2011年2月18日金曜日

#45 決まって世にはびこること――若者よ、惑わされるな

 経済が停滞し、世の中に不安が広まると、決まってはびこることがあります。私の記憶では10年くらいの周期があるようで、言いかえれば、人が忘れた頃に繰り返されます。
 諸君たちも煽られて心安らかにおられないものです。こんなことに惑わされてはいけません。しっかりと自分の信念を持って我が道に立ってほしいと思います。
 二つの例を挙げてみましょう。

栄養補助品の氾濫
 従来の地上波テレビでも衛星テレビでも栄養補助品(錠剤と汁)のコマーシャルが すさまじい。これだけ攻勢をかけられると、諸君は栄養補助品を飲まないと健康維持のために遅れを取るような気持ちにさせられるかもしれない。しかし、こんなものを取ることは金持ちに任せて、食事でバランスを取ることが大事だ。しかも割安だ。
 私は学生時代に野球部員だったが、学寮で朝夕二食90円の粗末な食事の上に量も足りなかったので毎日空腹で5時間の練習に耐えなくてはならなかった。それでも怪我以外には医者にかからず、体重も減らなかった。寮で出るカレーライスには肉の代わりに缶詰の鮭しか入っていなかった。ご飯は麦飯、箸で突っついても固形物に当たらないみそ汁。当時は食料不足ではない時代だったのに。
 16年前にアメリカから帰った時、当市が年に一度市民に対して行う健康診断を受けたところ、脂肪肝、高コレステロール、大腸ポリープなど5種目にイエローカードをもらった。アメリカでは仕事の関係で会食の機会が多かったため、肉を始め美食に偏っていたせいで、当然の結果だった。それから10年間、市の施設の栄養管理士からこと細かに受けた指導を忠実に実行して全種目をクリアした。学生時代の粗食と節食に帰り、空腹にも間もなく慣れた。ある日、国民の間で人気がなく、日米安保条約を強行締結した岸信介元首相が1987年に亡くなった時、彼は戦犯として拘留されていた巣鴨拘置所での粗食を生涯続けたという記事を想い出した。「昭和の妖怪」と呼ばれた彼は亨年91歳。
 現在70歳の私、91歳は無理にしてもこれから栄養補助品の助けなしの粗食で10年は生かしてほしいと願っている。しかし、いかに節制しようとも病気にならないことは幸運に頼るしかない。
 諸君はテレビでコマーシャル専門の俳優やスポーツ選手が消費者を演じる中で、栄養素のグルコサミン、ヒアロインサン、コラーゲン、コンドロイチンなどのカタカナ語に惑わされてはいけない。栄養補助品は法律で定められる医薬品ではないから、病名への効能を謳わなければなんでも宣伝して法的にセーフなのだ。価格が高いのは安くすると人は買わない心理があるからだ。
 
わんさと電話してくる投資話
 金や宝石から、外貨、株、投資信託まで今が投資のチャンスなどと勧める電話がかかってくる。これも住んでいたアメリカの不況時と同じ。時間も朝昼にとどまらず、夕食時を狙って電話してくる。私も、多分諸君も,投資するような資金を持たない者には腹が立つ。電話セールスというのはセールス手段の中でも最も難しいのだが、ほとんど打率が上がらないのによく頑張っている。彼らも職務だから仕方がないだろう。
 私は腹立ちを抑えて「投資の余裕がないから見込み客リストから外してくれ」と言うことにしている。わずらわしいな、本当に。
 大小の詐偽も忘れた頃に必ず復活してくる。なぜ性懲りもなく人はだまされるのだろうか?敵は巧みに人の性である強欲につけ込んでくる。彼らは年寄りや主婦を主に狙ってくるから、祖父母には注意してあげたらいいよ。

《情報交流》質問に答える 
 前回で若者の雇用に書いたことについて、「それではどうすればよいのですか?」という質問を受けた。これは私の弱いところだ。というのは、私自身は就職口を紹介することもできないし、雇用をつくる実行力もないからだ。むなしい気持ちを持たされる。
 しかし、一つだけ発想したので披露してみよう。
 行政法人の一つに中小企業基盤整備機構というのがある。長ったらしい名前であるが、元は中小企業事業団で、昔も今も中小企業の支援が仕事だ。ここの事業の一つとして中小企業大学校があり、北海道から九州まで全国に9ヶ所の施設を持っている。大学校という名前を使っているが、前回で紹介した大学校とは違い、フルタイムの学生を対象にしていない。中小企業の管理者や社員を集めてセミナーを行う研修施設だ。各施設は小型の大学のような立派なキャンパスに講義室、ホール、食堂、娯楽室に加えて100~350人を収容する宿泊施設が整っている。ホテル並みの講師用宿泊ビルもある。
 私の発想は、この大学校を3年くらいの期限付きで、職に就いていない若者を対象にする実務教育の研修施設として衣替えすることだ。この間、中小企業関係者には我慢してもらう。中小企業向けの研修セミナーは他の施設でできる。
 既存施設と現有の職員をそのまま使う、そして経験ある定年退職した専門家に講師を務めてもらうなら大した予算は要らない。次のような内容を研修者に課すれば、その成果でこんな予算は容易に元を取れる。

  ① 半日の実務講義。
  ② 一斉に早起き。
  ③ 美味くなくとも栄養バランスが取れた三食。
  ④ 体力強化。
  ⑤ 施設内外の協働清掃。
  ⑥ 健康診断。
  ⑦ 就職指導。

 さて、この実現にどうするか?
 諸君たちは地元選出の国会議員事務所に要望するなんてことをやらないだろう。どうせ実現しないだろうから。
 そこで、周囲の仲間に呼び掛けてインターネットで民主党と政府の広報窓口に対し、例えば、上記のような具体的計画案を要請するのだ。さらにこのネットの輪を広げていく。これはエジプトのようにネットで大統領辞任を求めるような大それたことではない。先ず一点突破で実行すれば、その間に出来上がっていくネット組織を他の要求に使えることが大きな成果だ。
 私も何かしたいが、年寄は出ない方がよい。若者が自らの努力で求める政治課題を実現する方がかっこいいではないか。諸君、やれるか?
 


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