2010年2月4日木曜日

#26 発想ゲーム、ハイチ株式会社

ハイチ大地震後の国際支援が進んでいます。これから数年の間に倒壊したハコモノは新たに再建されるでしょう。しかし、ハコモノが再建されても、この国の自立は別問題です。政府の統治能力も民心の自立意識も容易には変わらない。大胆に変えなければ元に戻るだけです。
 これまで日本とはあまり関わりがなかったハイチを一つの例として、世界の発展途上国を自立させるための改革について、私の発想を紹介します。


ハイチの国情の実態
 ハイチはカリブ海の島、イスパニョーラ島にあり西三分の一を占める小国、面積は岩手県と新潟県を合わせた広さ。残る東側はドミニカ共和国。周辺の国と国勢を下記の表で比較してみよう。これから分かるように、ハイチはだんとつの最貧国だ。



 表の中でプエルトリコは独立国家ではなく、アメリカの領土で、議決権はないが、アメリカ議会に国会議員を送っている。英語とスペイン語が公用語として使われる。
 さあて、なぜハイチは貧しいのか?諸君に考えてもらいたい。 
 内戦が続いたせいもあるが、それよりもハイチだけが他の国と異なることがある。 それは他の国ではスペイン語が使われるのに、ハイチだけがフランス語国であることだ。さらに言えば、カリブ海諸国と中米諸国がすべてスペイン語圏である中で、ハイチは唯一のフランス語使用国なのだ。これでは貿易や産業振興においては大きな障害になる。言葉の違いがあれば観光客も呼び込めない。隣国のドミニカに比べて農地が荒廃して農業も遅れていると言われる。かつての植民地に対する面倒見が良くないというフランスの植民地であったことも不幸だった。

ハイチと国連途上国再生機構の発想
 長年経営者の内紛と統治能力がない中小企業は経営破綻を招く。自明のことだ。ハイチは経営破綻企業みたいなものだろう。地震災害から国際支援によって復旧したところで、その先には自立する見通しは立たない。破綻した企業の経営再建においては、外部から新しく経営者と経営チームを入れて従来とは違う抜本的改革策によって再建する。
 そこで、ハイチを一定期間に国連に統治を委ねてその経営チームによって再建する制度を導入することで再建する。日本の企業再生支援機構の国連版として、今後途上国支援のモデルケースに使う価値がある。どうにもならない国がいくらでもあるのだから、支援の仕方を変えなければ、単に対症療法として資金援助するたけでは無駄を繰り返すだけだ。
 国民が永続する貧困から抜けてまともな生活を希望するか、または貧乏でも独立自尊を選ぶか、国民投票を実施することで問うことから始めてみる。
新体制によって進めるハイチの抜本的改革として何をするか?


1)スペイン語を公用語に変える。言語改革には、日本語を北京語に変えた台湾、多言語から英語を公用語に変えたシンガポール、ロシア語から自国語に変えたかつてのソ連傘下の諸国の例がある。
2)ドミニカと合併して島と同じ名の「イスパニョーラ国」とし、その下にドミニカ州とハイチ州を置く。二者対立を防ぐためにもう1州を加えて3州にすることがよいか。

中小企業と国の「三ない」
 長年中小企業の経営改革と再建に関わってきた私が、破綻する企業の経営者に共通点があることを知った。それを私は「三ない」と呼ぶ。すなわち、(周囲の変化が)見えない、(改革策を)考えない、(従来のやり方を)変えない、の三つだ。
他方、途上国リーダーについても同じことが言えるだろう。
 さて、諸君たちも「三ない」にとどまっていないか?私の発想ゲームについて暇な時に考えてほしい。


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