2011年1月9日日曜日

#43 子供の名前、親は子供の将来を苦しめるなーー年金ミスに親の責任

 子供の名前に使われる可能性もある常用漢字が内閣告示によって追加されました。例えば、骸、怨、股など約90字です。
 諸君は知らないかもしれないが、今から17年前に長男の名前を「悪魔」として、東京の昭島市に届け出たふざけた親がいたことが全国的に話題になったのです。この時には市役所が拒否して認めなかったので、生涯重荷を背負うことになりかねなかった子供が救われました。
 ここまでの悪例は別にしても、追加された難しい漢字を子供の名前に使う親が出てくるかもしれません。
 諸君には子供が苦しむような名前をつけないように自戒してほしい。

親は子供の名前に責任がある
 子供の個性は名前で表現するものではなく、子供が成長を通じて自身で形づくっていくもので、子供に任せるべきだろう。生まれながらにして変な名前をつけられる子供こそいい迷惑だ。
 変な名前だけにとどまらない。最近の流行では、読むにも書くにも難しい漢字の名前、漢字は易しくても親が勝手な読みにさせる名前、ひらがなだけの名前などがある。ひらがな名前の前後に助詞のひらがなが続くとどこが区切りか分からない。まるで俳優かタレントの芸名のような名前が氾濫している。   文部科学省の審議会は、今やパソコンのワードが普及して漢字を手書きする必要が少なくなったという考えらしいが、それでも個人の申請書を始め、子供たちが成長する過程では手書きの機会は多い。
 小学校の教育改革を、例えば、英語を教えるなど先生に負荷がかかることを進めているが、もっと大切なことがあるはずだ。政府はこんな改悪にも感じるような改革に労力を割くよりももっと重要な改革に力を集中すべきではないか。
 ここでは、すぐ実行できる改革を一つ挙げてみよう。
 なんでも公的申請書の中から取り上げて、子供に書類を完全に記入する訓練を繰り返し課すことだ。何度でも完全になるまで書き直させることで根気と集中力を身につけさせる効果がある。子供がこれを身につければ成人になってから、書式をきちっと書けることになるだろう。この効果は末広がりに大きくなり、社会コストの無駄を省くことができる。
  
ずさんな年金管理の他の要因
 ずさんな年金管理の実態が世に知られて、社会保険庁が社会保険機構に独立行政法人化された。自治労の一部不良組合員が職務怠慢をしたり、ヤミ専従が常態化したり、真面目に仕事をしなかったとかメディアが批判した。自民党政権で舛添元厚労相が「最後の一人まで年金受給者の名簿を正す」と見えを切ったが、結局、改革半ばで挫折した。官僚からのいい加減な情報を鵜呑みにして、実態を知らなかったと批判された。このようなメディアによる批判はすさまじかったが、受給者側の責任については報道しなかった。
 年金制度の混乱は、社会保険庁の管理低下と受給者側の怠慢による合作なのだ。こう言えば受給者側の皆さんから叱られるだろうが、敢えて言いたい。
 親の死亡届を出さず、子が長年年金の不正受給をしていたことが明るみに出たように、ずさんな年金名簿の管理が正されるまでには10年がかかるだろう。これはこれとして、もう一つ重要なことは、今後ミスを出さないことだ。これには受給者側にも責任があり、これを改めないことには同じ問題が起き続ける。できることを四つ挙げてみよう。

1) 読みにくい名前がコンピューターの入力ミスを招く
 振り仮名を書いているではないか、と反論されるかもしれないが、通常は使われない読み方の名前の振り仮名を一字でもコンピューターに入力ミスすれば本人の正しい登録にならないか、別人として登録される。要するに確率の問題なのだ。

2) 追加の手続きを怠らない
 厚生年金から国民年金に変わる度に、またその逆でも、新しく年金手帳が発行されるので、受給者がその都度市役所に届け出て一冊にしなければならない。さもなくば、年金名簿に二重登録されることになる。
 諸君か、親は年金手帳を二冊以上持っていないか?

3) 家族支援を見直してみよう
 お年寄りには諸手続きが分からない、根気を出せない、知っていても傷害者はできない人が多い。子供が遠くに住んでいても確認することは一回で済む。まして近くに住む子供なら責任が重い。なんとかしてほしいものだ。
 独居の場合は、外部の機関を利用できる。例えば、内容によって、社会保険労務士や私が時々世話になっている司法書士事務所は、安いサービス費でこういう人たちの世話をこまめにしている。子供が自分でできなければこういうサービスを親に与えるのは子供の責任だ。

4) 年金番号・納税者番号の統一
 政府がやっと統一番号制度を法制化することに動き始めた。やっとというのは、ずっと以前に自民党政府が提案したことがあるからだ。この時には、民主党を始めとする野党が「国民背番号制」だと反対して実現しなかった。
 1997年に刊行された小著『大阪がかわる 地方がかわる』の中でも統一番号制の実施を訴えた。それから13年、提案したことで変わったこともあるが、統一番号は今も 実現していない。これが実施されればどれだけ年金管理のミスを少なくできることか。
 導入した住民基本台帳を利用すれば統一番号をつくる助けになる。ところが、個人情報保護という理由で当初は反対意見が多かった。近隣の町では市民の一人が台帳に記載されることを拒否する訴訟を起こした。当初、市長はこれを受け入れたが、この例外を入れるためにコンピューターソフトを変えるのに2千万円もかかると報道された。その後市長はどうしたのか分からない。
 多数派の制度管理がより正しくなされるには、時に少数の民意を超えて政府が決断しなければならない。これが政治というものだろう。


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