2011年9月14日水曜日

ネット月刊誌『言論大阪』#17,9月,2011  大阪人の節電3.8%ーーここに大阪の風土が出たか?

 
 9月に入ってようやく電力危機が終わろうとしています。来る冬に暖房によって再び電力危機に見舞われるかもしれませんが、それまでは一息つけそうです。
 他方、9月になるや台風12号が襲来、和歌山、奈良、三重の各県に大雨災害をもたらしました。伝えられる災害の規模は自治体の手に負えるものではなく、法律に基づいて「激甚災害」に指定され、国から復興資金の支援がなされるでしょう。金がない国も大変だ。
 それにしても、台風の通過地域にありながら、大阪は今回も災害の被害とは無縁。皆さんはどう思いますか?

関電管内の節電3.8% 
 関西社会経済研究所が行った調査によると、関電が7月以降要請した15%、政府の10%の節電目標を大きく下回り、関電管内の節電率は3.8%にとどまったという。全国平均の9.9%にも遠く及ばない。にわかには信じがたい。関電の唐突な要請に対する反発があったかもしれないが、調査に誤りがあるのではないかとさえ思う。
 関電の要請より早く自治体連合の関西広域連合は5~10%の節電を呼び掛けている。いずれにしてもこれだけの要請に対して企業や市民は応えなかったのだ。
 関電管内というのは地域が広いのであるが、ここでは地域で最大の電力を使う大阪人について書いてみることにする。
 大阪に出戻りしてから16年になるが、かねがね大阪の風土についていろいろ感じていたことは、どうも大阪人は私の言葉で中益の心に欠けていることが一つだ。中益とは、私益と公益の中間のことで、献身とか奉仕とか崇高な公益の心ではなく、ちょっとだけ公益のために貢献することだ。例えば、前回で述べたように、交通ルールに従って右側を歩き、自転車は左側を走るようなこと。電車では優先座席を年寄りに譲ることもそうだ。誰でもできることだ。
 話を戻すと、節電の心がけも中益ということになる。私は節電率3.8%に大阪の風土が出たと思っている。

 《追記》この#17稿を書き終わってから、もう一つの新聞記事(読売、9/13)が出た。これによると、関電の8月の販売電力量が前年同月比で家庭用が16.1%の減少、大口需要家を含めた平均で9.4%の減少だった。
家庭用では7月が1.5%増だったから市民も節電努力をしたのだ。私は一片だけの情報に頼ることは危ないと改めて自省した。

関電の節電要請はなんだったのか? 
 関電の15%節電要請には私も驚いた。だから突然の大停電が設備に損傷をもたらし、復旧に時間がかかるのだと当初推測した。停電が長引けば、温度と湿度を一定に保たなければならない半導体製造の工場、医薬品の研究所、冷凍倉庫などが、受けた直接被害に対して損害賠償の請求をするだろうと推測した。
 ところが、電力会社の技術者で定年退職した友達に尋ねたところ、電力設備の損傷は起きないシステムになっているとのこと。というのは、需要の増減に応じて発電量も自動的に調節されるようになっているからだ。需要が発電量を上回る時には他の電力会社から送電を受けられるようになっている。最悪の場合でも遮断機が働いて送電が止められ、発電所に被害が出ない。従って復旧に時間がかからない。こういうことだった。
 そうならば、なぜ関電は突然節電要請をしたのか?
 うがった見方をすると、広域行政の節電目標5~10%では不安があると判断した関電は15%に上げることで、経営責任を担保したのだと思う。というのは、15%以下で万が一全停電が起きても需要家に対する損害賠償の責任から免れるからだ。
 現実に東電の賠償責任の影響を受けて、大阪のテレビなどが論理と感情をごっちゃにして騒ぎ、誤った世論がつくられる結果、関電も賠償に巻き込まれる恐れがある。東電が巨額の賠償を負うのは原発事故に対してであり、関電とは事情が違う。また、関東での政府による節電要請には法的強制力があるのに対し、関電に対する政府要請は自主的な対応である点にも違いがある。
 関電が求めた節電要請は、電力事業者として停電をなんとしてでも起こせないという面子か使命感があるかもしれないが、私は会社を守る経営者の判断ではなかったかと思う。

我が家の節電と被害
 関電からの請求書に書かれた我が家の前月に対する節電率は30%を少し超えた。
 もともと年初から収入減に備えて経費の節約プロジェクトを実行していた。電気について言えば、スイッチの入り切りを徹底して無駄な消費を抑える、テレビは極力観ない、電球を節電型に換える、などの心がけを実行していた。ただ、電球は切れた機会に蛍光電球に取り換えたが、LEDは高いので見送った。居間にある二つのシャンデリアには各々3個の電球が付いており、切れた時にだけ蛍光電球に換えるので、まだ2種類の電球が付いて見た目が良くない。
 各地の自治体が役所の蛍光灯を一斉にLEDに取り換えたという話を聞くが、彼らは大量の蛍光灯をどう処分したのだろうか?LEDをつくるにも相当の電力を消費するので、もったいない気がする。
 さて、こんなところに関電の節電要請が出た。我が家を取り仕切る家内はさらに節電を強化して、原則クーラー禁止をやった。1ヶ月後、私は睡眠阻害でばてた。最近では少し規制緩和になり、寝る時にはタイマーで2時間の使用を許された。それでも節電率は19%だった。 (完)


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