2012年9月11日火曜日

#72 竹島をめぐる日韓の紛争ーー市民にできることは?

 韓国の李明博大統領が竹島問題や天皇について反日の発言をしたことから、にわかに日韓関係が悪化しました。戦後1952年に韓国が武力によって設定した李承晩ラインの紛争以来、ここまで両国間に緊張が高まることは初めてのことです。従って、当時を知らない若者諸君には紛争の背景が分からないことは仕方ありません。  日本では外交に何かあると市民もメディアも政府を非難するだけで、自分たちは何もしないように感じています。本当は毅然として市民にできることがあるのです。無関心のオバハンやバアサンに知り合いがいたらアドバイスしてください。 大事なことは、メディア、特にテレビのバラエティ番組に踊らされないように注意することです。

◇ 市民も毅然とした意志を持てるか  
 諸君ならどこまでやるか。政府がやることも含まれているが、あくまで個人の意志でできることを問いたい。*印がある項目は私が賛成して実行できること。さて、諸君は?
 (耳情報と思いつき。発想の参考)    
 ① 日韓間の文化、スポーツ交流を止める。    
 ② 韓国選手に対し新たにビザを出さない。*    
 ③ 韓国観光に行かない。*    
 ④ 乗り継ぎも含めて韓国の航空機に乗らない。*    
 ⑤ 韓流ドラマと韓国映画を観ない。*    
 ⑥ 韓国ドラマの放映を中止する。    
 ⑦ 韓国製品を買わない。*    
 ⑧ 韓国焼肉のレストランに行かない。    
 ⑨ 韓国大使館にデモを仕掛ける。
 ⑩ 対馬への観光ビザを発行しない。     
 ⑪ 韓国人観光客の入国を制限する。     
 ⑫ 韓国テレビ局のニュース番組を放映しない。    
 ⑬ 海上自衛隊の艦船を竹島近海へ派遣強化する。     
 ⑭ 竹島の韓国軍を自衛隊が威嚇攻撃する。     
 ⑮ 韓国への新規輸出と投資を中止する。*     
 ⑯ 韓国籍のフェリーと貨物船を日本の港に入れない。    
 ⑰ 政府間の日韓協議を当分中止する。    
 ⑱ 日本政府が韓国国債の購入を延期する。  

◇ 李大統領は反日の本性を出したか  
 大統領は1941年大阪生まれ、終戦の翌年5歳の時に家族とともに韓国に引き揚げた。  戦前のことだから家族は辛い生活を強いられ、彼もその記憶を持っている。当事者体験はなかなか理性では克服できないものだ。  彼は昨年12月に訪日した時に、首相との首脳会談でさまざまな課題について話し合うべきなのに慰安婦問題に終始した。両国政府間では慰安婦問題については落着ずみであり、日本政府は立場として対応できない。親善どころか、日本国民から反発を招いただけだった。
 今回、李大統領が突然竹島に上陸し、その上で天皇に謝罪を求めた。メディアは12月の大統領選挙で与党候補が有利になるように図る政治的意図だと伝えるが、私は根はもっと深いと思う。与党の朴候補は「日本が竹島を韓国領土であることを認めれば問題が解決する」とバカなことを言っている。こんな論理と現実を無視した発言がまかり通るのだから、対立する野党候補も反日的にならざるを得ない。
 李大統領は就任間もない時には、「両国が過去より将来を見る前向きの関係を築く」と発言して名大統領の名声を目指していたのだ。国際社会での地位も意識していた。それが今になって感情志向になったのは、彼の地が出てきたからだろう。

◇ 韓国人の国民 感情 
 世論調査によると、韓国人の60%以上が反日または嫌日だという。当然、これには背景がある。日本企業時代に10回以上韓国中に出張し、90年代には韓国のオリンピック金メダリストのレスリング選手を取材するために訪れた時に、親しい韓国人数人からよく話を聞かされた。私の考えも合わせてまとめてみよう。  
 第一は、同じ黄色人種の日本が、統一国家であった李王朝を倒して植民地にしたという歴史。全土が統一されていなかった台湾を植民地化したこととの違い、弾圧の程度の違いがあり、今も日本に対する怨念が根強い。  
 第二に、日本の経済が再建されたのは朝鮮戦争の特需によるものだと言う。日本は朝鮮戦争で得をした。若い世代は戦前から日本が大国であり、技術力を持っていたという認識を持っていない。多分韓国の歴史教育のせいだろう。
 第三に、韓国の国土は日本の26%、人口は40%であるが、韓国政府の大国意識は強い。正式国名が大韓民国であることもその表れか。韓国人の日本に対するライバル意識もすさまじい。政治でも経済でも中国とも日本ともうまくやり、我が道を行く台湾との違いが大きい。  
 第四に、スポーツや一部の工業製品で日本に勝つことがあっても、実利重視の経済社会では科学分野の基盤が弱い。例えば、天文学分野における学者や予算では比較にもならない。特にノーベル賞の受賞歴で日本に太刀打ちできないことから、国を挙げて医学賞を取ろうとしたが、有望学者が論文を捏造する結果を招き、有為の人材をつぶしてしまった。韓国の政府と国民の鬱積した感情は根深い。  
 最後は、2008年のウォン下落による通貨危機にIMFの管理下に入り、財政引き締め政策が取られた結果、長らく不況が続いた。給料は下がり、失業が増えた。日本の比ではない。韓国の国民の鬱積した感情は今も残る。  何もかも日本より安い。だから日本に活躍の場を求めるゴルファーやプロ野球選手が増え続ける。

◇ 背面と前面の敵  
 韓国政府は北朝鮮に軍艦を沈められて兵士30人もの犠牲者が出ても、突然民間人が住む島を攻撃されて死者が出ても、反撃をせずにじっとこらえた。挑発に乗れば首都のソウルが攻撃される恐れがあるからだ。韓国人には鬱積した悔しさの感情を持たれたままだ。  
 他方、竹島で日本に対し挑発行為を繰り返したところで、日本が攻撃しないことは読まれている。日本が国家の尊厳を守るためには、竹島近海で領海侵犯をする韓国漁船の取り締まりを強化するしかない。他方、過激論者が言うような自衛隊による竹島攻撃をやるならば、背面に北朝鮮の敵をかかえる韓国を困らせるだけでなんら実りがない。 韓国にしても竹島に数十人と言われる兵士を駐留させる経費もかかる。日本を刺激したところで、日本人の毅然たる態度が、時間が経てばじわっと韓国の経済と社会に利くようになり、算盤勘定に合わないことがそのうち分かるだろう。
 日本では政治家が強硬な反韓を唱えても選挙の票を多く取れない。日本の有権者はこの点で成熟している。  

 結び――good peopleとgood people  
 1980年代の始め、アメリカが長い不況に入ると、日本製自動車をめぐる貿易問題を中心に反日気運が高まった。小さな保守社会の町に住んでいた私は時々不快な思いをさせられた。地元ラジオのコマーシャルで、車ディーラーがあることないことをがんがん話す反日キャンペーンをやっていた。  こういう雰囲気の中でも、友達が「国と国の関係を別にして、我々はgood peopleとgood peopleが付き合えばいいのだ」と言っていた。同じ考えを他のアメリカ人からも聞いた。
 私はそれ以来、相手が韓国であれ中国であれこの考えに徹している。  竹島問題があろうとなかろうと、韓国政府が反日を内政の道具に使う限り、日韓の政府間関係も韓国国民の反日感情も改善されることはない。韓国の次世代には日本に対する意識に影響されずに、わが道を行く国つくりをしてほしい。そのためには2世代くらいはかかるだろう。  我々にできることは、good peopleとgood peopleの付き合いのほかに、「来る者は拒まず」と在日韓国人に不快な思いをさせないことだ。諸君も大人(たいじん) の振る舞いを見せよう。                               (完)


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