2011年4月18日月曜日

#47 原発事故対策は福島原発公社へーー東電から分離しよう

 JRでも私鉄でも駅に行くと被災地支援のために数人のボランティアが並んで寄付を呼びかけています。ハイ、千円。地元の高校吹奏楽部演奏会に行くと、出口で募金箱を持っている高校生。ハイ、千円。家内が我が家を代表して郵便局から一万円を送金。こうして今日までに一万五千円を寄付しました。
前回に職が決まらない若者を被災地に送るという特定目的の基金をインターネットで創設することを提案しましたが、組織はせめて10人でもいいと望んでも私には方法が分からない。力が及ばないので、結局、寄付することしかありません。
 前回の私の稿も含めて、災害の報道にはうんざり、という意見が寄せられました。それでも、メディアとは違う視点から書きたい。

 管理者はしっかりしろ

1)東電が放射性物質(確かセシゥム)の濃度を規制値の千万倍と発表した。素人の私でさえ間違いではないかと思った。後に10万倍に訂正された。発表前に「ちょっと待て。なんぼなんでもおかしいんじゃないか」と疑う管理者はいなかったのか?

2)東電が原発事故が起きた翌日、経産省に次の原発を建設する事業計画書を提出したという。この無神経さよ。提出する前に待ったをかける管理者はいなかったのか?

3)事故直後に燃料プールを冷却する目的で、自衛隊のヘリコプターが原発に向けて散水した。テレビの映像では、安全高度からまかれる水は広範囲に散ってほとんど原発に届いていなかった。自衛隊こそ迷惑なことだった。なんでもやればいいというものではない。事前に効果がないと言った管理者はいなかったのか?

4)駅前で立つ募金箱を持つ支援者の一人に、「身分証明書を持っていますか?」と尋ねた。「持っていません」と言うので、「誰かリーダーなら持っていますか?」と問うと、「リーダーは居ません。私は市の消防士です」と答えた。消防士を信用して寄付した。市役所でも他の団体でも一人の責任者には身分証明書か、団体の証明書を持たせるべきだ。寄付者が持つ不安を感じる管理者はいないのか?

5)NHKテレビの記者が避難所で被災者にインタビューしている。画面の下の表記文(聴覚障害者のため)には「~してくれる」と書かれる。被災者は「~していただく」、「してもらう」と言っているにもかかわらず。これは以前から毎度のことだ。敬語の誤りに、しかも話し手の言葉を正確に書かないことに管理者は気付かないのか?

6)4月20日、原子力安全・保安院(以下、保安院)が原発事故の国際標準でレベル5から最悪のレベル7に変更した。レベル7と言えば、チェルノブイリ原発と同じで、原子炉そのものが大爆発したケースだ。福島原発では原子炉の外の格納容器でたまった水素が爆発したので比較にならない。上げるとすればレベル6でよかったのだ。この非合理について保安院の管理者は疑問を持たなかったのか?保安院は経産省の下部機関であるから、決定には経産大臣の許可が要るはず。大臣も三役も納得したのか?
 こういう道理に合わない時には裏の背景があることが多い。私はヨーロッパ系の国際原子力機関がレベル7に異論を唱える一方、アメリカの原子力委員会がレベル7の決定に賛成した。八卦見の憶測では、日本に原発事故処理の専門部隊を送り込んでいるアメリカ政府の圧力ではないか。

◇ 福島原発公社に統合されるだろう 
 誰が見ても、今回の事故を収拾するには東電の人材だけでは無理。保安院の人材も大学教授も現場を知らない。疲れきっているはずの現場実働者に交代チームがあるのかどうか。
 そこで、私の提案は東電には電力対策と補償問題に専念させ、原発事故の対応は国の機関とする「福島原発公社」に分離して一元化することだ。公社には東電のほか各電力会社とメーカーから原発関係の技術者に出向してもらう。経験ある退職技術者にも参加してもらう。請負をしている保守専門会社からも技術者と作業者を出してもらう。自衛隊にも専門家がいる。
 こうして公社は日本の英知を集めて原発事故対策の最強チームをつくるのだ。これからの長期戦で得られる技術と知識は日本の国家資産になるだろう。

◇ 世界はなかなか厳しい
 中国を始め、各国が日本への観光をキャンセルしている。また、各国が東北産地の農産物を輸入禁止にした。中でも中国は東京都を含めて対象を関東一円の12都県に広げた。下司の勘ぐりで言えば、これはかつて日本政府が一部の中国農産物の輸入禁止措置を取り、国民が過剰に中国製品を拒絶したことに対する報復かもしれない。
 さらに、ヨーロッパやアジアの諸国が、原発汚染とは関係がない西日本からの工業製品について安全証明書の発行を要求してきた。これに対し、大阪商工会議所が「検査機械を追加して買わなければならない」と発言。彼らも過剰反応しているのだから、まともに対応する必要はない。機械も買わず、人員も増やさず、商議所が従来している原産地証明書に「この産地は被災地から遠く、材料に汚染はない」と一行を書き加えればよいのだ。

◇ 若者諸君、感性と論理思考を磨く機会 
 溢れる災害報道の中で、「おかしいな」と感じる感性と、論理思考を磨こう。


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