2011年5月23日月曜日

ネット月刊誌『言論大阪』#14、6月、2011  大阪府知事と大阪市長の同時選挙ーー大阪大改革のチャンスを逃がすな 

 大阪市長の限界
 橋下知事が率いる大阪維新の会が過日の統一地方選挙で圧勝した。独自の政策を構想し、実現する知事の力はすごい。
 維新の会は府議会で過半数の議員を当選させ、大阪市議会と堺市議会で第一党になった。さらに、吹田市長選では維新の会候補が現職を破り、私が住む茨木選挙区でも前回民主党市議から自民党に鞍替えして最下位当選した候補が維新の会候補としてトップ当選した。維新の会の勢いは止まらない。さて、橋下知事はどう動くか?
 当然、掲げてきた大阪都構想の実現に向けて動くだろう。
 そのために大阪府より大阪市が抱える問題が大きい、しかも平松市長による改革は足踏み状態だ。労組対策も同和対策も関前市長の方が果敢だった。それどころか、今も幹部はたるんでいる。例えば、市が市長選の支援団体にもなっている地域振興会への3900万円の不適支出を指摘されたにもかかわらず、一年以上も返還を放置してきたこと、各区長が娯楽と見なされる旅行に同行した時の給与返還も、今年3月の期限までになされていないことが新聞で報道された。これは市役所内の綱紀がまだ締まっていないことの表れだろう。
 もっと大事なことは、勧告する委員会の決定事項であれ、市長の改革命令であれ、幹部がまともに実行していないことだ。会社なら更迭されるだろう。言わば、市長の権威がないがしろにされているのだ。
 喩えてみれば、平松市長はかつての商家のおっとりとした旦那のタイプであり、商売人というより教養人みたいなものだ。毎日放送のアナウンサー出身で、役員室長を務めたが、経営責任を負う役員経験がない。その上630人の毎日放送と4万人の大阪市役所では組織の違いが大き過ぎる。論理を基礎にしなければならない改革の仕掛け人としては適していないだろう。

府知事と大阪市長の同時選挙
 次の市長選挙が今年、知事選挙が来年と言われるが、実は一ヶ月余りしか離れていない。知事が唱えるように同時選挙は現実的なのだ。単に何億円の選挙費用が節約できることより、全大阪改革のためには歴史的な意義がある。
 知事は全大阪の改革上、府より大阪市の問題が大きいととらえている。私もそう思う。だからこそ、知事は権限が及ばない大阪市の改革が進まないことに苛立っている。ここから知事が大阪市長に立候補すると言う。私は単なる牽制ではなく、本気だと思っている。
 しかし、だからと言って、大阪市を解体して大阪都一つに統合する、いわゆる大阪都構想には論理の飛躍がある。大阪市の改革は緊急課題であるが、その先には大阪都のほかに私が提唱する大阪市と隣接の市と合併して大大阪市にして再び名実ともに日本第二の都市にする構想もある。まだ選択肢があるかもしれない。
 知事の器量を持ってすれば、本稿#6で詳しく書いたように、大阪府が小さ過ぎるのだ。だから知事は苛立つ。
 次世代のためには、橋下知事が大阪市長になるべきだ。そして、大阪都構想も選択肢として考えながら、一旦白紙から大阪市の改革に取り組んでほしい。
 それでは平松市長は?私は知事になってもらえば良いと思う。4年間の市長経験を生かし、府行政を継承してもらうことは全大阪改革に望ましい。両者が大義のために協力できるはずだ。改革の仕掛け人と改革継承者の組み合わせはなかなか妙味がある。どこにも過去に例がない?そう、例がないからこそやるべきなのだ。
 知事が次の候補としてテレビの司会者を挙げている。もうテレビマンは要らない。

大阪府と奈良県の合併
 奈良県は人口140万人、このうち奈良市が36万人。奈良県と大阪府の間では交通網が広く敷かれている。奈良県から大阪への通勤者が多く、経済も一体だと言ってよい。
 本稿#6では和歌山県を含めて関西県をつくることを提唱している。先ず第一歩として平松新知事が持ち前の温厚さを生かして奈良県知事と静かに協議を重ね、大阪府と奈良県の合併を進めてほしい。合併しても歴史的な奈良市の名称が消えるわけではない。
 全国を見ると、廃藩置県以来140年も経つのに、県の合併が一つもないことに驚く。
 参考までに、片山善博前鳥取県知事(現・総務大臣)はテレビによく出演したことで、改革派知事としてよく知られた。自治省出身のエリート官僚から鳥取県知事を2期務めた。彼は岡山県出身であるから、岡山県との合併を期待したが、手をつけなかった。よく知事経験を語るが、鳥取県は人口がわずか59万人の全国最小県だ。隣りの兵庫県は瀬戸内海から日本海までの広域県である好例があるにもかかわらず。行政のプロとは言え、失礼な話、鳥取県知事の経験が全国他県の改革に通用するとは思わない。
 将来いつか、道州制が実現するかもしれない。先ず、隣県との合併が現実的だ。そして県の合併は道州制の障害にはならない。


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