2012年6月17日日曜日

#70 政治はわからんなあーーなぜ小沢一郎は強気なのか?

今月末に引越しを終わったら、政治と経営のテーマから撤退して新たに人生の仕切り直しをします。本来、「若者塾」では若い世代の人たちに今の困難な時代を生き抜いてもらうために、生き方の参考になることを中心に書く方針でした。一ヶ月ほど休養をしてからは、この原点に立ち返りたいと思います。私の文に対し、「長い」、「堅い」のご意見にも耳を傾けます。
 小著『若者革命』(副題、子が読んで親を再教育する本)も同じ意図でありましたが、最低このくらいは知識武装してほしいと願い、政治や経済などさまざまなことを書きました。いつか読んでほしい。小著は図書館にあるし、ネット通販で定価の4分の1(300円)くらいで売られています。
 今回が、政治テーマの最後になるでしょう。


◇ 今の政治は分からんなあ
 野田首相・小沢の2回の会談結果は予想通りだった。新聞は三つの結果を解説していたが、周囲では誰もが決裂を予想していた。一国の首相が一介のグループ代表にここまで頭を低くして会談を乞うことは異常だった。あり得ないと見ていたが、もし小沢が方針を変えようものなら、我々は両者の間で何か密約がなされたと思う。どう見ても会談から生まれるものはなかった。
 首相は自民党との合意を達成し、国会の採決に道筋をつけた。慎重で我慢強い人だ。
 さて、衆議員定数480のうち民主党が289、自民党が118という勢力下で、小沢グループのうち50人が造反したところで、自民党の賛成を得られれば過半数の241を超える。さらに参院では自民党の賛成なしでは法案が通らない。どう考えても、小沢グループより自民党の賛成が不可欠なのだ。
 つまり小沢グループはどうでもよいのだ。それでいて小沢はなぜ強気なのか?


◇ 小沢の立場は弱い
 通常、党の正当な手続きを踏み、閣議決定をした法案にどこまでも反対するのなら、離党して新党を立ち上げる。なぜ小沢は離党しないのか?
 いくつか推測してみよう。

① 今、離党するにはグループの何人が同調するか読めない。離党はグループ議員にとっては次の総選挙で党公認をもらえないことを意味する。大半の議員は小沢についていかないだろう。
② 小沢は国会の採決を待つしかない。これで法案に反対するか、賛成するかでグループ議員を選別し、その上で離党するのか?
③ 小沢新党に協調するのは新党大地しかなく、他の政党はいずれも小沢を受け入れない。
④ 小沢と行動を共にする新党議員は小選挙区で当選できない。比例区でも票が集まらない。名をよく知られた側近議員でさえ落選の恐れがある。
⑤ 小沢は今も「国民の生活が第一」の理念(政策ではない)と、「増税より行政改革が先」と政策を言っている。民意の支持は弱い。行政改革による財源はすぐに得られず、彼の力を持ってしても効果が出るまで何年もかかる。重要なことは、後先の問題ではない。2年後に増税が実施されるまでに、政府がどれだけ改革を実行できるかを、私は厳しく評価する。

 かつて「小沢なら何かやってくれる」という期待感が周囲にあったが、今では消えた。メディアが一斉に「党分裂」と騒ぐが、小沢切りは「党統一」なのだ。


◇ 民主党の人事大改革
 首相が内閣改造を行った。これだけでは不十分で、日本の外交に弊害がある鳩山党外交最高顧問と田中真紀子衆院外交委員長も更迭すべきだ。禍のタネは早く除いておく。
 鳩山は、あちこちと外遊し、各国政府要人に会って「飛んで火に入る夏の鳩」を演じている。首相時代にピント外れの外交で実績がある人なのだ。経費削減の時に、目的も分からない外遊に高額な国費を使うことなど、会社なら元社長の顧問にこんな出張は許さない。首に縄をかけてでも国外に出さないようにしてほしい。
 田中は、一回も外交委員会を開いたことがないという。私が知る情報にはガセネタがあるかもしれないが、彼女は勉強より感性で生きてきた人で、外交全体について論理思考をできない。外相時代に国会の質疑で野党議員の質問に答えられず、自席に戻って資料を探す振りをして官僚から助けられた失態を思い出す。質問は事前に知らされているにも関わらずだ。
 もう一人、輿石幹事長も更迭すべきだ。彼がこだわる「党内融和」は不毛の努力だ。親小沢の彼にできることと言えば、首相と小沢の間で右往左往するだけ。次代の党を担う有能な人材に幹事長の経験を積ませる機会をつくらないことはもったいない。

◇ 自民党も分からん
 自民党は、一体改革法案に賛成する条件の一つに小沢切りを要求してきた。法案を採決して小沢が造反することで初めて小沢を切れるので、事前に切れるわけがない。分かっていて要求しているのかもしれない。政治は分からんなあ。
 自民党も各党も総選挙を要求しているが、選挙準備ができているように見えないし、第一、今解散することに民意の支持が少ない。
 顧みれば、民主党のマニフェストに掲げた政策の半分に反対しながら私が民主党に投票したのは、「自民党にうんざり」した心理に支配されたからだ。野球に喩えるなら、監督が締まらないピッチングを続けるエースを見限って二番手投手に交代させたようなものだ。
 「民主党にうんざり」にはまだ時間がある。                      (完)



















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