2017年4月4日火曜日

#171 私の英語勉強法を振り返る(3)ーー安易な広告に惑わされるな

 英語について書き始めたら止められなくなりました。3連発は初めてのことです。 これまで書いてきたように、私の英語勉強法は徹底した独学で、塾にも町の会話教室にも行ったことがありません。出費はNHKラジオ英会話テキストと「Time」などの英文週刊誌の購読だけです。5年前にどちらも止めましたが、今もラジオ英会話は時々聴いています。
 諸君、金を使わなくても英語に巧くなれます。迷いを無くして新たな気持ちで目標を目指してください。

◇ 目標を何に置くか

 目指す英語(英会話)には五つを挙げられる。当然、目標によって勉強の仕方が違う。ここが大切なこと。

  同時通訳 特別なことで、英語のほかに日本語の専門用語の習得も求められる。しかも瞬時に応える反射神経、あるいは運動神経の素質が求められる。平均のアメリカ人並に英語が分かる私も同時通訳はできない。目標にしたこともない。できることは、交渉や会議で一区切りごとに通訳することだ。

  研究者など専門職 論文を書くことや発表に英語が求められる。しかし、他の人から草稿の改良をしてもらえるが、スピーチには発音の正確さを求められる。また、英語学や英米文学の研究者研究者には高度な読解力が要るが、特に英会話に堪能である必要はない。

  仕事の実務 海外駐在者や出張者、外国企業で働く人はビジネスの専門知識に加えて、一般の教養が求められる。例えば、私のように長期に海外生活する場合には、同僚であれ部下であれ、私生活においても人間性を見ている。私が目標としてきた。

 日常会話  簡単なようで意外に難しい。会話に流れがなく、話題がさまざまに飛ぶからだ。早い話、会合やパーティで初めて会った日本人と日本語で会話するのも易しくない。日頃から経験することが大切。

 接客・旅行英語 目標としていちばん易しい。用を足せばよい。野球で言えば、ゴロが来たら基本を忘れてもへっぴり腰でも捕って投げなければならない。場を踏んだらできること。

◇ 試しに英検一級 

 東京に転勤して間もなく、30歳の時に友達に誘われて英検一級を受験した。まだ英会話を始めていない時だった。友達も会社の独身寮時代から英語を勉強していた。
 あっさり二人とも読み書きだけの一次試験にパスした。二次試験のスピーチではその場で与えられた二つのテーマから、一つを選んで3分間即興で話すのだが、小学生の作文になってしまった。これで一級は不合格。
 当時、一次を受かると二次試験をさらに2回受けられる。次の試験でヒアリングは、何度も出てきたglacier(氷河)という単語が分からず失敗。スピーチはうまくやったのに残念だった。
 3回目は試験日がアジア出張と重なり、事前に協会に何度も次回に受けさせてほしいと交渉したが断られた。これで一級の資格を持っていることにはならないので、会社に届けなかった。しかし、会社の管理職資格試験では、科学論文を和訳する英語の科目で満点を取った。
 遠い目標だけでは意欲を持ち続けることが難しいから、目前の目標が必要だ。そのために英検の合格を目指してみるといい。試験は最高の集中力を出す機会だ。準一級でも一級でも試すことを薦めたい。

◇ あふれる英会話教材

 全国紙にも地方紙にも「英語の勉強は要らない」、「聴くだけで話せるようになる」、「文法は要らない」、「中学英語でペラペラ話す」という類の広告があふれている。教材の中には20万円以上もするものもある。  諸君はどう考えるか?
 記憶にとどめてほしい。どれも上記の「接客・旅行英語」についてだ。諸君がほかに目標を置いているなら無視することだ。
 ある日、同世代の友達から最も頻繁に広告を出している教材について相談を受けた。小学生低学年の孫にプレゼントしたいのだという。私は反対した。理由として、英会話でも何でも安易な道はないこと、学校の正統英語の授業を軽く見る弊害を挙げた。
 多くの親が早駆けと焦りの心理に惑わされている。私は30歳を過ぎてから英会話を始めたが、少しも遅くなかったと話した。  
 そう言えば、今の小学校の先生は、中学から必要な基礎知識を持たせる本来の授業に加えてパソコン、道徳、さらに英語も教えなければならない。これは大変なことだ。  
 日本では韓国が小学校から英語教育を義務づけていることはよく知られる。もう一つ例を挙げると、カナダでも英語圏ではフランス語を、フランス語圏では英語を小学3年生から学ばなければならない。しかし、フランス語が常用のケベック州では州外やアメリカとのビジネスに必要な英語の早期教育に比べて、英語圏でのフランス語教育はうまく行っていない。オンタリオ州に住む経営者で私の友達は、フランス語を話せない。平均の日本人の英語と変わらないレベルだ。なぜなのか?  それは彼がフランス語を必要としないからで、必要が鍵だからだ。
 諸君、日頃はこつこつと片手間に英語の勉強を継続し、いざ必要になると集中的に取り組むという私の勉強法を参考にしてほしい。           (完)                


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