2010年4月29日木曜日

#31 スポーツ庁より若者の健康強化

 バンクーバーで開催された冬季オリンピックも過去のことになり、もうメディアで報道されることがなくなりました。私は本稿では予見と騒ぎが収まってからフォローを書くことを心がけていますが、ここで私の出番です。今月はこれで2回しか書けなかったせいか、自分でもあきれるほど長くなりました。
 皆さんからの反感を買うかもしれませんが、時流に逆らうのでもなく、私の臍が曲がっているわけではありません。
 政府にはオリンピックのための予算増額より、若者世代の健康志向と体力強化にもっと金を使ってほしいというのが私の主張です。

◇ スポーツ庁は要らない
 自民党政権時代から提唱されていたスポーツ庁の新設が取り上げられるようになってきた。中にはスポーツ省にすべきだという意見もある。これは文部科学省と厚生労働省からスポーツ関係部署を独立させて、主たる目的は日本の競技スポーツを推進しようというもの。これには超党派国会議員、競技スポーツ団体、プロスポーツ選手、オリンピックのメダリストを含む広範な支持がある。メディアも支持している。
 多分、先の冬季オリンピックで、金メダル数でもメダル数でも韓国に大きく差をつけられたことに起因しているのだろう。オリンピックでの不振は国の威信に関わるという意識が背景にある。
 私は国家がオリンピックのメダル獲得を国策にすることは反対だ。本来、競技スポーツの基本はPeople's Business(敢えて英語で)であるべきだ。今さら日本がスポーツを国威発揚の手段にするなんぞ時代遅れではないか。
 スポーツ庁では競技スポーツに重きが置かれ、文部科学省の学校体育と厚生労働省の健康目的のスポーツが軽視される恐れがある。これは諸君に、そして諸君の子供たちに好ましくないことだ。
 国力は次世代の健康を強化することにかかっている。

◇ どの国にも強い時と弱い時がある
 世界水準の選手たちと戦うためには特に秀でた競技能力が求められる。こういう世界水準の日本人選手が全種目にわたって、しかも常に出てくることはあり得ない。言いかえれば、オリンピックで毎度国民が満足する成績を残せるはずがない。強い時も弱い時もある。
 どの種目でも優れた選手は遅くとも高校生までに分かるものだ。私は日本には逸材を漏れなく発掘できる充分な体制ができていると思う。世に出た優秀選手が育つように支援するのは、個人支援者、地域、会社など民間の力であるべきで、どこやらの国のように国家が前面に出ることではない。報奨金に対しても他国より少ないという意見があるが、多いにしろ少ないにしろ、選手たちも「スポーツでは長い人生を食っていけない」ことを認識してほしい。

◇ オリンピックに対する巷の意見
 「支援の金が足りない、足りないと言うんだから、シーズン毎に設備をつくらなければならないスケルトンとかリュージュのようなそり競技は日本はやめた方がよい。62人中60位なんて種目に代表は要らん」
 「ほかにもあるよ。はじめから上位に入れる見込みがない種目。それでもテレビは入賞を期待させる話をするのは軽薄だよ」
 「韓国がメダル取りに集中強化するショートトラックも面白くないな。スピードスケートの魅力がない。オレはフライ級スケートと呼んでいる」
 「そう、昔、長野県知事が水澄ましみたいと言ってひんしゅくを買った。あれは大柄の選手には不利だから参加国が少ない」
 「韓国や中国は投資を選別しとる。後ではメディアは合計何個としか出さないから、国威発揚には効果的やな」(岡本)
 「カーリングも10ヶ国かそこらしか参加していないから、運が良けりゃメダルを取れる」
 「ありゃスポーツじゃなくて遊びだな」
 「冬のオリンピックには遊び種目が多いな。モーグルとかハーフパイプとか」
 「そんなこと言えば、オリンピックの種目はもともと遊びやろ。夏のオリンピックでボウリングやダートが採用されてもおかしくない」(岡本)
 「バイアスロンは戦争ごっこだな。兵士が戦場をスキーで駆けてライフルを撃つのだ」
 「だいたい、オレは複合種目が嫌いだ。一つの種目では二流選手だろう?」
 「オレは人が採点する種目は好かんね」
   ---諸君たちにはもっと意見があるだろうーーー

◇ 下げズボンの国母選手
 選手団の中でただ一人、国母が征服の上着をだらしなくはだけ、下げズボンで飛行機に乗り込もうとして非難を浴びた。テレビの番組でも非難されたが、はねあがりリベラルとおぼしき評論家が総非難を
「全体主義みたいだ」と言っていた。どこが全体主義なのか?
 私は若者世代は彼を擁護するだろうと思っていたが、スポーツクラブの若いスタッフに訊いてみると、
「みんな、あれはない」という意見だそうだ。
 論理的に言うと、JOCから支給された制服は、もとはと言えば、税金か企業の寄付が資金なのだ。日本代表選手として参加するのだから、きちんと着るべきだった。海外に派遣される自衛隊の救援部隊と変わらない。その中に下げズボンの隊員がいたら、当然、上官から注意される。 
 他方、情緒的に言うと、強化費の支援も受けず、自費でヨーロッパを転戦してきた彼には、オレは他の選手とは違うという自負の気持ちがあったかもしれない。しかし、国母選手よ、個性や実力はだらけた服装で表現するものではない。それにしても、管理責任がある役員は注意もできなかったのか?
非難されるのは役員の方だ。話は飛ぶが、地方自治体でも、管理者が管理の責任を果たしていない事例が目立つ。組織が乱れるのは当然。

◇ 腰が引けたIOCの対応
 いつものことながら、国際競技大会において国名表示で台湾は不当に扱われている。諸君は気がついていないだろう。
 人口が700万人で明らかに中国の一部であるホンコンが"Hong Kong"で、2300万人でまだ中国に帰属していない台湾が"Chinese Taipei"というのはひどい。せめて"Chinese Taiwan"とすべきだろう。
 IOCも加盟国も「さわらぬ神にたたりなし」で腰が引けている。いつまで放っておくのか?


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