2014年8月30日土曜日

#122 NHKテレビの世論誘導――声高の意見より危ない

  なんぴともマスコミがつくる世論の影響を免れることはありません。特に人が民放テレビより信を置くNHKテレビの報道に注意することが必要です。
 なに、諸君はテレビニュースを観ないから心配ご無用と言うか?しかし、スマホから得る断片的な情報はもっと危ないよ。  ここで、最近のNHKテレビの看板番組二つを例に取り、その危うさを指摘してみましょう。

外国人労働者の受け入れ「日本は遅れている」

 NHKテレビの「クローズアップ現代」で政府が進めようとしている外国人労働者の問題を取り上げた。  国谷裕子キャスターが専門家との対談において、各国との比較を論じる中で専門家は日本が労働者受け入れについて遅れているという発言をしていないのに、国谷は遅れているという印象を視聴者に与えようとした。
 すでに韓国は外国人労働者を積極的に受け入れているが、おそらく内政に困難をもたらすだろうと私は思う。なぜなら韓国も日本もシンガポールやサウジとは違い、場当たり、あるいは対症療法の域を出ないからだ。
 シンガポールとサウジでは、外国人労働者の受け入れは常態であり、移民は認めないという政策を確立している。建設工事や医療・家事の底辺を埋める外国人は、一定の任務が終われば出国させるのである。こうして高級官僚(王族)→官僚、外国人を含む専門職→一般市民→外国人労働者という4層の階級社会をつくっている。
 他方、EUの先進国には大量に職を求める外国人が流入しているのは、必ずしも政府の政策ではない。流れに抗することができないのが現実なのだ。
 結論を言うと、日本は外国人労働者の受け入れに関しては、先進国の中で標準であり、遅れていない。どの国も専門職ではない一般労働者の受け入れを法律で規制している。アメリカで外国人労働者、特にメキシコ人が目立つのは、2千キロ以上も陸(川も)に沿って国境が広がっているため、違法入国者を防ぎきれないからだ。
 今、人手不足が騒がれているが、日本では労働市場の需給がいびつになっていて、そのうち人余りの職が露見してくる。例えば、テレビ関連の仕事もバーやクラブなど夜の業界は縮小してゆく。処遇も変わらない。
  若者諸君よ、建設労働者や長距離トラック運転手(大型免許を取るのに支援をしてくれる)などの賃金は上がるから、先入観にとらわれずに、思い切って肉体労働で汗をかいて資金を貯めよ。考える労働者になれ。
  たとえ子会社や下請けでも正社員になれば、福利制度を受けられる。 「オレは体力がない」だと?そうなら、体力をつける機会だ。高校でも大学でも運動部に入った最初の一週間には疲れがたまって辛い。そして馴れる。考える力と体力、それに金は人生に必要な資産だよ。  

NHKスペシャル「どう守る?日本の平和」  

 「NHKスペシャル」には優れた番組が多い。
 しかし、今月15日の番組はひどい内容だった。政府の集団的自衛権の閣議決定について賛成派と反対派が議論したのであるが、論理的に意見を述べる出席者数人の中で、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(以下敬称略)の尖閣諸島に関する意見に驚いた。
 「中国は尖閣島を絶対取りにこない」、「中国には尖閣から何も利益を得られない」などの意見は非論理的で、高名なジャーナリストの考えとはとても信じられない。彼は世界各地の紛争現場で取材をしてきたと言うが、集団的自衛権とは関係がない。
 尖閣島は中国の領土となり、東シナ海を支配するために海軍基地が建設される。沖縄に脅威を与え、周囲の海域は当然独占的経済圏(漁業権も)となる利益は計りしれない。韓国が竹島に軍事施設をつくって軍隊を駐留させているように、あるいは中国がフィリピンと領有争いをしている南沙諸島の一つに海軍基地を建設しているように、実効支配の布石になっている。
 もし中国が尖閣に基地をつくり始めたら、多分漁船の避難施設と称するだろうが、日本政府は自衛隊を上陸急襲させて島を奪還する決断をできるだろうか?
 世論をどうにでも操作できる中国政府と、おそらくマスコミ主導の大きな世論の反対に遭う日本政府とでは差があり過ぎる。その上、日本は火の粉がふりかかれば払うだけで、先に仕掛けないことを中国に見透かされている。 諸君はその時どう考えるのか?

 さて、なぜ鳥越は名声を下げかねない意見を述べたのだろうか。彼は根っからの理想的空想的平和主義者なのだろうか。それとも、うがち過ぎかもしれないが、NHKの意図を汲んで世論をつくることに一役買ったのだろうか。             (完)  

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2014年8月11日月曜日

#121 安部首相は右傾化しているか――財政赤字対策が弱い

 友達から私は最近右傾化したと言われています。否定はしませんが、考えがあってのことです。 先月末に安倍首相は企業人70人を引き連れて中南米5ヶ国を訪問しました。いくらの資金援助を与えるのでしょうか。アフリカの国を訪問すれば900億円、今度岸田外相がウクライナを訪問して1500億円、1兆円を超える累積債務を抱える国がこんなことをやっていてよいのか。国連常任理事会を改革するために票集めの目的もあるかもしれません。
 前にも書きましたが、一体、国連関係費を含めて外交予算はどうなっているのか?  これは本当に諸君たち次世代のためになる先行投資なのか、考えてほしい。

自民党は右傾化したか?  

 「自民党が単色化した」という批判を評論家がどこかで書いていた。私に言わせれば、保守党らしい保守党になってこれでよいのである。 かつて社会党が健在の時代でも、「自民党は右から左まで人材を豊富にかかえる総合商社」と称した自民党に対し、社会党は反対政党にとどまり、結局、解体の憂き目に遭った。
 わけが分からないような自民党が野党の成長を阻んできたのだ。もうこんな自民党は要らない。左派リベラルが左脳だけしか使わない野党も要らない。
 アメリカでは、共和党リベラル派と民主党保守派は紙一重の違いしかないが、主流派には社会政策などに大きな違いがある。共和党議員の中にも、支持団体にも極右派がいるが、主流にはなれない。
 さて、安倍首相は右傾化しているのか?  安倍政府はアメリカの標準で言えば、今のところ保守中道右派という位置付けだ。閣僚の人選にもバランスがある。
 問題は、来年9月の総裁選で首相が再選されてからどう変わるかだ。ここでさらに右傾化し、国粋主義や神国思想が出てくると民主党を中心にして政権交代できる野党が中道左派勢力として結集することを期待したい。
 新政権ができても、左派左翼の政治家と学者は失望するだろう。それでも反政府勢力として飯を食っていける。

政府の新政策と財政赤字  

 安倍首相は9月の内閣改造に合わせて、安全保障法制、地方創生、スポーツなどの新省庁を設立するという。既存の縦割り省庁間にわたる課題をまとめて横断的機関をつくる構想ではないかと思う。  これはよいのだが、安保法制,地方創生,女性活用、スポーツの新省庁を設立することが、本当に政策推進に最良の効果があるのか?省庁と外郭団体の増殖にならないのか?
 ところで、民主党政府が果敢に行った事業仕分けのフォローはどうなったのだろうか。累積の財政赤字を減らすには血を見ても自民党政府も継続してやらなければならない。

EUとIMFの女性代表  

 先月だったか、EUとIMFから相次いで代表の女性が来日し、「日本が国際競争力を高めるために電力料金を下げることが必要」、「国の財政赤字を減らさなければならない」と発言した。前置きや前後の文脈があったかもしれないが、テレビのニュースではこれだけの報道しかしなかった。   
 私は反発した。「日本に来るなら少しくらいは事前に勉強してこい。原発問題で電力会社はいかに苦しんで料金を上げているか。政府は成果がまだ出ないとは言え、財政赤字の削減を重要課題として取り組んでいるか。彼女たちは知らないのか?アホか」という風に。
 EU加盟各国の中には優れたリーダーがいるから、この程度の上部機関のトップでよいのかもしれない。
 滞米の18年間に何度かアメリカ人から「ヨーロッパ人はアメリカに優越意識を持っている」と言われたことがある。彼女たちにも日本に対して生来の優越観が出たのか。
 そもそも私はリーダー(広く官庁や企業を含めて)の男女輪番制も割り当て制も支持しない。日本政府は人手不足対策と人材活用策の一つとして、女性登用の法整備を掲げているが、推進期間を設けて時限立法にすべきである。
  アメリカではこうした格差是正のためにAffirmative Actionという法律がある。ただし、就業に限らず、大学入学に対しても、女性、黒人、ヒスパニックを優遇している。

国の財政赤字削減が進まない

 今月、国の借金が1000兆円を超え最大になった。国の借金というのは国債、借入金、政府短期証券の合計で、国民一人当たり800万円になる。 毎年の予算90兆円の中から約1/3を国債の償還に充てられる、つまり借金を返すのに新たに借金をして返済している。そして、今も国の借金は増えている。異常事態だ。
  諸君、これを次世代に負担させるのだ。知っているか? せっかくヨーロッパ国際機関のお偉方からアドバイスされたのだから、財政の最悪状態を改善する策の一つとして日本の国連分担金を延滞しよう。アメリカでは日本が世界第二位の分担金を負っていることは知られていない。世界でもそうだろう。 国際的に延滞が報道されれば、日本の貢献を知られることになろう。     (完)

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