2018年10月31日水曜日

#202 スポーツの監督もお上頼りか――国に何ができるのか?

 新聞報道によると、相次ぐ競技団体の幹部によるパワハラ事件についてスポーツ界のみならず世論が政府による監督強化の声が上がっています。例によって、何かあるとお上頼りという風潮でしょうか。  選手が協会を訴える、極端な例では内閣府に訴えるというのはどこかおかしい。考えてみると、個人種目の選手です。もちろん、団体競技であっても個人が競技します。  彼らには社会経験が少なく、またチーム競技を知らないことが共通しています。  私は小学校では剣道(竹刀(しない)競技)、中学校から大学まては野球部でしたが、この経験から言うとチーム競技では監督によって運不運があることは普通であり、不遇であっても我慢しているうちに道が開けるので、私も誰も監督やその上にも上訴することは稀なことです。それは自滅行為だからです。 
 さて、監視監督をお上に頼って何を期待するのでしょうか?
 因みに、アメリカには国内オリンピック委員会の他には全国組織がないし、お上にスポーツ庁はありません。

 ◇ 貴乃花騒動 
 日馬富士の暴力事件から思わぬ展開になった。現役横綱と貴乃花親方の二人の人材 を失った。相撲協会とファンにとって不幸な出来事だった。
 それにしても、私が将来の理事長と思っていた貴ノ花の挙動は不可解だった。
  弟子の貴乃岩が暴力被害者であったことから、貴乃花親方が理事でありながら協会の理事会に出席せず、呼び出しにも応じずに審査協力を拒否した。理事会は会社で言えば取締役会だから欠席を続ければ取締役を解任される。貴乃花は理事を解任され、降格された。
 この頃、私は協会の措置は当然と思ったが、周囲は協会を批判し、貴乃花を応援していた。世間とはこういうものだろう。 
 ところが、彼が協会から離れ、部屋を解散すると世間の風向きが貴乃花批判に変わってきた。  少数派の意見にはこんなものがあった。 

 「運転手付きの高級車を乗り回し、毎度仕立ての高級背広を変えて、相撲部屋というのは儲かるもんだな」 
 「現役時代には多彩な技を使えた貴乃花が、なぜ協会に対しては突っ張りだけの単純な技しか使わなかったのか」 
 「相談相手の弁護士は何をしていたのか」 
 「結局、自分を追い詰めただけで、あんな態度では相撲界の改革はできない」
  「功をあせったのか、改革の計画も戦略もなかったのだ」 
 「純粋培養の育ちの限界だったか」 

参議院選挙にかつがれる 
 来る参議院選挙に自民党が貴乃花を候補に立てるという。
  彼は部屋を解散し、弟子たちを手放し、相撲協会と縁を切った。まったく自由の身になったのだから、ひょっとすると選挙に出るかもしれない。自民党の筋では70万票を取れると言われている。
  彼は演説では何を話すのか?
 今度の騒動では戦略的思考が必要なことを学び、どんな政策を訴えるのか? 

不祥事はスポーツ界に限らない
 官僚の文書改ざん、医科大学の不正入試、企業の品質検査ごまかしなど不祥事が相次いできた。数年の間に集中して繰り返し起きてきた。
 思うに、今は警察・検察の力が犯罪と辛うじて均衡を保っているようだ。

 ◇ 諸君たちに説いてきたこと
  私は本稿においてリーダーか将来のリーダーに対して、教養と論理的思考力を磨いてほしいと言ってきた。 教養とは人に見せびらかすためではなく、自分のデータベースを大きくし、いつでも必要に応じて取り出せることだ。教養は知識と言ってもよい。
  そして、論理的思考力とは道理に従って自分で考えることだ。世間に通用する道理には怪しいものがあるが、おおむね正しく自分の規範にすることができる。
 もう一つ。計画や戦略を立てる時には、普通の人が考える期間の2,3倍を設定するといい。成果が上がらなくてもじっと耐えれば大抵の場合、目標を成就できる。
  さて、諸君たちが持てるデータベースと思考力を働かせるなら、私の考えに反発するか、共感するか?か?                (完)        

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