2015年11月29日日曜日

#150 野党はどこへ行く?ーー民主党にはまだ任せられない

 個人番号通知は届きましたか?
 本人手渡しの簡易書留ですから、留守の場合は配達し直しになり、郵便配達の人は大変です。また、宛先が間違っていたり、古い住所の場合は年金機構に戻されるのでお手上げです。
 私は観ませんでしたが、友達によると、テレビ番組で個人番号制度によって、「個人情報が身ぐるみはがれる」とタレントか評論家が言っていたそうです。例によって、よく知らない無責任な輩です。
 というのは、我々はすでに国に身ぐるみはがされているからです。資産は固定資産税によって、年収は所得申告によって国税庁に情報があります。諸君には関係ないかもしれませんが、犯罪歴や思想警戒者の情報は警察庁が持っています。個人番号にない家族構成などは国政調査から総務省に情報があります。
 今さら年金機構は個人番号から我々の情報を集める必要はないのです。年金機構には、郵便局に住所変更もしない、税金も払わない、市役所の住民基本台帳にも登録しない、国政調査にも協力しないことから「流民」になっている人たちに、救いの手を差し延べる崇高な使命があるのです。これによって「流民」を減らし、年金の加入者を増やし、将来に年金を受け取れるようにするのです。  他方、我々には個人番号制度に登録することは義務みたいなものです。
 さて、今回は政党について私見を述べます。

◇ 民主党の国家意識

 私が自民党を支持しているのは最近数年だけのことで、生涯のほとんどは革新政党を支持してきた。諸君たちは革新政党と言っても知らないかもしれないが、私の政党遍歴は、社会党→民社党→民主党だった。前々回の総選挙で民主党に投票した。民主党が大勝した結果、鳩山政権ができた。 鳩山首相の所信表明演説に注目してテレビ中継で、あのかん高い声で「命を守る政治」から始まる演説を聴いた刹那、「こりゃもうあかん」と思った。理想というより、世間感覚からずれていると感じた。最後まで国家観がなかった。これで私の民主党支持が終わった。  
 アメリカでは、共和党と民主党の間で安全保障や外交の政策で大きな違いはない。今の民主党大統領も選挙運動中は、違いを説いても、いざ大統領になると政策に違いが少なくなる。私が時に抵抗を覚える彼らの愛国心は、変わらない。
  日本の民主党では、安全保障政策が泣きどころだ。無理に自民党との違いを出そうとすることで支持率が上がらない。安保関連法の前後でも自民党の40%超に対し、民主党8%くらいで変わらない。 民主党は、どう国を統治するのか?

 民主党はどこへ行く?  

 民主党はまだ廃案に向けた方針を変えないと言う。集団的自衛権が憲法に違反するとしてこの部分は対案を用意すると言う。現実には少数しか支持されていない。
 予算委員会では、政府提出の法案に対して50分も副代表が反対演説をし、涙さえ浮かべた役者振り。本会議では幹事長が2時間にも及ぶ演説をした。先には委員会質疑で質問より自分の演説に酔った女役者もいた。民主党には三文役者のほかにまともな人材がいるのに、どこが国会審議でどこが大成功なのだ、これでは党員が増えないだろう。
 民主党は原点に立ち返って労働者、農業者、中小企業、弱者のための国内政策で自民党との違いを出すべきだ。これこそ民主党の基盤ではないか。野党の結集は党名を「労働党」に変えればはっきりする。日本では労働党と言えば、先入観があって嫌われるらしい。イギリスの労働党を見ればよい。それでも抵抗感かあるなら党名はとにかく「心は労働党」を目指すべきだ。
 目前の選挙対策に執心しないで、じっくりと政策を明らかにし、政策で旗色を見せてほしい。私は新生民主党を待っている。その時には私も民主党を支持する。諸君、若者世代にも考えてほしい。

民主党の混乱、野党の混乱  

 新聞によれば、民主党の枝野幹事長が「我らこそ保守本流」と言ったとか。何を考えているのか?
 私は安倍首相とその一派が保守本流であると思っている。なぜなら、自民党には安倍首相を本心では支持しないリベラル派の宏池会の流れを汲む岸田派と、安倍首相派に批判的な超保守派が混在しているからだ。安倍首相は両派の人材を内閣に取り込むことでバランスを保っている。岸田派も保守本流と言っている。
 維新の党も混乱している。ころころと代表が変わり、最後に、党が東京派と大阪派に分裂した。これでは頼りにならない。今だに橋下元代表は大阪都構想にこだわり、国政に絞れない。多数の国民には大阪都構想には、野次馬を除いて、関わりがないのだ。
 共産党との選挙協力を進める民主党岡田代表もおかしい。私の知識では、共産党が掲げる政策は、社会主義革命、天皇制廃止、自衛隊廃止、日米安保協定破棄などで今も変えていない。それが今はこの政策を当面は将来の目標にし、当面見送りにしているという。仮に、両党が連立政権を取ることがあれば、たちまち政策の違いで対立するだろう。またまた政党間で混乱を招く。
 野党の混乱は本当に悩ましい。        (完)

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2015年11月20日金曜日

#149 安保関連法の監視はこれから――政府の実行に歯止め

 安保関連法が成立したとは言え、グレーゾーンのように法律にはしばしば不備があり、想定外の事態が起きるかもしれません。また、米国の圧力によって米国流の解釈で法律すれすれの集団的防衛を迫られるかもしれません。
  集団的防衛に沿って自衛隊を海外に派遣することを政府が決断する時には、じっくりと構えて急がない「しぶちん」と「ええかっこしない」の二つをキーワードにする外交を基礎にしてほしい。 野党が集団で安保関連法を廃止にするのではなく、これからは政府の決断一つひとつについて、必要なら我々は歯止めをかけるのです。若者諸君の民力が試されます。

防衛予算に歯止め  

 日本の防衛予算が約5兆円で、ほぼ日本と同じGDPである中国は17~20兆円。いずれ財政破綻を免れない。まともに中国と軍拡競争をするなら、借金(国債)大国日本も危うい。諸君の世代がかぶる。かつてソ連はアメリカとの軍拡競争によって国が崩壊する要因の一つになったことを忘れてはならない。
 さらに、兵力では自衛隊が約25万人、対する中国は230万人(さらに人民武装警察66万人)ではるかに及ばない。それに中国司令官が「兵隊はいくらでもいる」と豪語した。何百人の兵隊が戦死しても政権は揺るがないだろう。
 他方、日本では自民党政権が安定しているとは言え、自衛隊を海外派遣して戦死者が一人でも出れば、首相辞任の騒ぎが起きる不安定さがある。
 安保関連法で守りを固め、同盟国アメリカの軍事力とアジア諸国の支援が頼りである。自衛隊は叡智と装備の充実によって防衛力を維持し、防衛費を抑制するしかない。
 自衛隊は今、戦闘機、水陸両用強襲車、早期警戒機、無人偵察機などをアメリカから買おうとしている。装備の近代化に必要なものかもしれないが、抑制予算内で買うべきだ。 アメリカの圧力もあるだろうが、アメリカには国防産業を守るために、常に戦争や海外支援で兵器を消費させなければならない背景があることを認識すべきだ。

  ◇ イスラム国と難民――饅頭論

 饅頭論とは私が自治体の行政を研究している時に発想した造語だ。説明すると、饅頭はあんこと皮からできていることから、あんこは論理、皮は情緒(非論理)に喩えた。つまり政治の根幹は論理で考え、その上で民意の味加減をつけるというものだ。片側に偏り過ぎると判断を誤り、両者をうまく配分しなければならない。往々にして民意は情緒に流されやすい。そして、皮とあんこが境い目なしになると、饅頭はまずい。
 今、欧州ではイスラム国のテロと難民が大きな問題になっている。安倍首相は外遊先で支援の意思を表明した。日本政府は何をしようとしているか?
 イスラム世界、あるいは中東の事情は日本政府の理解を超えている。その上、これは欧州の問題だ。日本政府は饅頭のあんこ思考では、他国の支援要請や国内の人道的世論に惑わされてはいけない。
 人道的と言うと、すぐに日本も難民を受け入れるべきだという世論が起こる。政府はしっかり見極め、世論をまともに受け入れない決意につくべきだ。饅頭論のあんこだ。
 なぜかと言うと、

  ① 日本は世界の難民受け入れる前に、体制を数年かけて準備しなければならない。さもなくば、国内に混乱を招き、政府の今の統治能力では収拾できなくなる。
  ② 難民問題は、これまで有効なアフリカ対策を軽視してきたヨーロッパ先進国の責任だ。また、テロに関しては、シリアを初め中東問題は、戦後以来の先進国の外交を引きずっている。
  ③ 日本の外交は、アジア地域に中心を置くべきだ。従って、安保関連法の適用も近隣地域に限定する。アフリカや中東に深く関わらないという抑制を利かすべき。
  ④ 難民受け入れも日本は冷たいと言われようとも、非難に耐える覚悟を持つべき。中国とロシアは身を引いている。
 ⑤ いずれ中国が財政破綻する時には、大量の中国難民が台湾、韓国、日本に押し寄せてくる。また、北朝鮮に何事か起きれば難民が渡ってくる。これは日本の難題だ。
  ⑥ 日本に在留する外国人の難民と難民申請者は約6千人、このうち約半分が認定された難民だ。政府の難民認定が少ないと言われるが、資格認定を緩めるとどっと増えるだろう。日本では難民が仕事も少なく、住みにくいと言われる。移民国アメリカにおいても難民の生活は苦しい。この非難には耐えなければならない。
 他の一面は自治体や市民が支援しているにも関わらず、海外では報道されない。

余談――NHK用語のあほらしさ  

 二ヶ月も前のことか、NHKテレビニュースの中で「今後『イスラム国』は国と誤解されるので、『過激派組織IS』に呼称を変えることにしました」という声明を出した。しかし、その後もNHKのBSニュースでは相変わらず「イスラム国」を使っている。他のテレビも新聞も「イスラム国」を使っている。NHKのひとりよがりだろう。
 問題は、名称変更を承認した管理者たちはこの統一の無さに気付いているのか?私は以前から本稿でNHKの中間管理者が弱いことを指摘してきた。企業の管理者はこんなものではない。
 さて、諸君たちは「イスラム国」を独立国と間違えるか?そして俺たちを馬鹿にするなという反感を持たないか?
 因みに、アメリカのテレビニュースでは「IslamicState」とか「ISIS」を使っている。     (完)  

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2015年11月8日日曜日

#148 中国たより――「日韓中」首脳会談

 先の三国首脳会談では、韓中同盟の首脳が待ち構えているソウルへ安倍首相が乗り込むという構図でした。  現場感覚があるI氏が会議の模様を伝えます。どのメディアもここまでは報道しなかったので、情報として貴重です。
 若い諸君の時代には中国と半島に何が起きるかもしれません。長い全文を載せます。

    ――――――――――――――――――――――――――――――

 木々が色づく紅葉の季節、韓国語では丹楓(タンポ)という古風な言葉が残っていると若い現地社員から教えてもらいました。但し、その社員も日常的に使う言葉ではないとのこと。一週間前の北京では銀杏などが色づき黄葉(HUANG YE)と呼んでいました。
 11月1日、街路樹の丹楓が進むソウルで、第5回韓・日・中ビジネスサミットが開かれました。前もってパスポート明細や宿泊先の問合せがあり、厳しい警備への対応を促されましたが、会議式次第や発言者の詳細情報が届いたのは出発前日でした。云うまでもなく、2013年以来となる日本・韓国・中国の三ヶ国首脳会談に合わせた急な動きであり、三つのベクトルがなかなか揃わないままに、なんとか開催に漕ぎ着けた感じです。
 会場のロッテホテルの下見をしてから、近くの繁華街の明洞を久しぶりに散歩しました。以前は看板やポスターに僅かしか見出せなかった漢字がずいぶん増えたことが第一印象でした。次に年配の男には買うものが見つからないほど、化粧品・アパレルの店が圧倒的であることに驚きました。80后(1980年以后の生まれ、一人っ子世代)の中国人女性という、世界的にも購買意欲の高い客層を狙った通りでした。
  いつもビルの谷間に残った大衆食堂での朝食から水先案内を務めてくれる現地法人のボスは、明洞から道を折れた処にある二十世紀初頭に創設された華僑学校、その隣の中国大使館(旧中華民国大使館址)に導いてくれて、中韓国交樹立(=台湾との国交断絶)前後の話を聞かせてくれました。向かいの建物には国民党のシンボルの青天白日が刻まれたまま残り、その前では反中国政府のビラを配る人もいました。そのどちらにも目を留める人もなく、大使館警備員は増強されているとはいえ、雰囲気はのんびりしていました。  
 会議会場では、屈強の私服警官が目立つ程度(本来は目立ってはいけないはず?)で、入場カード登録も安全検査も緩やかでした。開始前の榊原経団連会長の表情も穏やかで、高揚感とともに安堵の色が窺えました。
 二つのセッションに分かれたパネルディスカッションには、韓国は政府高官OB中心、日本は経団連副会長のお二人、中国からは王府井百貨店社長、安邦保険総裁といった民間人がパネラーとして参加されました。
 韓国側から、北朝鮮に市場経済指向の兆しがあるので、物流投資を三ヶ国で支援しようとの提案。更にはロシアも睨んだ北東アジア開発への参画要請がありました。二週間前に、北朝鮮と中国の国境の新義州と丹東で経済開発区構想が「始動」したという報道もありました。何年も前から「始動」し続けているので、今回はギアチェンジがあるのか無いのか現地確認が必要かなと思っています。
 中国側から、北朝鮮関連については具体的な動きを知りたい、という冷ややかな一言。あとは、一路一帯、アジアインフラ銀行(AIIB)などの政策のアピール、そしてGDPの1%の意味が、10年前・20年前とは実額ベースでは大きく異なっていることから、7-9月の前年対比の成長率が0.1%少ないことについての議論の不毛さを強調する「民官人」的発言が記憶に残りました。
 日本側からは、日本は色んな提案企画に反対しているわけではない。いつもドアは開けている。ただ、内容や運営手法を透明にしてもらいたいだけだ、というYES、BUTの印象。
 いずれも、同時並行して行われている三ヶ国首脳会議の動きを見守るハーフウェイの立場であり、踏み込んだ議論にはなりにくい環境だと同情しました。そして、会議の最終章の時間、にわかに報道関係者の数が増え、政府関係者と警備担当が増えました。
 目の前のテーブルに着いた韓国の李外務大臣の後ろ髪が少々不自然だなと思う間もなく、中国の王毅外交部長(外務大臣)が親しげに近づき、その肩を抱くかのようにして隣に座りました。遅れて静かに来場した岸田外務大臣は椅子一つ分の距離を置いて着席しました。衆人環視の中での三人の動きに、現下の三ヶ国の距離感と表現の違い(形式知と暗黙知)を感じてしまいました。    
 そして、朴槿恵大統領に先導された安倍首相と李克強首相の到着。まず三ヶ国の経済団体代表のスピーチ(いずれも経済界の足並みは揃い始めたので政府による支援を宜しく、といった内容)がありました。続いてビジネスサミットへの祝辞目的の簡単な挨拶だけかな、という予想は裏切られ、三首脳はそれぞれの個性と意見を出しつつも、言葉使いと表情を制御していることを感じました。中国語の同時通訳者が少し緊張気味の印象でした。
 昨年秋の北京に、APEC BLUEと称する青空をもたらしてくれた会議での緊張感とギコチナサとは異なり、同じく一週間前の北京で共同声明発表に至らなかった「東京―北京フォーラム」の喰い足らなさ(或いは残尿感)とも違う雰囲気が会場にありました。
 下世話な喩でいえば、しっかり者の妹分が、意地っ張りの二人の男を何とか宥めている光景のようにも見えました。翌朝の新聞一面には、各紙各様の三人の写真が大きく掲載されていました。その写真の表情を見ながら、久米正雄による大正時代の新造語「微苦笑」という言葉を思い出しました。
 数千年に及ぶ交流の歴史があり、今年は2000万人を超える相互往来のある日韓中三ヶ国のGDPは世界全体の25%近くを占めると言います。紅葉、丹楓、黄葉・・・それぞれの国で表現や色合いは異なっていますが、季節の変化を感じる地域の国同士であります。今回のソウルでの集いを友好とか親善とかのお題目ではない現実的なパイプ、パイプが無理なら最低限の生命安全を保障するカテーテルを繋ぐ起点にしてもらいたいと切に思います。
 関空に戻る夕方の大韓航空の機内食は,オニギリ一個でした。オニギリも今では日本・韓国・中国のコンビニで普通に売っている食品です。       (了)

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