2010年8月28日土曜日

#37 民主党新人議員は進路を決めよーー小鳩グループから自立する時

 8月26日、小沢前幹事長(以下敬称略)が民主党の代表選挙に出馬を表明。「騒動屋」の彼がぎりぎりまで騒動を引きずって、結局、出馬しないと予想していた私の読みが外れました。ああ、小沢よ、やはり首相になりたかったか。
 そこで、若い世代の新人議員たちが気になります。彼らがあんな厳しい修羅場に身を置けば、雑多な情報に振り回されて心が乱れることは不可避。しかし、私のように限られた情報から過去も含めて流れを追うだけの外野手は、時に情勢がよく見えることがあります。忠告屋の私が決断する材料を与えてみましょう。どうせ私のメッセージが議員に届くことはないでしょうが、せめて党員・サポーターに読んでもらうことを期待しています。

小沢グループとは?
 グループ150人と言われ、他のグループより圧倒的に多い。ところが、もともと小沢に追随してきた忠臣は20人かそこらで、他は前回の総選挙で初当選した新人議員。その多くは特に小沢に心酔してグループに入ったわけではない。彼らは当時の小沢幹事長から公認され、党の選挙資金を与えられた。当選後、政党も国会の運営も分からない、すべて何をどうしたらよいのかも分からない。とりあえず小沢に付くしかなかった。
 しかし、鳩山首相を凌ぐ権勢を誇った小沢の地位は大きく変わった。単に幹事長を辞任したというだけではなく、今も金の問題では黒灰色のままだ。後ろめたいところがあるから説明もできない。公開された政治家の資産では「個人資産ゼロ」というのは空々しい。
 新人の皆さんよ、諸君は国会に出て勉強したいと思っても、そんな暇があったら選挙区に帰れ、と小沢から圧力をかけられたという。彼自身も健康上の理由で身体が半日しか持たないと言って国会会期時間中でも午後に床屋でさぼっていた。そんな御仁なのだ。
 選挙に強い小沢はなんでもできる。諸君とは違うのだ。
 
 当選してから一年、諸君はもう自分の足で立たなければならない。新人グループでリーダーを立ててもよし、他のグループに付いてもよし、グループを持たない岡田外相に付いてもよし。
なぜなら、小沢の行く末は見えているからだ。忠臣が「国民の期待にこたえて」と言っているが、完全に感性も論理も狂っている。さらに、「衆院選のマニフェストの原点に戻る」と言う。私も、ほかに多くも、マニフェストに賛同して民主党に投票したわけではないのに、彼らにはこれが分からない。かつては、「小沢なら何かやってくれる」、「小沢に一回首相をやらせたい」という期待が根強くあった。しかし、私の周囲ではこんな期待はまったくないことも彼らには分からない。
 私の読みでは、小沢は選挙敗北後には、子分を引き連れてどれか小党と組むだろう。これは彼の歴史なのだ。いや、騒動屋病か敵対病だろう。そのたびに忠義の同志たちが離れた。これなら選挙後に挙党一致などと美名にとらわれて小沢を副総理として処遇するより望ましい。
あの亀井静香にも政府はさんざん引きずられたが、小沢はあんなものでは済まないだろう。それに亀井にはどこか明るくて愛嬌があるが、小沢はどこか陰湿で暗い。

鳩山グループも次の選挙までもたない
 鳩山は首相を辞任した直後、次の衆院選には出ないと表明した。選挙区の後援会にも鳩山グループにも相談しなかったというのだから驚く。そして、最近ではこれを撤回し、選挙に出るそうだ。なんとも軽薄な変心男であることよ。
 最近まで菅首相の代表再選を支持する振りをしていたのに、急転して小沢支持に変心した。また、親から相続した軽井沢の別荘にグループ外の議員も招いて100人を超える大パーティをやった。得意満面だっただろう。ところが、彼はこれを支持者と勘違いしたのか、落ちぶれた地位から復権の野心を持った。小沢と組んでやる、と。国内のみならず、こんな変心男が信用されるはずがないにも関わらず、政府特使のような顔をして中国に行き、今度はロシアに行った。記者会見では、「小沢先生を民主党に招いて自由党と合併したことは私の一存によるもので、今回小沢先生を支持することは大義」だと言った。こんなのは大義ではなく、単に義理か私情に過ぎない。
 鳩山グループの議員諸君よ、横の同志的結合はあるのか?もしあるなら、鳩山をグループ名誉会長に棚上げして、新しいリーダーを立てるべきだ。もう出ない「母の金」に縛られず、自立して将来の去就を考える時だ。
 次の衆院選挙では選挙に強い小沢と違って鳩山は北海道の選挙区で落選するかもしれない。もともと北海道と縁がない落下傘候補で、このていたらくでは有権者から見放される。 
 諸君もふんどしを締めなおすだけではなく、色を変えることを考えなければならないのではないか。

権力闘争を経て小鳩にさらば
 主として小沢派の議員たちが、代表選挙は権力闘争ではなく、政策で争う選挙だときれいごとを言う。嘘ばかりだ。それに鳩山も彼らも身内の人間に対して小沢先生と呼ぶ。菅首相を菅先生と呼ぶことがないのと比較して異常なことだ。
 そう、彼らはみんな小沢を強いリーダーの名で、失脚したニキタ小沢を権力者として個人崇拝しているのだ。ニキタとは本稿#33で書いた旧ソ連の最高権力者だったニキタ・フルシチョフのこと。
 考えるに、なぜ小沢は引責辞任してまだ三カ月、謹慎の身であるのに一年後の代表選挙まで待てなかったのか?政治資金疑惑を清算し、菅首相が実績を挙げられなければ、国民がもっと納得できる出馬の形を整えられるはずだ。
 また、なぜ鳩山はこの代表選挙まで首相の座に居座れなかったのか?お陰で菅首相が尻拭いの貧乏くじを引かされ、代表選挙の混乱を招いた。(本稿#32)
今回の選挙は堂々たる、そしてやるべき権力闘争だ。これによって小鳩両議員を政界から引退に追い込んでほしい。
 もう一つ考えるに、万が一、9月14日に小沢候補が勝っても、臨時国会で小沢が首相に指名されるまでは菅候補が首相の地位にある。この時、菅首相が衆議院を解散することは合法なのだろうか。
                                 


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