2012年10月19日金曜日

Long and Winding Road to China Democracy

  #77 中国の財政が危ない――公式報告を信用できるか?


 一体私の専門は何か? なんでも書いているせいか、以前からよく訊かれたことです。  本日現在、はっきりしておきましょう。 ブログには確かになんでも書いています。私もテレビのバラエティ番組に出演して専門分野でも専門外でも、なんでもしゃべる評論家の類です。 しかし、新聞や月刊誌など社会の公器と言われるメディアには、専門外のことを書いたことはないし、これからは「スポーツ」、「英語(教育)」を専門にします。長く専門にしてきた「経営」と「地方政治」からは引退しました。 公器への執筆では、実践と現場調査に基づいて論理的に組み立て、結論に導くことが問われます。
 他方、ブログでは、自由な発想で提唱あり、推測あり、エッセイありの内容にしており、言わば発想ゲームみたいなものです。私の推測は、将来事が起きるまでは検証されません。 そう、諸君たちに発想のネタを提供し、考えてもらうことを意図しています。多少は諸君たちが教養の幅を広げられることにお役に立てることを望んでいます。
  さて、今回も中国特集を続けます。

故・大来佐武郎(おおきた さぶろう)氏の進講  
 大来佐武郎は第一回の「経済白書」の執筆責任者であり、著名な国際エコノミストだった。大平内閣で民間人として外相に起用された。当時の新党・新自由クラブにかつがれ、比例区から総選挙区に出馬したが落選。彼の大きさを認識できなかった新党が名簿の下位に置いたからだった。    
 1970年代に日本企業からアジアに出張していた時、例えば、タイでは国際経済の巨人として名声の聞えが高かった。日本におけるより、知られているようだった。  この頃、彼は中国政府に招かれ、政府の経済幹部に対して国家の財政について進講した。彼は「まるで小学生に講義しているようだった」と言ったことが伝えられた。おそらく、幹部たちは知った振りをせず、初歩的な質問をしたという。謙虚に学ぶ心がけを持っていたのだろう。  
 先日、東京で開催された世界の財務相と中央銀行総裁が集まる年次総会には、中国の財務相も中央銀行総裁も欠席した。尖閣島問題によるとメディアは推測しているが、会社で言えば社名だから仕方がない。二人は3日間の総会で各国の発表と、財政首脳と交わる貴重な機会を失った。  中国政府は建国時代に持っていた謙虚に学ぶ心がけを無くしたのかもしれない。

中国の財政が危ない  
 中国政府は全力を挙げて山積する課題に取り組んでいるが、財政危機もその一つ。私が下記に挙げるだけでもいっぱいある。中国の財政危機を克服できなければ、日本経済どころか、世界の経済に大きく影響するので、なんとか改善をしてほしい。日本も財政危機にあるからあまり他人様のことは言えないが。

  ① 国債の過大化
 得られるデータはまちまちで正確さを欠くかもしれないが、現在は国債残高が10兆元、邦貨で120兆円を超えているらしい。GDP比で言えば日本の1/7で大したことないが、最近では毎年2,3倍も急増させていることが問題。
 結局、国と国有銀行が保有していて借金のたらい回しみたいなもの。

  ② 地方政府の公債   
 中国の地方政府には中央から共産党幹部がトップに任命される。会社の本社が子会社の社長を送っているようなものだ。彼らが一国の城主のように勝手放題をしていることが伝えられstyle="color: #783f04;">る。蓄財のチャンスなのだろう。
全国の地方政府が公債を発行しているから、おそらく中央政府は債務の全容を把握できていない。会社で言うなら本社に報告する年度決算書にも粉飾がありそうで信用できるのかどうか。

  ③ 国営企業、国有銀行の債務
中国の大企業はまだ多くが国営企業だ。4大国有銀行は数年前に経営破綻して政府がIMFの資金によって再建した。  国営企業も国有銀行も統計より多い累積債務を抱えているだろう。

  ④ 国防費の増大
年々増大する国防費を止められない。海軍が空母建設を含む太平洋艦隊を増強し、国威発揚のために、空軍が進める有人衛星の打ち上げにも巨額の予算を使っている。それも国際協力なしで中国単独でやっている。     人民解放軍の最高司令官である胡錦濤国家主席の軍の統制力が弱まっているのか。

  ⑤ 公共事業の重荷
道路や鉄道の延長に加えて、原発100基を建設するという。テレビ番組で見ると高 山から辺境まで観光地が整備されていることに驚く。問題はその維持コストが年々増えて財政の重荷になることにある。

長年の高成長体制は低成長に弱い
私は中国政府は財政の実態をどこまで正確に把握しているのか疑問に思う。何しろよく言われるように統計そのものが怪しいからだ。  このような財政問題を抱える中、今年度の経済成長は7.4%に落ちると伝えられる。つまり、国家の歳入がさらに減るということだ。  
 中央政府は全力で取り組んでいるだろうが、現実には「課題は分かっているが、多過ぎてどう手をつけていいのか分からない」というのが実情だろう。                (完)     


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