2014年6月18日水曜日

#118 地方の民放局から台湾ニュースを――NHKは反台湾か?

 私は日本放送協会NHKを日本語破壊協会と呼んでいます。ニュースなど報道番組における日本語の乱れがひどいからです。 世間では組織と偏向番組について批判が高まっています。
   もう10年も前に、『週刊サンケイ』に100回以上連載されていたNHK番組の思想偏向を指摘する記事を3,4回読んだことがあります。残念ながら同誌は現在休刊になっているとのことです。
 番組の偏向は国際ニュースにもあります。NHKは親中国と言われているように、確かに中国に関する報道が多い。と同時に台湾軽視の姿勢が目立ちます。これはトップの方針なのか?

 今回は台湾報道を中心に書きます。

日本にとって台湾は重要な存在  

 中国政府は、日本海、尖閣諸島を含む沖縄沖から台湾、フィリピン、インドネシアまでの東シナ海、南シナ海に及ぶ海域に第一防衛線を設定している。大戦直後にはアメリカの海軍が提唱したアチソン・ラインとほぼ同じだ。
 地図を見れば分かるように、台湾はこの防衛線の真ん中に位置する。中国政府が、尖閣諸島どころか台湾も領有化することを公然と発言している今、日本にとって台湾は重要な存在だ。にも関わらず、日本の市民大衆は台湾に関心が薄い。
 言ってみれば、台湾は最も親日の国だと単純に嬉しがっているだけ。

NHK国際ニュースの偏向

 早朝のNHK・BSテレビの国際ニュースを観ると、海外20ヶ国以上のテレビ局からのニュースを報道している。おかしいことに、この中に台湾は入っていない。 他の国際ニュースやアジアのニュースでも、インド、タイ、フィリピン、シンガポールのほかに近隣のロシア、韓国、中国、ホンコンのテレビ局からのニュースは常時報道されるが、台湾テレビ局からのニュースは含まれない。
 他国なみに台湾について政治、経済、社会の日常を知る番組がない。時々、民放テレビが台湾に関する番組を放映しても、出ない方が観られる(70年代末から80年初めにアメリカ社会が緩み、やる気もないマナーも悪い店員が見られて「居ない方がよく売れる店員」と言われた)変なタレントを起用するグルメと観光の番組のみ。台湾のドラマも一つくらいは観たい。
  (NHKの偏向については本稿#25(2010、1月)の中で書いている。「岡本博志の若者塾#25」で検索すると開けます)

地方テレビ局から国際地方化  

 私の造語「国際地方化」を1987年以来に著書、評論、講演で提唱してきた。その後、地方都市間の姉妹都市提携、大空港を除いて19に増えた地方の国際空港、地方立地の企業が東京の海外部門を経由しない海外事業の事例が増えてきた。
 もう一つ提案したい。それは全国の地方テレビ局が、東京キー局から海外ニュースのおもらいをやめて、独自に海外テレビ局との双方提携でニュースを報道することだ。双方が地方事情について知り合うことができる。
 NHKの偏向がいつ改善されるか分からないから期待しても仕方がない。ここは地方テレビ局の出番だ。 ことはテレビだけではなく、新聞にも偏向がある。 この稿を読んでおかしいと思わなければ、諸君の感性はおかしい。おかしいと思うなら、インターネットで意見を出してほしい。                         (完)

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2014年6月13日金曜日

#117 憲法改正の実現は遠い――尖閣に何が起きるかが問題

 このブログについて長くて堅いというのが定評(?)らしい。主に年寄りからの意見です。私もそう思っています。 しかし、老い先が長くない私にしてみれば、若者に何か遺したいと願うことから、面白いことを軽く書いても意味がないのです。仮に面白く書こうとすると、真面目な番組で身についていないおふざけをするNHKのアナウンサーのように、しらけてしまうかもしれません。
 もともとおふざけは芸として難しいものです。 ご意見に耳を傾けて、先ずは一節を少しずつ短くしていくことにしましょう。

 今回は改憲と憲法の解釈変更について書いてみます。諸君の時代にはどうなっているか?

憲法改訂とアジア情勢  

 「集団的自衛権を持つが、行使できない」というのは、これまで歴代政府が政府の一部局である内閣法制局の解釈に従ってきた。本来なら、憲法を改訂して他国並みに集団的自衛権の行使をはっきりすべきだという野党の主張は正論だ。
 しかし、現実には憲法96条に改正の要件は、国会議員の2/3以上の賛成で発議し、その上で国民投票によって過半数の賛成を得なければならない、と定めている。これはほど遠いことで、改正が実現することはいつになるのか分からない。諸君たちの時代にさえ実現するかどうか。  
 その間にアジア情勢は刻々と変化している。  中国は東シナ海と南シナ海の全域を「排他的」(私は「独占」と訳すことを提唱)経済水域を事実上中国の内海化することを着々と実行している。
 中国は南シナ海に石油掘削施設を設置し、さらに小島を埋め立てて軍事施設を建設しようとしている。いずれもこのままでは実効支配になってしまう。
 ベトナムとフィリピンが艦艇を派遣して阻止しようとしているが、もう遅い。中国が工事を始めた時に阻止しなければならなかった。他国のことは言えない。半世紀前に韓国が武力行使によって竹島にヘリポートと監視施設の建設を始めた時には、日本政府は抗議をしただけで黙ってなりゆきに任せて今日にいたっている。
 ベトナム、フィリピン、日本は中国と韓国の実効支配を排除するには武力行使の手段しか打つ手がない。戦闘をいとわない中国相手ならとてもやれない。

  ◇ 改憲のハードルは高くないのに

 改憲発議のハードルが高過ぎとされ、そのせいか戦後に制定されてから一度も改正されていない。  「これまでうまく機能してきた」とか「国民の意見が盛り上がらない」と言われて改正に反対が強い。自民党も長く改正を唱えながら、選挙対策のゆえか本気で国会に発議をかけたことがない。  軍国主義と敗戦の反動から終戦直後に制定された現行憲法を変えることは長くタブーだった。
 アメリカがつくった憲法であることは歴史的事実ではあるが、この絶対的平和憲法は我々日本人の手にある、つまり日本人が保有する憲法だ。今は日本人が変えようと意図すれば変えられる。アメリカは関係がない。
 さて、本当にハードルが高いのか?  因みに、アメリカでは憲法改正(Amendment修正と言う)には連邦議会両院で2/3以上の賛成により発議、各州の3/4の賛成が必要とされる。1788年に憲法が制定されてから今日まで26回修正されている。 もう一つインターネットで調べてみると、日本と同じく敗戦国のドイツでは、連邦議会両院の議員総数の2/3の賛成が憲法改正の要件であり、国民投票はない。これまで時代に合わせて50回以上も改正されている。  こう見てくると、日本の改正要件は決してハードルが高いとは言えない。

  ◇ なぜ憲法の解釈変更か?

 改憲が当分できないことを知る自民党・政府は、集団的自衛権を行使するためには憲法の解釈変更しかないと判断しているのだろう。国の安全保障を担う政府は正論(往々にして空論)より現実につくことは当然のことだ。
 ところが、国会の会期末が22日に迫る今、公明党が集団的自衛権を閣議決定することに反対を続けている。創価学会政治部の平和主義公明党は簡単に譲るわけにいかないが、どっちみち条件をつけて合意するだろう。なんでも反対の姿勢を続けた後で、政府案に合意することは地方政治でも国政でもよくあることだ。
 さて、なぜ改憲を今できないのか?
 これには長年蓄積されてきた根深い改憲アレルギーがある。 それは、表面的に反対勢力が強いことであり、野党の議員が国会で「子や孫を戦争に巻き込んで犠牲者が出てもよいのか?」、「世界中でアメリカ軍に引っ張られて戦争することになる」という短絡した発言に大衆は説得される。反対集会やデモに参加するオバサンやバアサンは日本が置かれた状況を認識しているのだろうか。諸君は?

◇ 中国に対する抑止力  

 東シナ海における中国の海軍と空軍は日本の脅威になっている。特に尖閣島と海域に対する脅威は誰にも分かるはず。 ベトナムやフィリピンが領有を主張する島に中国が施設建設と島の埋め立てによって実効支配をしようとしている。残念ながら両国のアクションは遅かった。もっと早い段階で対応すべきだった。
 今、いつでも中国は尖閣島に施設の建設をして実効支配に出る恐れがある。将来に改憲をするにしても、法律整備もすぐには対応できない。今は憲法の解釈変更で対応することはやむを得ない選択だ。
  マスコミは、内閣法制局の後退と政府の人事介入を批判するが、もともと政府内閣の部局、つまり行政の機関が国の安全保障政策を支配することがおかしい。本来なら司法機関として最高裁に属すべきなのだ。 因みに、アメリカの違憲判断は連邦最高裁が行い、8人の判事は時の政権が任命し、議会が承認する制度になっている。それでも政権の政策遂行に有利な判事が任命される。 集団的自衛権の行使は当座限定でよいから、早く閣議決定すべきだ。これが中国に対する抑止力になる。                   (完) 

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2014年6月1日日曜日

#116 政治の右と左、保守とリベラルとは?――整理を試みる

 前回でウクライナの騒乱について他国の例も挙げて書きましたが、読者からの反応は鈍く、一ヶ月に500を超えたこともある閲覧数が初めて300を切りました。考えれば無理もないことで、日本にとってウクライナは関係がない存在ですね。タイトルも良くなかった。週刊誌調に「中国に飛び火するか―ウクライナの騒乱」にすれば良かったかな。  
 しかし、私はテーマが何であれ、諸君たちが次代の中心になるので、近未来の時代を意識して書いています。 以前に中年世代から質問を受けたことで、また最近若者から訊かれました。右派、左派を初め、政治と社会の思想について言葉が混乱しているので、今回は用語について整理してみましょう。

右か左か、ややこしい区分け  

 人は区分けをしたがる。あの人は右か左か、のように。さまざまな用語が使われているのでややこしい。そこで思想の用語を挙げてみよう。
 先ず「右」からは、右派、右翼、保守、国粋主義、極右。
 右派は穏当な表現で、政治的にも社会的にも大きな変革を望まず、国家の在り方と伝統を重んじる。保守主義と同義。右翼と呼ぶと右翼団体のイメージと重なるようであまり使われない。国粋主義というのは、天皇を頂点とする国体護持を唱える日本の伝統的国家至上主義であり、右翼団体が信奉する。極右も国粋主義とおおむね同義であるが、日本ではヨーロッパで最近台頭するような極右政党は見られない。
 次に「左」では左派、左翼、革新派、リベラル、進歩主義、社会主義、共産主義、過激派など。    
 最近では左翼、革新派、進歩主義の言葉はあまり使われなくなり、反保守としてリベラルがよく使われる。リベラルは個人の権利や社会の変化に寛容である反面、伝統的価値観があいまいで国家観が薄い。  
 そのほか中間の用語として中道保守と中道左派がある。

諸君に問う、保守かリベラルか

  講釈をさておいて、一つの例で諸君の考えを問うことにしよう。
 アメリカでは最近、いくつかの州で同性結婚を認める法律が通った。これからもっと広 がるかもしれない。 私がアメリカの地方都市に住み始めた1978年には、同性結婚どころか同性愛も社会の表では認められていなかった。同性愛を表社会でも認知されることを求める運動がデモの形で行われていた。
 町の友達との会話では、「同性愛は勝手にやればよいが、押入れの隅に引っ込んでいろ」と言い、デモに反発していた。私はここまで言わなかったが、内心では「何も騒がなくていいだろう。静かにやればいいではないか」と思っていた。
 それが90年代になると、ニューヨークや西海岸、特にサンフランシスコでは大規模な同性愛者によるデモが行われ、出張した時には「我々は同性愛でござい」と誇示する七色の旗があちこちの家に掲げられているのに驚いた。 そして、今や同性結婚でさえ法律で公認されるにいたった。
 30年でこれだけ変わったのだ。最近、アメリカ人の一人が、「離婚率が5割を超えたのだから、普通の結婚に大した意味がなくなったのだよ」と言う。 さて、私はと言えば、DNAが起因するという同性愛を認めるにしても、同性結婚には反対だ。つけ加えると、夫婦別姓も子供が迷惑するから反対だ。夫の姓で戸籍に入っても妻が職業上の理由で姓を変えたくないなら、そのまま通称として旧名を使えばよい。
 因みに、私は本名が博で、博志はペンネームで通称であり、本名は公文書でしか使わない。 こと同性結婚に対しては、私は保守派である。そして、日本はアメリカ社会に追随せず、日本には日本の社会があると信じる点で保守派である。私は日本が特殊社会ではなく、アメリカが世界のどの国にも参考にならない特別の社会であると思っている。
 諸君は保守かリベラルか、どちらか?

政党と私の政治遍歴

 かつては政党の違いが分かりやすかった。 若い頃は自民党と社会党の二大政党時代だった。 
 日本企業の労働組合の影響で社会党を支持していた。加えて、日本の政治に疑問を持ち、社会主義に期待を寄せていたこともある。 田中元首相は、「自民党には右から左までの人材を擁し、総合商社みたいなものだ」と言って国民政党と称し長期政権の基礎にしていた。自民党はまともな保守政党ではなかったから、そのために野党が育たなかった。
  当時言われていたことがある。「30代で自民党支持はバカ、40代になっても社会党支持はバカ」と。  
 最近では、ソ連が解体した後、マルクス主義が衰えた。それまで左派あるいは左派急進派として鳴らした学者や評論家は拠って立つ足場を失った。彼らはその代わりに嫌日・反日で飯を食っている。こういう連中「はねっかえり左派」が国立大学とNHKにいる。国と視聴者に養われる身でありながら。                    (完)

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