2009年7月25日土曜日

#8 若者が軽視される政治環境

 #6、#7と続けてプロ野球について書きましたが、プロ野球組織NPBの本体事業の改革については後日書くことにします。何しろ組織が主導してストライク・ボールのカウント順を国際標準のボール・ストライク順にも変えられない、日本の飛ぶ球を大リーグ球または国際球に統一することも長年できないのですから、全体の経営改革などどうなることやら。大リーグ組織がプロ野球興行全体の経営主体であることに比べると、日本プロ野球組織は権限を持たない下宿屋の管理人みたいなもので、経営にはタッチさせてもらえないのです。世間の誰もが組織強化の意見を出していても動きは鈍い。
 コース料理に喩えると、WBCが前菜ならアジア・シリーズはデザートに相当するだけで、主料理の本体事業を改革しないことには、プロ野球の発展には限界があります。主料理が美味くないレストランはいつか繁盛しなくなることは、経営の道理でしょう。
 ところで、先日、投稿で#6に誤認があることを指摘されました。記憶に頼り、検証に手抜きするとこんなミスをしてしまいます。忙しいなどとは言い訳になりません。#6本文中に赤字で追記しました。お詫びします。
 今回は、総選挙が決まったことだし、硬い話に戻って若者世代が置かれる政治の不利について書きます。

 若者が軽視される政治環境
 やっと衆議院が解散されて8月30日の投票日が決まった。
 私にとっても今度の選挙では難しい選択を迫られている。今も政党の選択に迷っている。長年私は日本には保守党も労働党(労働組合党ではない)もないことが、政党政治が発展するための阻害要因になっていると考えてきた。自民党は保守党を衣で覆い、国民政党の名のもとに支持票を広く集めて長期政権を担ってきたが、実は国民政党というのはまやかしだ。
 他方、民主党は個人や中小企業主体、社会政策重視の政策に的を絞れず、保守派から伝統的な左派を含む、やはり実体は国民政党だ。
 今度の選挙後に民主党政権ができることは確実だろう。一党で過半数を取れるか、あるいは他党との連合与党になるかは分からない。与野党含めて大きな政党再編になる可能性は少ないだろう。選挙戦術のため自民党を離れたり、新党結成をもくろむ議員が出ているが、彼らが目指す政党が何であるのか今は分からない。しかし、選挙後は大衆迎合から脱皮してしっかりと保守政党の確立に貢献してもらいたい。他方、民主党も国民政党から脱皮して多少の犠牲を払っても長期的に労働党を目指してほしい。

 ここで、若者世代が軽視されていることに入ろう。
 一つの実例として、後期高齢者医療制度を取り上げてみる。先般、「早く死ねということか」、「姥捨て山制度か」、「年金から天引きするのはけしからん」とかメディアが75歳以上世代の声を大きく取り上げた。実は、08年4月から施行された新制度はすでに06年6月に法律が国会を通っているのだ。さらに、私も含む前期高齢者も要件によっては医療保険料を年金から天引きされる。私はどうせ払わなければならないものは、銀行引き落としが年金天引きになろうが変わりはないから文句は言わない。
 70歳以上の年間医療コストが一人当たり86万円もかかり、平均の3倍にもなっているからには、国として何か手を打たなければならない。そこで、従来の老人医療制度を廃止して個人負担が増える新医療制度をつくった。より良い制度があれば将来改訂すればよい。高齢者に限らず、個人に不利になる制度には誰もが反対するものだ。政府は特に世論(本当に世論なのか?)に対応していないが、メディアの騒ぎも三日で静かになり、人は忘れた。
 
 もう一つ最近の例。
 警察庁が70歳以上の高齢ドライバーを対象にした「もみじマーク」のデザインを新しいマークに変えるという。「枯れ葉みたいに見えるから」、「涙のしずくに見えるから」という不評に対処するとか。そもそも10年も前に公募で決まって実施されてきた。物のコストだけではなく、全国警察署が費やさなければならない事務工数を含めれば、何千万円かもっと経費がかかる。ほかにもっと有益な予算の使い道があるはずだ。早い話、10年前の公募は世論の証しだろう。要するに、周囲の運転者からマーク車を注目してもらえる効果があるのに、マークをつけたくない年寄りの一部が文句を言うので、マークのデザインが気に食わないというのはケチを付けているだけなのだ。
 私には今のマークが枯れ葉にも涙のしずくにも見えない。私の目がおかしいのだろうか?車に今のマークをつけることにも抵抗感はない。変更にどのくらい高齢者の広がりがあるのか、変更必要なしという意見が多いのではないか?この例は、安易な大衆迎合だろう。

 
 ここで結び。
 年寄り世代は騒ぐ。そして、選挙の投票率が高いから、政治を動かす力がある。
 他方、若者世代はあまり騒がないし、連帯感も弱い。何よりも20代では投票率が10-20%だと言われるから、政党も重視しない。今は総選挙が近いので、与党は雇用増大、景気回復を錦の旗印にしてむちゃくちゃなバラマキ政策をやっている。しかし、選挙が終わればどんな若者政策を実行するのか分からない。民主党もバラマキに大して変わらない。
 考えてみると、企業が売り上げの大きい有力代理店を重視するように、政党も投票率が高い世代に訴える政策を掲げる。若者も騒がなければならない。どうやって?
 一つできることがある。それは地域で「若者政治ネット」をつくり、インターネットでばらばらの個人が参加していくことだ。職場にも知られず、個人単位で静かに同志を集める。将来は、「若者政治連合ネット」の本部組織をつくる目標を立てる。
 私は中国政府に踊らされて何万人、何十万人の若者が反日キャンペーンをやった時、彼らを「インターネット紅衛兵」と書いたことがある。こんなのはいただけないが、その戦術と力は日本の若者世代が注目するとよい。
 ≪天は自ら助くるものを助くる≫                  (完)

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2009年7月11日土曜日

#7 プロ野球二軍と独立リーグ

 前回、ホリエモンのことに触れたところ、ホリエモン支持者軍団から反発や反感の意見が投稿欄に寄せられました。私は無関心と無反応がいちばん嫌いですから、たとえ個人攻撃を含む意見でも関心を持っていただいたことをありがたいと思います。真面目な話です。
 さて、前回ホリエモンという言葉を使うのに、蔑称のニュアンスがあるのではないかと気になり、事前にインターネットの百科事典Wikipediaで調べたところ、愛称と書かれていたのです。月刊誌の編集者なら「ホリエモンことライブドアの堀江貴文元社長」と訂正したかもしれません。初めて知ったことですが、ホリエモンとは、堀江元社長が持っていた競走馬の名前でした。
 一つ確認しておきますが、球団買収あるいは新球団設立についてオーナー会議が下した結論は、ライブドアより楽天の方が資金力に優る、そしてもっと重要なことは大阪を本拠地にするライブドアより仙台を本拠地とする楽天の事業案が高く評価されたのではなかったか。つまり、ファンの感情ではなく、ビジネスの論理に基づく結論だったのです。楽天の経営スタッフは大阪の野球市場の特性を理解していたのでしょう。(7/19/09筆者注記。この部分は投稿者から指摘の通り、誤認がありました。ライブドアも近鉄が売却に同意しなかったので仙台本拠地を提案しました。記憶に頼り、検証に気を抜いてミスしたことをお詫びします)
 ライブドア支持者が、球団を手放したい近鉄と買いたいライブドアの資金力を比較することは意味がないのです。
 今回、もう一度プロ野球について書きます。

プロ野球二軍と独立リーグ
 梅雨模様の日が続く中、からっと晴れた6月28日の日曜、鳴尾浜球場にウエスタンリーグの阪神・広島戦を観に行ってきた。鳴尾浜球場は甲子園球場からバスで10分くらい、総合体育公園の一角にある。
 私はプロ野球の試合を観戦する時には、試合開始の1時間以上前に球場に行き、両軍の打撃と守備の練習を観る。さすがプロ野球と感じさせてくれるからだ。しかし、試合の中盤で球場を去ることが多い。この日も試合開始12時半より1時間早く球場に着いた。公称500人収容とされているが、ざっと数えてみると600人を超える満員。試合が始まると入場制限がなされた。つまり、鉄のゲート前には何十人もの待ち人の列ができていた。因みに、入場料はタダ。私が試合半ばで球場を出ると、入れ替わりに待ち人の一人が入場を許された。
 隣りと後ろの家族連れに尋ねてみると、異口同音に「今夜、甲子園である阪神・横浜戦が満員でチケットを買えなかったので代わりに子供を連れてここに来た」、「インターネットで見たら、今日矢野がマスクをかぶるので来た」と言う。なんとタイガースファンとはありがたいものだ。5位に低迷していても甲子園は連日4万6千人を超える満員のファンで埋まっているという球団の強さよ。
 他方、一昨年、北神戸球場でオリックスの二軍サーパス神戸の試合を観た時には、3千人収容の球場には観客がぱらぱら、閑古鳥が鳴いていた。サーパスはスポンサーの不動産会社の名前であるが、今年は支援を降りた。
 さて、ウエスタンリーグは中日、阪神、オリックス、広島、ソフトバンクの5球団の二軍で構成される中、山口県岩国が本拠の広島カープを除いて、他は一軍と同じ都市にホーム球場がある。本来プロ野球が目指す地域立地にはなっていない。大リーグのマイナー球団が各地に散らばっているのとは大きな違いがある。
 二軍立地のこういう間隙を突かれて、最初のプロ野球独立リーグがプロ野球の空白地域である四国に、2005年に設立された。この四国アイランドリーグは当初4球団からスタートし、2008年には長崎と福岡が加わった。その後北陸・信越にBCリーグ、関西独立リーグが相次いで設立された。
 関西独立リーグは大阪、神戸、明石、和歌山の4球団に加えて来年からは三重が参加することになっている。この中では、大阪と神戸は一軍のみならず二軍の立地とも重複し、三つどもえの立地になっている。これまでは新味があり、メディアで話題に取り上げられてきた(全国紙の大阪版では独立リーグの試合結果が載っても、二軍の結果は出ない)が、最近になってリーグ運営会社が経営から撤退する事態になり、運営組織の再編がなされた。しかし、新組織に衣替えしたところで、市場環境は変わらないので、いずれ大阪か神戸の球団が奈良か大津あたりに移転を余儀なくされるだろう。
 考えてみてほしい。大手のコンビニやスーパーの経営者なら、二軍や独立リーグのような立地は取らない。
 
 前述した阪神・広島二軍戦ではバルディリスが阪神の4番だった。1週間後、彼は一軍に呼ばれてトップバッターとして晴れの舞台にデビュー。最初の打席でいきなりホームランを打った。彼はベネズエラ出身であるが、サンフランシスコの高校を卒業してマイナーリーグで選手生活。芽が出ないことに見切りをつけ、24歳の時来日、1年目は阪神のテストを受けて育成選手としてわずか3万ドルで契約した。2年目の今年は二軍で20万ドルの契約になった。どんなにほっとしただろうか。故障の赤星が復帰するとどうなるのか? バルディリスの活躍にエールを送りたい。  (完)

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