なんでも『参る』、『というもの』、『思い』の言葉を連発する。『参る』は下から上に使う謙譲語だし、『というものは』は自信の無さから来る飾り、『思い』にいたっては情緒過多で政治家まして首相が常用する言葉じゃない」
 「ほんと、経営でも政治でも難局においては、論理を基本に置かなければならないのに、彼は論理のあんこがええ加減で、皮の情緒に流されとるね」(岡本)
 「オレはいつも薄笑いをしているような彼の顔が気にくわん。緊張感がない」
 「まあ半分は顔つきは本人のせいじゃない」(岡本)
 「彼は社会主義者か、うわべの人道主義者で政治のリーダーではないだろう」
 「六月に渡米した時、いつも集まる経営者の友達と会食した席で、日本に社会主義政党が政権を取りそうなのか、と訊かれた。そんな報道をしたメディアがあったらしい。
 これに対して、社会主義政党を含む連立になる可能性はあるが、社会主義政党が政権を取ることはないと答えた。彼らはこれで納得したが、その後鳩山首相の対米突っ張り外交を知るなら、はたしてどう考えているか」(岡本)
「二頭政治と言われているが、それどころか、小沢大統領、鳩山首相という実態になっている」
 「彼は外遊にはいそいそと夫婦で喜んで出かける。一回専用機を使うと数百万円もかかるらしいから、あんな資産家なら個人経費で行ってほしいな」

 さて、政権100日で私の仲間うちでは鳩山首相は信頼を失った。最近ではテレビや週刊誌で鳩山降ろしの意見が出始めている。


鳩山首相は降りるな


 最も不信感を買っていることは、彼の外交に絡む国家感の問題であるようだ。
実際、選挙運動の最中に彼が沖縄で行った演説の中で、「日本政府はーーーー」と言っているのを聞いて、わが耳を疑った。これはなんぼなんでもおかしい。日本政府という言葉はこれから政権を取ろうという当事者の日本人が言うべきではない。ここは自民党政府と言うべきだ。ほかにも例はあるが、彼はどこか国家感がずれている。
 リーダーとしての資質も問題にされている。
 いろいろ指摘されているが、先日の政治資金に関する記者会見の中で、「私はもともとしがみついてまで首相を続ける気はない」と言ったことが新聞で伝えられた。これはひどい。会社で社長がこう言えば、たちまち権威を失って辞任に追い込まれるところだ。
 「私は公約を実現するまで絶対に首相を辞任しない」と言ってほしかった。
  
  鳩山首相は変身できる。大統領のつもりで論理に従って内閣をリードしてほしい。衆議院選挙まで3年半あるし、来年の参議院選挙では民主党は現状維持か、少し議席が減るだろう。それでも辞任することはない。参議院においては、内政に関しては共産党の賛成を取る、そして外交や安全保障に関しては自民党の賛成を求めることによって、社民党や国民新党なしで法案を通せる。アメリカの国会議員のように、党議を外して党員の自主投票に任せれば、むしろ自民党は世論に評価されるだろう。今のキーワードは「次世代のために国家の総力を出す」ことではないか。

 知事も市長も4年間の任期で取り組める。首相もよほどのことがない限り、4年間の任期を前提に取り組むことが慣例になってよい。
 有権者は鳩山首相を想定して民主党を支持した。100日で首相を降ろすなどとは無責任だ。反自民党で民主党に投じた有権者も同じこと。覚悟があって投票したのではなかったか。
 鳩山首相は困難ではあるが、新しい政治に挑戦する機会を与えられた。奮起してどんな政治を歴史に残すか? 

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2009年12月9日水曜日

#20 トヨタとGMの経営

 「若者塾」の閲覧者数が少しずつながら増えています。人気ブログと比べればはるかに少ないかもしれませんが、新製品の売り上げが増えるまでの潜伏期間みたいなものです。先月まで全国の読者動向を知るために、意図して地元の友達には紹介しませんでしたが、ぼつぼつ地元読者にも広報を始めました。
 顧みれば、1999年に主宰する会でホームページを立ち上げた時には、しばらくの間月に30人という期間がありました。それが数年後に3000を超えましたものの、間もなく300余りに減ってしまいました。私の再挑戦がどうなりますか。
 友達からは「まだ穏やか過ぎるから、もっとどぎついことを書け」、「長過ぎる」、「内容が硬い」、「週に一回は書け」と言われていますが、今は迷っています。テレビで時々観るバラエティ番組で極言を売り物にしている出演者に抵抗を感じているのです。はて、本当に大事なことをバラエティ番組流に面白くできるのか、岡本博志は殻を破れるか?
 一つお願いがあります。それはご意見をメールではなく、ブログのCOMMENTとして出してほしいことです。反発と反対のご意見もあるはずです。

 今回は、#18に関連して雇用条件について事例比較を書きます。

   トヨタとGMの経営比較について

両社の労使条件の違い
 皆さんがご存じのように、サブプライムローンに端を発した世界的な金融危機によって、車メーカーの雄であるトヨタもGMも経営危機に見舞われた。日米両国政府による直接的間接的な救援政策によって両社とも回復の兆しを見せている。
  両社の危機は、共通しているように見えても、経営環境から見ると大きな違いがある。
  先ず、GMを含めてビッグスリーには最強労働組合があり、正規社員以外を雇用できない。高収益経営の時代が長年続いたため、この間に労組の要求を入れて賃金を上げてきた。管理者は労働者の賃金上昇以上に昇給を手にし、経営者はさらに上回る給料と高額のボーナスを得てきた。世界市場で競争が高まる時代において人事コストが重荷になったのだ。
  これに対し、労組とうまくやってきたトヨタは、実はその陰で派遣労働者と期間工の非正規社員を存分に使ってきた。この違いは今後も経営再建に大きな違いが出るだろう。

  さらに、ビッグスリーは退職者の年金や健康保険の福祉制度が手厚いことで知られる。
 私がアメリカ企業に勤務していた時、訪問していたビッグスリーの技術者が入社理由として厚遇の福祉制度を挙げていた。私の思い込みに反して、ビッグスリーには定年まで勤める社員の割合が高い。ビッグスリーは同業との競争より、新興の産業との競争の中で、優秀な社員を採用するために福祉制度で勝負してきた一面がある。これからも重荷になるが、どう対応するのだろうか。

GMの金融子会社
 GMの経営破綻は小型車軽視の経営にあるが、直接の原因は金融子会社がもともと支払い能力がない買い手に無理矢理に融資して車を売ってきたことにある。
 これに対し、トヨタはこんな無茶をやらなかった。戦前に日本で初めて車の月賦販売を始めて以来、金融でも財力をつけてきた。年度決算では巨額の赤字を出したが、まだ全社として資金力がある。
 このトヨタが再び派遣労働者と期間工の採用を増やし始めた。今は非常時であり、少しでも雇用を増やすために大きな改革は両刃の剣になる恐れがある。しかし、長期的にこのままでよいのか? 
  一つの案として、派遣人材の雇用期間を6ヶ月に限定し、この期間を超えて雇用する場合は正社員にしなければならないという規制を法改正によって実施することがある。雇用する側には試用期間でもあり、一方的に不利にならない。アメリカでは派遣会社から採る人材に対しては期間が90日以内に規制されており、期間内に人材が不適格なら代わりの人材を求めるか、正社員として雇わなければならない。

 労働者の権利を守るべき労働組合はどう対応するのか?
 諸君の時代には今のままでよいはずがない。

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