2011年6月5日日曜日

#50 政治体制が袋小路に入ったーー菅首相辞任でも変わらない

 6月2日に菅内閣に対する不信任決議案が否決されました。
 管首相は鳩山前首相と覚書を交わして党内造反派を抑えたことは、延命策だと取られたが、他方、日変わりどころか時間変わりに変心した鳩山(敬称略)は保身の逃げ道を求めていたのでしょう。
 私は、管首相が覚書なんて努力目標に過ぎないと考え、震災復興をてこに利して国の重要政策にリーダーシップを発揮してもらうことを望みました。重要政策とは、経済再建による雇用の創出、社会保障制度の確立、財政改革などです。これらは目前に姿形が見える震災復興や原発事故対策より困難を伴い、若者世代に大きく関わることです。
 しかし、敵軍に加えて味方陣営からも、そしてメディアからも管降ろしの火の手が上がり、残念ながら持ちこたえられない情勢になってきました。ひどい話だな、まったく。
 前稿に続いてもう一回だけ政治について書いてみます。

◇ 不信任決議案は何だったか? 
 「菅首相では震災復興は絶対不可能」と言い続けた自民党谷垣総裁は、結局、「菅は首相を1年やったのだから、次はオレにもやらせろ」という意識があるから、自民党長老の主戦派に乗せられた。見込み違いの戦をしたからには、敗軍の将として総裁を辞任することが、政治家として、武士としてけじめをつける道だ。
 まだ懲りずに参議院に問責決議を出すとか、次の法案を阻止して菅首相を退陣に追い込むとか言っているのは邪心というべきだ。民主党と自民党、どちらが国を危うくしているのか?
 もし不信任決議案が可決され、菅首相が衆議院を解散していたら、総選挙で有権者は両党に怒りを持ち、どちらも支持を得られなかっただろう。私も困っただろう。

◇ 小沢元代表の騒乱病がまた出た 
 もう小沢(敬称略)は政治感覚が狂っているとしか思えない。
 党員資格停止という謹慎中の身でありながら、闇将軍どころか表に立って造反を扇動した。「国民の声に応える」、「国民の生活が第一」、「本来の民主党に戻す」、「挙党体制」、「マニフェストを守れ」という彼の発言は空々しい。
 例えば、周囲で民主党支持者も、私のように自民党から民主党に鞍替えした半支持者も、マニフェストによって民主党に投票したわけではない。中には読んでいない投票者も少なくなかった。彼らは政権交代を求めて投票したのだ。私は始めからあんなものは政権を取れば変わるだろうと思っていた。子供手当て、高速道路無料化、農家への利益補填などどれも火急の課題ではない。
 要するに、総選挙を指揮した小沢幹事長が大衆有権者を釣るためにつくった小沢マニフェストだった。それを今も彼はこだわる。彼には日々変化する国難の課題が見えない。
 今回の騒動では、造反者は70人以上になると豪語していたが、終わってみれば、造反、棄権、欠席を含めてたったの20人足らず。鳩山の保身チョッカイによって大敗した。反乱の責任を取って民主党を去るべきだ。彼は懲りずにまだ次の一手を考えるという。
 小沢も造反から変心した小沢派にも「オレに首相をやらせろ。オレならもっとうまくやれる」という野心を持つ議員がいる。しょせん過信か自惚れだろう。
 周囲からこの二人は国賊だという声が出ている。私は政治の癌だと思う。
 国賊という言葉が少数の極論であるにしても、警察は二人の警護を強化した方がよいのではないか。

◇ 若者諸君に問う 
 菅首相は突然中部電力の浜岡原発を即刻休止することを要請した。なぜ電力需要のピークを超える9月まで待てなかったのか?それまでに防波堤を急ぎ建設させることでよかったではないか?
 先日、大阪で友達と会食した時、このことが話題になった。菅首相の決断を支持する彼は、「人命のために必要なことだ」と言い、「大地震が起きたら被害が出ることをどう考えるのか?」と私の考えに反対した。私は「地震がそれまでに起きるとは限らない」と答えると、さらに、「起きたらどうするのだ?」と問うから、「その時は南無阿弥陀仏と合掌して、当然、首相は辞任する」と言った。彼はひどいことを言うという表情を見せた。
 私は、例えば、遭難している船から一人でも残らず人命を救う、という場合とは違い、比較にならないと思う。
 さて、諸君、私の考えについてどう思うか?多分、非難の意見が多いだろう。

◇ ガラポンの解散、総選挙 
 国民の信任を受けていない内閣だとさんざん批判をされてきた。菅首相は思い切って解散すればよい、という意見がある。ところが、総選挙後も安定多数を取れる政党はなさそうだ。ドイツのように大連立が行われることになるのか。そうなら、菅内閣が総辞職しても同じことになるだろう。
 日本の政治は袋小路に入っている。次世代にとっては、震災復興後の対策が国難以上に大きな課題だ。
 


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