2017年10月21日土曜日

#182 小池代表の迷走――ヘボ八卦見の見立て

 いよいよ明日は投票日。
 公示前後はテレビも週刊誌も安倍叩きに集中し、最近では小池叩きばかり。メディアはなんと軽いものか。 
 諸君は「一体どうなっているのか!」と困惑したでしょう。その上、野党が左派と保守が複数に分裂してますます分からない。 
 諸君はどう対応したらよいのか? 

  ◇ 左派、リベラルとは何か? 
  私が若い頃は保革対立と言って保守派と革新派の政党が争い、分かりやすかった。 革新派の社  会党と共産党はマルクス主義のイデオロギーにとらわれて限界があった。 それが今では共産党を除いてイデオロギーにこだわらない、そして社会主義を目的とする政党がなくなった。多分、このために革新に代わってリベラルが使われるようになったのだろう。イデオロギーにとらわれない左派と呼ばれることが多い。
  自民党の中にもリベラル派と呼ばれるグループがいるから分かりにくい。そこでおおざっぱに整理してみると、リベラルは改憲反対、中小企業と弱者支援、社会保障改革、国益より個人重視などの政策を掲げる。これに対し、保守は改憲、大企業と富裕層優先(保守の政治基盤)、国益重視の政策を取る。 
 まあ言ってみれば、リベラルは漠然とした印象を国民に与える煙幕みたいなものだ。

 ◇ 幻惑が得意技の小池代表
  希望の党の名前自体が党のイメージとして漠然としていて、しかも掲げる政策もば らばら。しかも演説では政策の説明より、安倍政権に対する批判に時間を割いている。
 彼女はカタカナ外来語が好きでフェイズアウト、アプライ、ワイズスペンディング、ベーシックインカム、パラダイムなどで有権者を幻惑している。特に「模範」と訳されるパラダイムは私も知らなかった。調べてみると、科学史家が著書で使った言葉であり、その後意味が誤解されるので著者自身が撤回したという。つまり死語なのだ。 
 カタカナ外来語が持つ危険は、使う方も充分分かっていないし、まして受け取る側も分からないか、分かっても解釈はええ加減なことだ。こういう幻惑語は政治家が使うべきではない。
  彼女の幻惑技法に引っかかって民進党から希望の党に駆け込んだ議員たちは、少なからずが後悔していると思う。
  もう一つ、彼女は日本が国際競争力を失っていることの例として、東大が世界ランキングで落ちたことを挙げている。あれは論文の数で評価されており、たかが東大がランクを下げたことで、日本の国際競争力が落ちたというのも幻惑だ。  
 これも有権者を惑わす彼女の幻惑技法だろう。大体私は日本をどれだけ理解しているか分からない欧米の機関がつくる国際ランキングそのものを信用していない。

 ◇ 選挙の行方
 もう小池代表の資質が見えてきた今、希望の党は失速した。有権者は都知事が国政政党の代表であることをおかしいと思い、誰が首相になるのか分からない政党には信を置かないことは当然だ。
  彼女が繰り返す「しがらみのない政治」もよく分からない。良し悪しあるが、政治はしがらみの世界ではないのか。多分、安倍首相の森友・加計問題のしがらみを指しているのかもしれない。解散は「森友・加計かくし」とも言うが、この問題は検察と会計検査院が調査中であるし、国会が再開されてから追求することができる。選挙の争点としては弱い。小池代表は大胆な個人的決断をできても、大局を見られない。 仮に、安倍首相がこの問題に関わりがあるとしても、国政の大局的な見方をすれば小さな汚点にとどまることだ。
  諸君、清廉潔白であるが政策の選択力と実行力が伴わない政治家と、裏があっても政党のリーダーとして実行力がある政治家のどちらを選ぶか? 結局、「自民党はもうええ」の有権者を「仕方なく自民党」(私もこの一人)が上回って、安倍首相の戦略的解散が功を奏し、自民党が単独過半数を獲得するだろう。  

 ◇ 労働党について
 前回もその前も労働党を育てることを提唱した。労働党名のイメージが良くないという意見をもらったが、多分、朝鮮労働党のせいだろう。朝鮮労働党は共産主義ても何でもなく、単に金委員長と党の独裁の道具に過ぎない。中国共産党も同じ。
  私か意味しているのはイギリスの労働党なのだ。戦後アトリー、ウイルソン、キャラハン、ブレア、ブラウンの5人の首相を輩出し、3,4回に1回は保守党に代わって政権を取ってきた。 
 オーストラリア、ニュージーランドにも政権を担える労働党がある。 
 諸君よ、次の総選挙、次の次の総選挙までに労働党の道筋をつけよう。総選挙の度に既存の野党が野合、分裂を繰り返すようではいつになっても自民党に代わる政権党が生まれない。
 さしあたり、インターネットで「労働党ネット」を立ち上げて若者の連帯を呼びかけようではないか。次代の政治は諸君の双肩にかかっている。                                       (完)   

Read more...

Back to TOP  

2017年10月10日火曜日

#181 次回総選挙までに労働党――次代のための政治

  総選挙が公示になりました。野党勢力の大混乱には驚きました。諸君もそうでしょう。  民進党の分裂で投票先に困っているでしょうか。私もその一人です。アメリカ人が使う言葉は、Life goes on と言います。 あきらめたらお終いです。

 ◇ 保守の二大政党? 

 新しく立ち上がった小池政党の「希望の党」の参加者は保守の二大政党を目指すと言っている。アホか。だから共産党などから自民党の補完政党だと言われる。 小池代表は、「希望」、「政治をリセットする」、「しがらみ政治からの脱却」、「ワイズスペンディング(?)など大衆受けする美名を使うが、空虚なこと。 「希望の党」はしょせん当選に不安を感じる議員の駆け込み寺であり、新物食いの有権者がある程度投票するだろうが、過去の新党がそうであったように最初だけ。政権を担うことはできない。
  政策が反対である希望の党に大挙して駆け込んだ民進党議員は信用できない。

 ◇ 民進党は頼りにならなかった 

  転党派の私は前々回の総選挙では当時の民主党に投票した。民主党は政権を取ったものの結果は最悪だった。以来民主党(現在は民進党)に対する不信感は今も残っている。 
  次世代のために民進党の有志が再建するために私の提案として下記を挙げる。

 ① 党名を「労働党」に改めること。
  これで労働者と中小企業のための政策をはっきりさせ、低所得者層の支持も得て立位置をはっきりさせる。かつての社会党右派、民社党の支持者、若者世代を結集すれば政権獲得につながる。次期総選挙まで時間がかかっても我慢する。 
 ② 財政再建を第一に掲げること。
  今の自民党と首相は財政再建に対する規律が緩んでいる。直接景気に影響しないことで、予算支出を抑制する政策を取ること。 例えば、国連支出の減額、国連大学などを廃止する。現在、政府が提案している出国税を観光の振興目的に限らず、一般会計にも使う。当分の間PKOのために自衛隊を派遣しない。これだけやれば日本の最悪の財政を世界に知らせることができる。
 「日本第一」の政策は政権交代の時しかできない。

  ③ 国連大改革を打ち出すこと。 
 アメリカは年来国連の改革を唱えてきたし、数年の間拠出金を止めたこともあり、 最近ではブラジルが拠出金を止めた。結局、アメリカも伏魔殿の改革をできなかった。しかし、トランプ大統領が唱え、実行するかもしれない。決議だけで役に立たない安保理事会は必要な時だけ招集し、常駐の各国大使を置かない。人道支援の機関は必要であるが、事務局を最小にして現地の機関を支援する。国連改革は自民党政権では提案すらできないだろう。
 ④ ええかっこし外交に歯止めをかけること。
 首相は国際的名声を挙げること(新外相も)に腐心しているようだが、アフリカや 中東の国への資金援助、アジアの国への巡視艇の無償提供など、ばらまき外交が止まらない。  国内でも北極海観測のために、3400億円の建造費をかけて砕氷船をつくるという。野党全体で反対すべきだ。そうすれば、財政再建にめどがつくまで先送りし、南極調査船の転用に知恵が出るだろう。 新政府は官僚の言いなりにならないこと。 ④ 2兆円経済対策に反対すること。 批判がやかましいが、アベノミクスによる経済効果は今一歩のところまで来ている。企業の業績も良く、地価も上がり始めた。株価も為替も安定し、賃金も上がっている。経済指標も改善しているのに、さらに首相は財政黒字化を先送りして、2兆円の経済対策を打つという。今は我慢して成り行きを見守ることがよい。 首相殿、功をあせるなかれ。
 ⑤ 所得格差は別問題として取り組むこと。
  現在、どの国でも所得格差の問題に直面している。アメリカの所得格差もひどい。 
 世界を見れば日本の格差はまだましな方だ。大国の中では最悪の国は中国だろう。鄧小平の「富める者を増やせば残りはついて くる」政策による後遺症が今もある。一人当たりの平均所得は日本の1/10と言われる。失業率も高い。これから取る中国政府の政策は参考になるだろう。  
 今、日本では人手不足の状態だから、いずれ非正規社員、女性、若者の処遇は改善されることになろう。労働党に期待される課題だ。
⑥ 安保関連法、改憲、原発に反対するのではなく、条件闘争をすること。
 安保関連法の廃止を求めずに北朝鮮危機が終わるまでの間、限定法に変える。世界が激変する今、大国は軍事力なしでは国を守れない現実がある。現にある自衛隊を憲法に明記すべきだ。原発についても即ゼロではなく、「早く再稼動、早く廃止」が現実的だ。 
⑦ 高齢者福祉を改めること。  
 首相は新たな政策として「全世代型福祉」を打ち出した。財源は消費税増額の一部を充てるという。これも財政再建から遠のく。  
 今、「所得格差」ばかりが、焦点になっているが、「資産格差」も問題にすべきだ。 
 労働党が高齢者福祉を取り上げ、高所得者に対し年金を廃止し、医療保険料の負担を重くする政策を出す。さらに踏み込んで所得だけでなく、資産が多い高齢者も対象にすべきだ。資産は国税庁に払う固定資産税で把握できる。 
 金持ちも資産持ちも反対するだろうが、国家予算が健全化されるまでは我慢してほしい。自民党にはできない。「全世代型福祉」は当面「若い世代型福祉」にすべきだ。
  
  諸君、労働党がどこまで上記の政策を掲げるかが政権獲得の鍵であると思わないか?労働党を育てるのは諸君次第だ。              (完)

Read more...

Back to TOP  

編集

Back to TOP