2010年5月8日土曜日

#32 鳩山首相は居座るしぶとさを持てるか

 「若者塾」の読者が増えないことに意欲をそがれています。読者は、北海道から沖縄まで、海外ではアメリカ、台湾、中国まで広がりがありますが、残念なことにほとんどが知友人であり、しかも50代以上の世代です。
 ただ、閲覧数を増やすだけなら、知友人読者を会員グループ化して新作が出るたびにメールで配信すればよいのですが、それでは不特定の若者読者が増えることを把握できないし、知友人に対して押しつけがましい。
 若者に私のメッセージが届かない、これは10年来の課題です。
 張ってある今月のカレンダーに「忍耐とは希望を持つ技術である」という標語が書かれています。苦労している諸君にもこの標語を贈ります。もちろん私自身もこれを地でいっています。

◇ いじわる仮想対談
 首相「リーマンショックが鎮まったら、今度はギリシャショックでまた景気が影響を受ける。景気、基地、金の3Kは荷が重いな。ボクは経済を集中して勉強していないから、自信がないよ」
 夫人「誰だってそうよ。首相が全分野で専門家になれないわよ。ねえ、もういつでも首相を辞めてもいいんじゃない。自家用ジャンボであちこち外国旅行をやらせてもらったし、いろんなパーティも楽しかったわ」
 首相「うん、固執する思いはありません。しかし、自民党が麻生首相で選挙に臨んだように、7月の参院選挙まで降りないつもりです。ボクが降りない限り、誰も降ろせない法制度になっていますから。今、菅さんに首相をやらせれば、彼が貧乏くじを引くことになります」
 夫人「選挙で勝てなければ、菅さんが首相になれるかどうか。党がばらばらになるのでしょう?」
 首相「そうかも。いや、第一党の地位まで失うことはないでしょう。何しろ彼は結党以来苦労を共にしてきた同志だから、首相になってほしい。ボクは流れに乗って首相になりましたが、本当は菅さんの方が首相の資質があると思います」
 夫人「あなたは自分の思いに振り回されたのよ。首相として大衆が嫌うことはやりたくなかった。そうでしょう?」
 首相「そうかも。基地問題にしても、国家間の合意だから、自民党の決めたことを引き継いでいればよかった。ただ、自民党はアメリカの要求を受け過ぎているという思いと、前政権の政策は何もかもだめだという思いに支配されたんですね」
 夫人「もう無理しないで、普通の生活に戻りたいわ」
 
◇ 自民党よ、新党よ
 どれもこれも民主党政権を倒すと言っている。首相が衆議院を解散しない限り倒せるわけがないではないか。それよりも消費税値上げを推進して、国家の財政破綻を避けるために国民に訴えよ。
 増税すれば景気が悪くなり、税収が減ってさらに財政を悪くするという考えは本末転倒だ。先ず財政再建があって、その下で景気を支える方策を出すことにこそ英知が求められる。今の政府は手術に同意しない患者に薬で延命させているようなもの。国債増発に英知は要らない。
 ギリシャを見よ。かつてのアルゼンチンを見よ。両国と比べ、日本は資本・貿易収支が黒字だから、毎月国庫への収入がある、つまり国の金庫が底をつかないという違いがある。国民貯蓄も高い。しかし、国の今の財政を家計に喩えれば、毎年収入と同額の借金によって消費し、すでに累積借金は年収の20倍になっている。しかも債権放棄、つまり借金の棒引きも許されない。ギリシャは公務員の給料引き下げに対して大規模なデモが行われ、さらに経済に打撃を与えている。国家の、特に危機においては、国家の政策が大衆に流されては危機を脱出できない。
 財政破綻した夕張の市民が困難に耐えてきた。今、政府が夕張の市民に求めたことを、国民に求めないなら、それは道理を外れることだ。
 
◇ 政局の予想、諸君と考えが違うか?
 6月に鳩山首相が辞任し、菅副総理が首相に昇格するとするという予測が高まっている。当然、7月の参院選挙に備える選挙対策だ。
 そうなら、政治の空白を避けるために、菅財務大臣と、鳩山首相とともに責任を取る平野官房長官の後任を補充するにとどまるだろう。
 私の予測は、希望でもあるが、9月の民主党大会まで鳩山首相を名誉首相のように棚上げして、菅副総理が主張する財政再建のために閣僚全員が一日でも早く行動を起こすことだ。先進国では最悪の財政危機にある日本では、財政再建は国家再建の原点ではないか。民主党が世論を超越できるか?
 どっちみち参院選挙で民主党が議席を減らすことは避けられない。しかし、第一党の地位を失うことはあるまい。そうすると、党大会で選ばれた代表が次の首相になる。それまでに幹事長の任命罷免権限を持つ鳩山党代表が小沢幹事長の首を切ったところで、小沢議員が代表選挙に立候補することを誰も止められない。いざ代表選では党内最大グループを率いる彼が勝つ公算は大きい。そして、衆議院で圧倒的多数を支配する民主党が彼を首相に選ばざるを得ない。参議院で他の首相候補が選ばれても、衆議院における選出が参議院に対して優先される制度では、誰も小沢首相になることを止められない。たとえ世論の大勢が反小沢になろうとも、支持率がいかに低かろうと、彼はもともと世論も支持率も信用せず、問題にしていない。彼は言うだろう。「法に照らして首相になることに何らやましいことはない」と。
 諸君、これは他人事ではない。次世代の日本がここにかかっているのだ。

 私が恐れることは、鳩山首相の進退の決断いかんによって、政権の混乱を招くことで、「ああ、やっぱり民主派政党というのはダメなのか」と、大衆を失望させることだ。いびつな環境で育ったがゆえに危機下の政治が分からない鳩山首相と、政策がご都合でころころ変わり選挙のことにしか頭が働かない小沢幹事長のツートップを退けることにより、新しい民主党に変わってもらわねばならない。
  


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