2012年10月25日木曜日

Long and Winding Road to China Democracy

   #78 中国の民主化は進むか――習近平新政権の重い課題


 中国政府の指導者の中で、今の共産党一党独裁がこれから10年も長く続くとは考えていないでしょう。胡錦濤国家主席の10年は、党大会で掲げた農業改革に進展がなく、まして民主化の方向付けは現状維持にとどまりました。 相対する民主主義国、日本の政治、特に政党政治の現状について大使館からの情報を知るにつけ、中国政府はこんな複数政党制度を受け入れることに恐れを持つでしょう。 実際、野党が解散日と投票日を決めて首相に要求するなんて異常の沙汰です。たとえ話合い解散の前例があっても、首相が受け入れるなら日本の憲政史上で悪例となります。
  基本的に野党も赤字公債法案と衆議員の定数是正に賛成しているのですから、国会の審議に応じないのは国会議員の報酬を日に日に無駄にしているのです。職務放棄です。 他方、民主党内部には今解散すると選挙に不利になるという理由で早期解散に反対する議員がいます。私には解散を先延ばしすれば民主党に有利になるという考え方が分からない。いっそう首相が重要法案を成立させた上で、野党ご指定日より早く電撃解散をやればいいと思いますね。
  話がそれました。 さて、習政権はどこまでやれるのか?
 今回は、中国より早く民主化を実行した近隣諸国について書いてみます。

インド  
 私はかねてから人口13億人の中国では、先進国のような民主主義制度は無理であり、形がどんなであれ、強権の政府が統治するしかない、と信じてきた。だから、中国政府の政体を民主主義の変形である「会社民主主義」と呼んで現実的に支持してきた。
 ところが、友達の一人が異論を唱えた。「巨大人口は問題じゃない。12億人のインドではちゃんと民主主義が定着している」と。  
 このインドは長く中国と国境紛争をしており、1962年には突然中国軍が紛争地域に攻め入った。武力に優る中国軍がこの地域戦争に勝利し、インド軍には4000人の戦死者が出た。今も小競り合いの紛争が続いている。

 ◇ ロシア  
 長く共産党一党独裁を敷いていたソ連が消滅し、旧ソ連はロシアと周辺の8ヶ国が独立した。イスラム圏のほかに、当時ウクライナのような大国がロシアから分離されたことに驚いたものだ。   
 共産党独裁による体制に限界がきていたこともあるが、エリツェンという強力な民主化リーダーを得たことで大きな混乱が起きなかった。後継者の統治にけちをつければいくつもあるだろうが、国民による大統領の直接選挙が定着している。
 民主主義にはさまざまな形態があり、どれも完全なものはないのだ。ロシアの体制移行は中国の参考になるだろう。

ミャンマー  
 中国と国境を接するミャンマーでも、最近、軍事政権から民主主義体制に移行した。これからは民主化の過程でリーダーの人材を得られるかどうかが鍵だ。政権打倒のリーダーと建国のリーダーとは違う資質が求められるからだ。
 ミャンマーの民主化要求を流血なしに実現した群衆に比べ、市民意識と階層の広がりの点においてネット紅衛兵とは比べものにならない。

中国の民主化は進むか  
 民主化の2条件は、資本の原始的蓄積と教育水準の二つと言われる。
 中国は経済発展のお陰で充分の資本を持つにいたったが、民主化教育については手もつけていない。中国政府にとって、国民に民主化の教育をすることは諸刃の剣になるから、危ないことなのだ。
  今や周辺諸国が民主化を実現しているのに、中国と北朝鮮だけが取り残されている。 土地の所有も許されない農民と、労働組合を組織することも許されない労働者が人口で90%も占める現状を改革することは、中国政府には巨大な重荷だろう。
 他方、役人、100万人以上の軍隊、1億人の富裕層は現状のままでハッピーだから、既得権を手放さない。これらは保守派または守旧派のグループであり、改革を望まない。そして政府の改革に立ちはだかる。ああ、政府も大変だ。

尖閣島紛争はがまんの持久戦
 中国は漁業監視船と海洋監視船の二重布陣に加え、海軍艦艇が遠巻きに尖閣島近海を示威している。他方、日本は海上保安庁の一枚。これでは持久戦に耐えられない。東日本の巡視艇を沖縄に集めて交代勤務の余裕を持たなければならない。
  海上自衛隊は、中国が「来い、来い」をして一触即発を待っているようなものだから、喧嘩プロに誘いこまれておいそれと出ていけない。さしあたり、東日本と北海道の海難の備えは自衛隊が海上保安庁の巡視艇を肩代わりするしかないだろう。
  日本企業も辛いが、ここは我慢してしのぐ時だ。中国の工場がストや暴動を起こす時には、中国内か国外に迅速に移転すると良い。その動きを見せるだけでも効果がある。ネット紅衛兵が暴れれば、同胞が職を失い、共同出資している国営企業も減収になることが認識される。日本の旅行関連業界も中国から観光客が激減して苦しい。これにも半面があり、中国業界も苦しいのだ。 このように日本企業が業績を悪くする一方で中国企業も被害を受けるのだ。
 よく考えてみれば、日本企業には対応の選択肢があるのに対して、中国側の対応策は限られている。日本のメディアは日本側の被害ばかり強調しているから、惑わされてはいけない。
  先日、中国外務省の広報官が、「日本政府は経済不振の批判をかわすために尖閣島問題を起こした」と言っていた。これは中国政府のことだろう。「すべて日本が悪い」とする彼らはなんとそらぞらしいことを言っているのか。そう言えば、例の国営企業が起こした毒餃子事件でも中国政府は謝罪していない。
 これに対し、日本政府の海外向け広報は弱い。各国に対する説得も「尖閣島に関して領有権問題は存在しない」、「歴史的事実と国際法に照らしても日本固有の領土である」というのでは効果に欠ける。「中国は尖閣島に関心を持たず、1970年代から急に領有権を主張し始めた」の一点に絞るべきだ。                 (完)

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2012年10月19日金曜日

Long and Winding Road to China Democracy

  #77 中国の財政が危ない――公式報告を信用できるか?


 一体私の専門は何か? なんでも書いているせいか、以前からよく訊かれたことです。  本日現在、はっきりしておきましょう。 ブログには確かになんでも書いています。私もテレビのバラエティ番組に出演して専門分野でも専門外でも、なんでもしゃべる評論家の類です。 しかし、新聞や月刊誌など社会の公器と言われるメディアには、専門外のことを書いたことはないし、これからは「スポーツ」、「英語(教育)」を専門にします。長く専門にしてきた「経営」と「地方政治」からは引退しました。 公器への執筆では、実践と現場調査に基づいて論理的に組み立て、結論に導くことが問われます。
 他方、ブログでは、自由な発想で提唱あり、推測あり、エッセイありの内容にしており、言わば発想ゲームみたいなものです。私の推測は、将来事が起きるまでは検証されません。 そう、諸君たちに発想のネタを提供し、考えてもらうことを意図しています。多少は諸君たちが教養の幅を広げられることにお役に立てることを望んでいます。
  さて、今回も中国特集を続けます。

故・大来佐武郎(おおきた さぶろう)氏の進講  
 大来佐武郎は第一回の「経済白書」の執筆責任者であり、著名な国際エコノミストだった。大平内閣で民間人として外相に起用された。当時の新党・新自由クラブにかつがれ、比例区から総選挙区に出馬したが落選。彼の大きさを認識できなかった新党が名簿の下位に置いたからだった。    
 1970年代に日本企業からアジアに出張していた時、例えば、タイでは国際経済の巨人として名声の聞えが高かった。日本におけるより、知られているようだった。  この頃、彼は中国政府に招かれ、政府の経済幹部に対して国家の財政について進講した。彼は「まるで小学生に講義しているようだった」と言ったことが伝えられた。おそらく、幹部たちは知った振りをせず、初歩的な質問をしたという。謙虚に学ぶ心がけを持っていたのだろう。  
 先日、東京で開催された世界の財務相と中央銀行総裁が集まる年次総会には、中国の財務相も中央銀行総裁も欠席した。尖閣島問題によるとメディアは推測しているが、会社で言えば社名だから仕方がない。二人は3日間の総会で各国の発表と、財政首脳と交わる貴重な機会を失った。  中国政府は建国時代に持っていた謙虚に学ぶ心がけを無くしたのかもしれない。

中国の財政が危ない  
 中国政府は全力を挙げて山積する課題に取り組んでいるが、財政危機もその一つ。私が下記に挙げるだけでもいっぱいある。中国の財政危機を克服できなければ、日本経済どころか、世界の経済に大きく影響するので、なんとか改善をしてほしい。日本も財政危機にあるからあまり他人様のことは言えないが。

  ① 国債の過大化
 得られるデータはまちまちで正確さを欠くかもしれないが、現在は国債残高が10兆元、邦貨で120兆円を超えているらしい。GDP比で言えば日本の1/7で大したことないが、最近では毎年2,3倍も急増させていることが問題。
 結局、国と国有銀行が保有していて借金のたらい回しみたいなもの。

  ② 地方政府の公債   
 中国の地方政府には中央から共産党幹部がトップに任命される。会社の本社が子会社の社長を送っているようなものだ。彼らが一国の城主のように勝手放題をしていることが伝えられstyle="color: #783f04;">る。蓄財のチャンスなのだろう。
全国の地方政府が公債を発行しているから、おそらく中央政府は債務の全容を把握できていない。会社で言うなら本社に報告する年度決算書にも粉飾がありそうで信用できるのかどうか。

  ③ 国営企業、国有銀行の債務
中国の大企業はまだ多くが国営企業だ。4大国有銀行は数年前に経営破綻して政府がIMFの資金によって再建した。  国営企業も国有銀行も統計より多い累積債務を抱えているだろう。

  ④ 国防費の増大
年々増大する国防費を止められない。海軍が空母建設を含む太平洋艦隊を増強し、国威発揚のために、空軍が進める有人衛星の打ち上げにも巨額の予算を使っている。それも国際協力なしで中国単独でやっている。     人民解放軍の最高司令官である胡錦濤国家主席の軍の統制力が弱まっているのか。

  ⑤ 公共事業の重荷
道路や鉄道の延長に加えて、原発100基を建設するという。テレビ番組で見ると高 山から辺境まで観光地が整備されていることに驚く。問題はその維持コストが年々増えて財政の重荷になることにある。

長年の高成長体制は低成長に弱い
私は中国政府は財政の実態をどこまで正確に把握しているのか疑問に思う。何しろよく言われるように統計そのものが怪しいからだ。  このような財政問題を抱える中、今年度の経済成長は7.4%に落ちると伝えられる。つまり、国家の歳入がさらに減るということだ。  
 中央政府は全力で取り組んでいるだろうが、現実には「課題は分かっているが、多過ぎてどう手をつけていいのか分からない」というのが実情だろう。                (完)     

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2012年10月13日土曜日

Long and Winding Road to China Democracy

    ♯76 上海たより――ここらで一息入れる


 相変わらず長くて堅い中国特集を書いてきました。 時勢に乗る内容を書くといつもより反響があり、その中には「日本語で書いても意味がない。中国語か英語で掲載せなあかん」という意見がありました。私は日本の若者世代に書いているのですが、彼らに私のメッセージが伝わっているかどうか。どっちみち中国ではブログを規制していて開けないのです。
 それでも、意見に刺激されて、私が好きなビートルズの曲「The Long and Winding Road」から借りてタイトルを英語にしました。いつか在中国大使館の情報収集に引っかかるかもしれません。中国の外交官は日本に滞在して、それなりに多様な見識を持っているはずです。
  もう一つ、Facebookに登録しました。販路開拓ならぬ読者開拓につながる期待を持って。
 さて、今回は久しぶりにI氏からの「上海たより」を出します。人柄を反映する穏やかな文の現地情報でひと息つきましょう。
                ―――――――――――――――――――――――――――――

  (前段略)
 大関の鶴竜関は場内放送で「モンゴル スフバートル市出身 井筒部屋」と紹介されています。ダムディンスレンやチョイバルサンと並んで、モンゴル革命の英雄時代を彩る人物であるスフバートル由来の市名を聞いて、若き日のモンゴル好きの血が騒ぎます。学生時代に本で知ったのですが、モンゴルでの社会主義政党は1920年に成立していて、中国共産党第一回大会が1921年8月に開かれるより早く立ち上がっていますね。
  さて、モンゴルと同様に英雄時代が中国でもとっくに終わり、次のトップもチームリーダーとして各グループの軍と党と民意の三角神輿に乗ることが必須条件になることでしょう。東京の首相は北京とのホットラインを持っていない、いつも電話で直接連繋するタイミングを逸している、と評する人がいます。しかし、バランスを取っていくしかない集団合議システムの中で、トップ同士だけでの電話会談は、中国側にとって非常に危険な行為であり、誰も受話器を取る(中国語では『火中取栗』といい、『拾う』とは言いません)人は居らず、回避するのが普通でしょう。 
  ユーゴの中国大使館を誤爆した時、クリントン大統領が江沢民主席に電話を断られたというのは有名な話です。(因みに江氏は卓越した英語力の持ち主と言われております。1989年の6月動乱当時に、上海の学生たちを前に英語で演説して煙に巻き、事態を乗り切ったあと、党人事ヘリコプターに乗ったとも言われています)  
  松下電器とPANASONICが同じ企業であることを知っている人が、山東省青島市黄島 の群衆の中にどのくらい居たでしょうか? 21日からの新聞報道には、「19日に終息した・・・」 という枕詞が使われ始めました。それと同時に経済への影響に関する記事が増えました。また、 無法略奪者と合法抗議者を峻別する言い方が増えています。各地からの報告の中にも、「暴行は、出稼ぎ者の仕業」とか「青島は黄島地区の余所者から顔に泥を塗られた」という青島旧市内の住民からの声もありました。同様に長沙からは、「失業者の鬱憤」「学生の無知」を強調し、自分たちも怖かったとの声。
 お馴染みになった「日本の一部右翼の仕業」という言い回しと同じで、対象を仕分けして都合の良い(この場合は弁明)をする伝統的な手法が始まりました。 ちょうど40年前の国交正常化交渉に先立ち、中国では周恩来首相が牽引して「日本軍国主義と日本人民は別だ。日本人民も被害者だ」という国内説得工作が行われたことは知られています。当時から、この手法には無理があるなあ、と感じていました。また、「戦争賠償金は受け取らない。日本経済の発展の足を引っ張りたくない」という交渉結果にも、双方に対して首を傾げていました。臥薪嘗胆(意味は異なりますが)してでも、賠償金を完済すれば良かったと考えます。
 その青島市黄島地区について、関川夏央さんの20年前の文章に再登場して貰います。20年前の青島、黄島がどんな雰囲気だったか思い浮かべることができます。今でも丸い話を四角に語り、座の雰囲気を重くする商社員の若き日の姿もスケッチされています。  「9月18日について、80年も前のことを我々は知るはずもなく・・・」と臆面もなく前置きをして、中国の現状をコメントする姿勢は慎みたいと思います。他の例を挙げれば、9月3日を記念したロードレースが北京の盧溝橋を中継点として行われ、新聞にも報道されています。
 1945年9月2日にミズーリ号で、重光葵らの日本代表が太平洋戦争終結の降伏文書に署名した日、それは即ち、第二次世界大戦の集結を意味しており、Victory over Japan day(=JV-day。Victory in Europe day=VE dayは5月8日)として海外では知られております。中華民国が1945年9月3日から5日まで祝勝休暇としたことが、中華人民共和国でも継承され「対ファシスト戦勝記念日」として定着しています。このように5月の上海だけでなく、9月の北京にも彼我の意識の違いの大きい日付があり、そしてそれが増幅されて続けていることを感じます。未来思考とか、歴史認識とか言う次元以前の現実のギャップです。
  9月10日以降、各地の中国人の友人知人から連絡を貰いました。婉曲な表現ですが、『保重 身体(お大事に)』という常套語にも、今回は意味を持たせていることを感じました。内外の各種報道の紙背や、口コミ(タクシードライバーの発言も含め)の含意を探りました。東京での会議で報告協議し、方針を明確にしたあと、「安全第一。業務第二」「駐在員・スタッフその家族の安全対策と情報収集」「臆することなく経済活動を継続する」の発信をして今日に至っています。
 17日から激変した中国の新聞報道は、9月18日当日も引き続き抑制的でした。『環球時報』一面は米国務長官の調停関連。三面に日本の次期大使関連。七面に「在華日系企業は中国への感情が良い企業。右翼ではない」「日本商品をボイコットするより、中国品が日本品を凌駕する技術が大切」などの記事。『参考消息』には日本関係記事が減り、漁船出港、日本人評論家の打開策論説の転載が目立つ程度。 時事配信によると、共産主義青年団の機関紙・中国青年報は「鬱憤(うっぷん)晴らしの愛国では釣魚島を守り抜けないし、国家利益も民族の尊厳も維持できない」と苦言を呈し、「愛国と『害国』は紙一重。理性が両者の境界線だ」と訴えた。公安省の機関紙・人民公安報も「日本製品の破壊は愛国ではなく『害国害民』の違法犯罪行為だ」との厳しい論評を掲げた、との事です。
 しかし相対的に「抑制的」であっても、国民の無法行為とその放任に対する政府の謝罪と弁償については一切触れていません。暴動発生についても間接話法で婉曲に表現するのみで写真付きの記事はなく、日本で繰り返し放映された長沙の平和堂破壊のようなリアルな画像は知らされていません。琵琶湖の南で事業を展開している平和堂が、湖南省でも定着を目指した企図が破壊された一日は、過去の数千日の努力の蓄積と信頼を裏切りました。
 19日、出勤途中に見た領事館付近は、フェンスのみ残り、ゲートは撤去されていました。 警備要員は少数で緊張感はなし。新聞報道は、日本海上保安庁の船と中国政府系の船が並走する 写真を一面に掲載されているものの。米国国務長官の東京・北京での動きに関する記事が目に付く程度で、3日前までとは様変わりにお気楽な記事が増えました。そして、北京から以下の情報がもたらされました。 
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 平成24年9月19日 在中国日本国大使館  本日(19日)朝、当地関係当局より、在中国日本国大使館前の交通規制は解除される旨連絡 があるとともに、北京市公安局は、「抗議活動は一段落した、大使館区域の交通秩序は正常に復 帰した。(中略) 大使館区域への抗議には行かないよう、また、良好な交通と社会の秩序の維持 のため関係当局に協力してほしい」旨のショートメールを北京市民に発出しており、当館前での 抗議デモは一段落したものと思われます。 また、北京以外の中国国内の都市でも、本日、抗議デモが行われるとの具体的な情報に接しておりません。    
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 「一段落」と言われても、問題解決ではないので、引き続き気を緩めずに、情報収集と安全対策に努めながら、臆することなく経済活動を遂行します、とコメントを添えて転送しました。 懇意にしている近所の花屋の大将は、青島・長沙・蘇州などの暴動事件については一切知らず、「そんな事ありえないだろう?本当か?」という反応でした。それでいて、日本から特使派遣・次期大使の下馬評などの事は詳しく知っていました。ただ、各種展示会が中止、夜の街も静かな為、鮮花の売上が激減したと嘆いてみせた後で、菊の鉢植えを押し付けながら「俺たちは友好」と笑っていました。
 毎朝の出勤途上のスタンドで2,3種類の新聞を買います。新聞売りのオッサンは一面に激しい言葉が並ぶ毎日でも、いつも通り丁寧に新聞を畳んで呉れ、1部1元(12.5円)の代金を「謝謝」と頭を下げながら受け取ります。オフィスビルの同じフロアに所在する韓国大手企業の総経理とは隣人として時々会食やプレゼントをする仲です。その総経理が「南の島の騒動はどうなったの?韓国だったらもっと激しい投石やデモが起こるけど・・・」と聞いてくるので、「上海は特別に整然としていたと思う。フェンスとゲートで流れを絞り込み、3段階の装備をした警官が規制した。デモ参加者もバラバラに歩いてくるか、貸切バスから押っ取り刀でやって来るのだったから迫力は無かったよ」と応えながら、「もう少し北の島のことは、聴かないの?」という言葉は控えました・・・
 こんな風にして日常は続いています。(社宅→花屋→新聞スタンド→国際貿易センター。徒歩15分。途中領事館の搦め手を通過します)                 (了)

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2012年10月6日土曜日

Long and Winding Road to China Democracy

  #75 ネット紅衛兵に問う10項目の質問


① 五星紅旗の国旗に書かれた小さい四つの星の意味を知っているか?
 労働者、農民、小資産階級、愛国的資本家の4つを意味するとされる。後の二つは私 にはよくわからないが、重要度の順になっているのか。最重要の労働者と農民は建国の目標だろう。諸君の多くが属していると思うが、これが政府に軽視されてきた。 諸君が持たされている不満は日本とは関係がない。

② マルクスの著書を読んだことがあるか?
 日本では多くの学生がマルクスの著書を読んでいる。私は工学部卒であるが、教養科 目としてマルクス経済を学んだ。マルクスをかつて学んだ経営者や官僚は少なくない。日本人は複眼なのだ。もっともソ連の崩壊後はマルクスが読まれなくなっている。

③ 諸君が学んだ中国の歴史教育は偏向していると思わないか?
 誰でも、私も高校時代にマルクス史観に影響された先生(当時は普通のこと)から世 界史と日本史を学んだ。自虐的歴史教育と呼ばれる。今も日本では愛国教育などやっていない。私から見れば、中国の歴史教育は北朝鮮と変わらない。

④ 日本が搾取していると思うか?
 諸君の周りにいる日本人は企業経営者であれ、レストラン主であれ、平均の日本人よ り給料が高いだろう。海外地に暮らすから手当てもあり、良い生活をしているように見える。しかし、中国人成功者に比べれば比較にならない。出資者である親会社が配当や利益の一部を受け取ることと、搾取とは意味が違う。これが搾取とされるのなら、中国に進出する外国企業はなくなるだろう。

⑤ ロスで韓国人の店が襲われたことを知っているか?
 何かきっかけがあると暴動と略奪が起きることはアメリカで時々ある。私が滞米中にロサンゼルスで黒人群衆が韓国人の店を襲うことがあった。例えば、果物店では朝早くから果物を一つずつ磨き、おいしそうに見せるから商売が繁盛する。これで韓国人がうまく儲けていると見られて狙い打ちされるのだ。商売が繁盛するのには、韓国人も諸君の周りの日本人も関係がない。嫉妬と不満が背景にあるだけだ。

⑥ 日本は軍国主義を進めていると信じているのか?
  諸君は中国政府による情報に支配されている。中国人の半分が日本は軍国主義化していると信じているという。日本の自衛隊は近代化されているかもしれないが、憲法と世論の縛りが強く、どの国にも攻撃することは許されない。領土の野心もない。諸君は日本にいる中国人に確かめてみるとよい。

⑦ ハワイやグアムの太った豚を知っているか?
 行きたくても行けないから無理もないが、ハワイでもグアムでも中国人観光客でい っぱい。日本にも中国人観光客が来て、家電製品や海外有名ブランド品を何十万円も買い漁ってきた。彼ら太った豚や子豚たちは、中国の旅行会社が安値を半強要するツアーの中国人とは階級が違う。最近観たホンコンのテレビ局がつくった番組では、海南島のリゾート地で遊ぶ中国人の成功者と官僚の子供たちを紹介していた。 諸君は日本人ではなく、彼ら太った豚と子豚を問題にすべきだ。彼らは諸君の取り分を搾取しているのだから。
 諸君は日本で最初に 海外旅行ブームをつくったのは、ノーキョウと呼ばれた農民の団体だったことを知らないだろう。

⑧ 天安門事件のデモ群衆との違いをわかるか?
 1989年に起きた天安門事件には、天安門広場だけで100万人の群衆が集まった。 この民主化運動を政府が弾圧した時、アメリカの町に住んでいた私は、親しいアメリ カ人数人の会食で中国政府による弾圧を支持して彼らを驚かせた。そして非難を浴びた。なぜかと言うと、まだ市民のレベルが成熟していないので時期尚早だと思ったからだ。政府が強行策を取らず、全国に混乱が広まり、犠牲者は350人ではすまなかっただろう。
 先日の反日デモでは最大の日でも85万人だと伝えられた。100万人としても人 口の0.1%以下。とても民意を表しているとは思えない。 諸君たちが政府機関から国旗、横断幕、プラカードが支給され、さらに送迎のバスも与えられた。天安門事件の群衆は政府に対して民主化を要求する目的を持っていたのに対し、諸君たちは何を目的にしたのか?

⑨ なぜ巨額の軍事費を使うのか、背景を知っているか?
 今、世界で中国を攻撃する意図を持っている国は皆無で、諸君はどう教育されている か知らないが、これは本当のことだ。それでも毎年軍事予算を増やしている。いくら大国であれ、3軍計160万人、人民警察部隊66万人、その他の警察官2100万人、中央と地方を合わせた公務員が1千万人以上。因みに、日本の自衛隊は25万人、警察は29万人。中国の国家予算は80兆円でほぼ日本と同じなのだから、これでは諸君たちには金が回らないはずだ。

⑩ 中国政府の体制を私が「会社民主主義」と呼ぶ理由がわかるか?
 切磋琢磨して実力をつけた社員が取締役になり、さらに取締役会で社長が選ばれる会 社組織に、中国の政治体制が似ている。国家主席には任期があり、独裁者と違って長期に権力の座にとどまれない。私は13億人の中国を統治するにはこの体制が良いと信じてきた。 ところが、天安門事件以来23年間、歴代政府は内政でいびつな経済成長のほかには 改革の実績を挙げていない。諸君たちはその負の影響を受けている。不遇、不満、腹立ちはここにある。反日デモに利用されたところで、何一つ解決することにならない。 

ニッポン紅衛兵はいくつ知っているか?
 対中外交は情報総力戦になってきた。それを支えるのは世論。若者諸君も知識武装を求められている。ニッポン紅衛兵は上述の質問の中でいくつ知っているか?       (完)

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