2009年11月1日日曜日

#17 全国紙、最後の護送船団か

 10月15日からは「新聞週間」、27日は「活字の日」でした。
 今回は、新聞をめぐる話を書きます。私のような古い世代には、朝起きて新聞を広げる楽しみは生活に欠かせないのですが、若い世代は新聞を読まなくなったと言われます。購読数が減ると広告収入も減るので全国紙はどれもが赤字経営に陥っています。中には累積赤字をかかえている新聞社もあります。経営危機になっているのです。
  
 さらに最近相次いで有力な月刊誌も休廃刊になりました。オビニオン誌とか評論誌と呼ばれる『諸君!』(文芸春秋)、『月刊現代』(講談社)、『論座』(朝日新聞)がそれです。購読者が減る、広告収入も下がることによって雑誌事業の採算が取れなくなり、全体の経営見直しからリストラされてしまいました。
 
 全国紙も月刊誌も若い世代が読まなくなったことが衰退を招いた一つの要因でしょう。諸君たちはこのままでよいと思うのか?
 考えてみましょう。
 
  
   なぜ5社体制は変わらないか


☆ 日本には朝日、産経、毎日、読売の全国紙が四つあり、日経を加えると全国紙5社体制になっている。アメリカ、台湾、韓国の各国では全国紙が五つも共存していることはない。戦後このかた変わりなく5社体制が続いてきたのは、各社のカルテルまがいの協調に支えられてきたからだ。政府も競争制限を許してきた。全国紙は最後の護送船団だ。
 この新聞5社体制は、さらに悪いことに、民報キー局によるテレビの5社体制を維持してきた。もともと5社はテレビの創生期に全国紙新聞社が資本と人材を出して設立したか、1社は独立系テレビ局を新聞社が買収したからだ。今は新聞社の持つテレビ局の持ち株は少数になっているが、各局ともがっちりと各新聞の系列であることには変わりがない。
 見かけの競争があるようで、競争がない実態は温存されてきた。芸人、タレント、識者が出演するバラエティショウがどのテレビにもあふれ、どの時間帯にも料理番組が幅を利かせている現状はいつまでも続かない。その上、テレビ局の平均給料は大企業のそれよりも5割も高い。テレビはインターネットのコンテンツが増えている今、早晩経営危機に陥るだろう。

 私は諸君たちの時代には全国紙5社体制が合併により3社くらいに再編されると予測している。奇妙な組み合わせであるが、読売、朝日、日経が業務提 掲を進めている。
 諸君の参考のために、業界が護送船団であるかどうかを識別するには三つの共通項を挙げよう。①合併がない、②倒産企業がない、③外資が入っていない


若者諸君、どうか活字を読んでほしい
 テレビや携帯コンテンツを見るだけでは、論理的思考力をつけられない。 私がかつて講師をしていた大学の学生たちの多くは新聞を購読していないが、それでも大学に来て新聞を読む。床屋や医院では、全国紙を置かず、スポーツ紙だけのところがある。また、週刊誌だけで月刊誌が消えた。
 よく指摘されているように、テレビの日本語の乱れはひどい。これに対して、日本文化の基礎である正しい日本語を活字メディアが守っている。
 次世代のために、諸君が新聞と月刊誌を支えてもらいたい。


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