2009年3月24日火曜日

#1日本経済「山火事と洪水が同時に来た」

 私の考えでは、今の不況は三つの不況が重なっているので深刻さが厳しいのです。
 不況の第一は、過剰供給、つまり供給が慢性的に需要を上回る業界で2007年から始まっていて、小売・流通、中小金融機関、不動産・建設、陸運などの業界があります。急に悪化したように言われている自動車業界もそうです。車の国内販売はこれまで10年以上も減少しているのです。
 不況の第二は、2008年の原油高騰によるものです。一時180円だったレギュラーガソリンは今100円近くまで値下がりしましたが、まだ後遺症が残っています。
 不況の第三は、昨年9月にアメリカから始まって以来の世界金融危機によるもので、これが最大の不況要因です。
 私は今の不況を「山火事と洪水が同時に来た」と言っています。金融危機は一見人災のように考えられますが、つまるところ人間の欲望によるものですから、大なり小なり天災と同じく繰り返されるものでしょう。
 私が17年半アメリカに住んでいた間に、毎年のように西部では山火事、中西部から南部までのミシシッピ川の流域のどこかでは洪水が起きます。政府は大災害指定として国の予算で被害者を支援するだけで、ダムをつくるなど特に対策を講じることはありません。
 被災者には不運ですが、山火事には古い木が燃えて焼け地から新芽が出てきて森を再生します。洪水も土地を肥沃にする効果があります。
 今回の不況においても、過剰供給業界や改革できない企業が淘汰されることは不可避なことです。その代わり、新芽と言うべき新事業や新技術が興るための 土壌が広くなり、日本の産業が再生される効果があります。だから、政府が一時の緊急救済を除いて、従来の経営を変えられない企業もすべて支援することはバラマキになってしまい、生き金の使い道にはならないでしょう。
 
 アメリカの災害犠牲者が悲嘆にくれながら、いつも前向きの姿勢を見せる時に言う言葉があります。Nothing is end of the world と。
  私は苦境になるといつも自分に言ってきました。「どんな困難も戦争と荒地開拓の苦労よりはまし」と。
 

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