2017年3月8日水曜日

#168 困難な日本の外交――韓国とロシアへの対応

 以前に本稿で私は「日本はなんとむさくるしい隣国に囲まれているのか。国際化で島国の不利を批判されてきたのに対し、島国でよかったものよ」と書きました。どの国とも日本は陸地の国境を接していないことは、恵まれています。
 若者諸君、今、日本は死活的に冷徹な外交が重要なのです。

◇ 反撃できない韓国人のやるせなさ  

 前回で韓国について厳しく書いた。私は本国韓国人、在米韓国人、通信社に勤める韓国人ジャーナリストなど人脈があり、彼らが本稿を読めば私に失望するだろう。
 私が挙げた13項目は一部を除いて私の意見ではないが、人はそういう風に受け取らないだろう。すべて私の意見だと思うに違いない。世間とはそんなものだ。
 さて、日本にはない韓国が抱える問題を述べてみよう。韓国のやるせなさについてだ。  

    1983年、アメリカからソウルに向かっていた無防備の大韓航空機がソ連の戦闘機に撃墜された。死者269人。
    1983年、ビルマ、ラングーン(今はミャンマー、ヤンゴン)で戦没殉難者廟に参列していた韓国副首相ら政府関係者らが爆破事件で21名の死者。全斗煥大統領は式に遅れて難を免れた。北朝鮮によるテロと言われた。
  1987年、北朝鮮工作員(女性)バクダードからソウルに向かっていた大韓航空機が爆破された。死者115人。
   2010年、国境近くの延坪島が北朝鮮から砲撃された。兵士2人、民間人2人の死者。
   2010年、黄海沖で韓国海軍の哨戒艦が北朝鮮艦艇から魚雷攻撃を受けて沈没。

   韓国はひたすら報復をがまんしてきた。詳しい背景は分からないが、一つ言えることは、ソウルが国境線に近く、北朝鮮が長距離砲の連射をすればソウルが「火の海になる」(韓国人の言)ことだ。  韓国の受難には同情を禁じ得ない。

◇ 戦時賠償と韓国の裁判

 諸君は憶えているかどうか、昨年ソウル駐在の産経新聞記者が逮捕されて何ヶ月も拘留された。容疑は韓国紙がパク大統領を批判した記事を引用したことだ。書いた韓国人記者は逮捕されず、日本人だけが裁判で罪に問われた。  日本でこんな裁判が起きたら、メディアの多くは非難するだろう。  
 三菱重工、不二越などが戦時下に徴用された韓国人グループが未払いという給料の支払いを求めて訴訟を起こしている。すでに朴大統領の時代に、日韓政府間で巨額の経済支援の形を取って賠償問題は解決している。
 ところが、韓国の裁判所は「国家間の賠償は民間の賠償に含まれない」という論理で韓国人の訴訟を支持した。今も日本企業が控訴して係争中であるが、日本企業は、たとえ韓国とのビジネスが被害を受けようが、退いてはいけない。さもなくば、続々と他の日本企業が標的にされるからだ。
 韓国の裁判所は、対馬から盗まれた仏像についても、もともと中世に日本の海賊によって盗まれたものだとして韓国盗人を支持した。韓国の裁判は信用できない。
 友達は言う。「好きなようにやらせておけ。今、在韓の日本大使を帰国させたままだが、 日本は対して困らないさ」と。

◇ 北朝鮮の暴挙を止められない

 マレーシアでの金正男暗殺に続き、日本に届くようなミサイル4発を発射した。日本海で操業していた日本の漁船に当たったとしても反撃もできない、賠償も払われないだろうから、韓国のやるせなさの思いをさせられる。  北朝鮮は今回初めて在日米軍基地を攻撃する目的を表明した。メディアは厚木基地が狙われると報道していたが、私は沖縄の基地を標的にしていると思う。中国政府は裏では反対できないだろう。  それにしても、北朝鮮は暴挙も辞さず、アメリカを二国間協議に引きこんで交渉する際、何を得られるのか?分からない。

◇ ロシアは変わらない

  昨年12月に山口で行われた日露首脳会談の前にはメディアが、少数意見を除いて、いかにもプーチン大統領が北方領土の一部返還で合意するかのような報道を続けた。安部首相もそういう期待を国民に持たせた。
 私も影響されたが、プ大統領が歯舞諸島の返還だけで交渉を交わすのではないかと警戒心を持っていた。なぜなら、国後と択捉の2島はロシア海軍の艦艇が通るオホーツク海に面しており、防衛上の要衝になるからだ。色丹はオホーツク海に面していないが、今は人が住み始めた。だから2島返還のかつての合意は消えた。結果は領土問題には何一つ進展はなかった。
 ロシアの目的は、歯舞を餌にして北方4島の開発に日本の金を使わせることだ。財政が苦しいロシアには、4島の開発と維持は重荷になっている。だから日本に肩代わりさせようとしている。二国間の外交交渉において、安部首相は突っ込み過ぎている。ビジネスに例えれば、買い手が買い気を見せ過ぎているようなもで、売り手のロシアに有利になることは当然だ。安部首相は父以来の悲願という情緒にとらわれて論理思考を見失っているのではないか。ここは首相も国民も一旦身を引いてロシアの売り気を待つべきだ。
 書きにくいことではあるが、冷静に考えれば、仮に2島返還が実現したとして、誰が、何人の元住民が島に住むのか?漁業権益が増えることしか考えられない。  
 ロシア政府の協定破りは伝統だ。いくらでも例がある。ロシア国民もほとんど知らされてない。ソ連が北方4島を日本が降伏してから占領したことを国民は知らされていないだろう。
 ロシア政府は変わらない。
 また、安部首相が訪露するという。彼のロシア外交はお百度参りのセールスで、今は流行らない。ええ加減にしてほしい。     (完)      


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