2010年4月5日月曜日

#30 若者は日本の安全保障をどう考えるか

 民主党が普天間基地移転の方針を決めたようです。これからアメリカと沖縄県民に対する交渉が始まるので、まだ結論の前の段階。
 アメリカにはごたごたすれば普天間基地居残りという選択で交渉力があります。対して、政府には沖縄県民の反対と閣内の社民党の反対を交渉のてこに使えるとは言え、立場は弱い。国家の安全保障から見て県内移転に決めることになっても、滑走路は一本にすることと、一部がグアムへ移転する海兵隊の住宅と厚生施設などの現物支給とする、つまりアメリカが日本の金で海外の建設会社に発注することをやめさせる。これで国内の需要を増やし、雇用機会をつくることができる
 自民党は二本の滑走路を建設し、一戸平均6千万円もの高級住宅を建てさせるなどアメリカの要求を受け入れすぎたと思います。
 今回は久しぶりに得意の(?)政治について書きます。

◇ 対立する平和派と現実派の考え
 日本の安全保障に関する考え方を論理に従って整理してみよう。そんなことは分かっている、と言われるかもしれないが、実は論理と感情が混乱していることが多い。
 先ず、平和派は「もう戦争なんて起こらない→だから「日本にある米軍基地は要らない」と言う。軍隊が戦争抑止力になっていることを信じない。
 第二に、「東アジアにおける紛争危機を認めない」→だから米軍は沖縄から撤退すべき。
 第三に、「中国の軍事的拡大は脅威ではない」→だから沖縄はそれほど重要ではない。
 これに対し、現実派はすべて反対の考えに立っている。私は現実派であるが、次世代の諸君はどう考えるだろうか?どちらの考えも検証できない、つまり推論に基づくのだから、意見が分かれることは当然だ。

◇ アチソンラインの復活
 諸君はアチソンラインという言葉を聞いたことがないだろう。なに、若者だけでなく、今では誰もほとんど知らないから、諸君の教養水準が低いことにはならない。
 アチソンラインというのは、終戦直後にアメリカのアチソン国務長官が提唱した新たな東アジアにおける安全保障のために、カムチャッカから日本海、東シナ海、台湾海峡、南シナ海に至る海域を防衛線とした政策だ。それが今、第一防衛線と呼ばれて復活している。
 昨年、住んでいたアメノカの町で、旧知の経営者数人と会食した時、アチソンラインのことを質問したところ全員が知っていた。訊いてみると、高校の現代史で教えられたという。この時、私が高校時代の世界史について思い出した。当時は世界史でも日本史でも、古代から始めて、近代か現代に来た頃には関心が萎えてしまった。それに現代史は大学入試の問題に出ることはなかったので、勉強に手抜きした。最近では、日本においても日本史と世界史を合わせた現代史が科目に加えられていると聞く。
 ほら、考えてみてほしい。沖縄から米軍が引き揚げたらどうなるか?日本、中国、台湾の3国が領有権を主張している尖閣諸島が中国に武力占拠されれば、台湾と沖縄の間の海域が中国領海のように中国海軍が自由に行き来することになるだろう。韓国が竹島を、ロシアが北方4島を実効支配している現実を日本が変えることは難しい。国際世論は頼りにならないし、実効支配には抗するすべがないからだ

  【読者情報交流】
 読者からの意見や、私が皆さんに知らせたい情報をまとめてこの項を新設しました。

◇ 沖縄の基地と漬物#29について
 沖縄にある米軍基地について、全国にある米軍基地・施設が沖縄に占める割合を、数で言うと43%で、面積で言うと74%であると、沖縄の友達から指摘があった。
 また、沖縄でも本土からの地元帰りや移住者の間では、キムチ、べったら漬け、野沢菜などの漬物がよく食べられているが、沖縄野菜の漬物はまだないとのこと。そして漬物を置いているレストランもある。私の考えを沖縄経済に照らして言うと、本土の漬物は輸入、沖縄野菜の漬物を本土からの観光客にみやげとして買わせることは輸出になる。
◇ 新聞・テレビ業界の経営危機、#17について
 『週刊東洋経済』2月15日号と『週刊現代』4月10日号(まだ読んでいない)が特集を組んでいる。 


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