2009年9月14日月曜日

#12 オリックスが危ない!

 16日に鳩山内閣が発足します。社民党との連立で外交と安全保障について民主党は縛りを受けますが、来年の参議院選挙で民主党が過半数を確保するまでは、なだめすかして無理をしないことです。

 鳩山代表が日本の月刊誌に発表した論文が、アメリカの新聞に抜粋掲載されて波紋を広げ、アメリカ政府の報道官が対米政策について警告のコメントを出しました。私が6月に渡米した時、長い付き合いがある経営者グループと会食した席で日本の総選挙が話題になりました。彼らから民主党が勝った場合、対米政策の変化について質問を受けました。私は参議院の勢力構造から社会主義系政党を連立政府に入れなければならない背景を説明し、表向きは反米に見られるような政策を打ち出すかもしれないが、政権を実際に担当することになれば現実的に対応するだろうと話しました。その彼らは日本がインド洋で各国艦船にタダの燃料を給油するガソリンスタンドを開いていることも、アフガニスタンの警察官に半分の給料を出していることも知りませんでした。アメリカのメディアが報道していないのです。

 鳩山政権が発足する前に、その対米政策についてアメリカのメディアで話題になったことには、反面、プラスの意義もあると思います。
 アメリカ政府は鳩山新政府が反米政策を出してくることは読んでいるでしょう。問題は、来年の参議院選挙で民主党が過半数を取った時に、どのような対米政策を出すのか、これが問われることです。なぜなら、もう社民党の影響力を使えなくなるからです。

 アメリカ大統領が就任すると、議会も外野もハネムーンと言って100日間は大統領いじめを控える慣行があります。我々も鳩山首相にハネムーンを与え、私も国政に関する執筆を休みます。
 
 今回は、プロ野球問題を書きます。「オリックスが危ない!」という表現は、人の目を引く手で、週刊誌の記事のタイトルみたいなものです。
 過激なタイトルは今さて置いて、プロ野球事業改革の一端としてオリックスを取り上げてみます。ここではオリックスを球団名、オリックスグループを親会社と呼んで使い分けることにします。
 例によって、長い文になってしまいましたが、我慢して読んでください。

  
オリックスが危ない!

 昨日、前日の雨が去って快晴。突然思い立って神戸のあじさい球場に出かけ、オリックス二軍の対中日戦を観てきた。二軍から一軍へは毎年一人か二人しか上がれないのに、すべての選手が全力でプレーする姿に心打たれる。
 あじさい球場は正式名称をあじさいスタジアム北神戸と言い、一帯のスポーツ公園を神戸市が運営している。ここに行くには、神戸の中心部新開地から神戸電鉄の三田行きに乗る。ほんの少し先は三田市になる。市街を抜けると電車は登山鉄道のように裏六甲と呼ばれる山中を上っていく。途中にはいくつか開発された新興住宅地がある。これでも神戸市北区とは?調べてみると、神戸市面積は大阪市の2倍以上ほど広い。
 電車賃700円、最寄りの駅道場南口まで50分、駅から200分の徒歩でやっと山の上にある球場に着く。入場料500円を払って通路を出ると、美しいグラウンドが目に飛び込んでくる。この日、ネット裏と両側の内野の席に約700人の観客が入っていた。

 私は夏から秋にかけてオリックスの本拠地京セラドーム大阪と準本拠地スカイマーク神戸における観客数を新聞で見てきた。今シーズンは最下位で例年より悪いかもしれないが、オリックスの試合には本当に観客が入らない。観客が入らない球団はほかにヤクルトと横浜があるが、オリックスはそれを下回り、全12球団の中で通年では最も少ない観客しか集められない。
 例えば、夏休み中の8月3日、高校野球の始まる前から甲子園を明け渡した阪神が広島に遠征して地元にいない日の日曜日に、オリックス本拠地京セラドームの対ロッテ戦にはこれまで最高の25,495人が入った。ところが、学校の夏休みが終わり、阪神が帰ってきた27日の準本拠地・神戸スカイマークスタジアムにはたった9,412人しか入らなかった。9月10日、京セラドームの対楽天戦では9,657人。この木曜日、阪神は甲子園での試合には38,400人が入った。

 8月4日に、親会社の会長であるオリックスの宮内オーナーが京セラトド―ムで楽天との試合を観戦した。この試合は最悪で、オリックスは打者27人、ヒット一本に抑えられる準完全試合をくらった。しかも巨大なドーム球場の11.323人はがらがらの状態に見える。宮内オーナーは腹を立てただろう。彼の球団経営に対する心境はどんなものだっただろうか?

 現実に、オリックスの経営は危機に置かれている。いくつか問題があるが、ここでは五つだけ指摘してみよう。読んでもらうと理解されるように、この球団経営には目先の戦術があるだけで、末端の感性と経営戦略が欠けている。
 

  1. 使用料が高く、しかも試合数が多い京セラドームに客が入らない。
本拠地でユニフォームの胸の表示がB’sでは、BravesかBlue Waveをまだひきずっているようで、元の近鉄フアンから共感を得られない。Buffaloesに変えるべき。

  1. 他球団でプレーした大砲の外人選手4人は多過ぎ。
昨年3位になったことから、今年は優勝を狙うために短期戦術を取ったのだろうが、これでは日本人選手が伸びる機会を取り上げられている。ファンの共感を得ていないだろう。その4人も故障が多く、常時出ているのは2人だけ。
 
  1. 外人か外人を真似た場内アナウンス
京セラドームではがなりたてるような選手紹介は耳障りに感じる。私だけではなく、元の近鉄ファンにも受けていないのではないか。ソフトな声の女性アナウンスの方が球場にふさわしい。

  1. 神戸市内にある二軍の移転。
あじさい球場はプロ野球が目指すべき地域立地になっていない。神戸市民はどれくらい二軍を知っているのだろうか。例えば、二軍を岡山に移転して「岡山オリックス」に二軍球団名を変え、岡山県や鳥取県のファンを増やすべき。私はかつて球団に二軍を高松に移転して四国 ファンを取り込むことを提案したことがあるが、四国独立リーグに市場を先取りされてしまった。

  1. 広島カープのような基本の経営方針がない。
12球団の中では唯一、特定のスポンサー会社を持たないのに、広島はわずかとは言え黒字経営を維持している。無名の選手を二軍から育ててスター選手をつくり、年俸が2億円を超えると他球団に放出するという。主砲であった江藤(巨人→西部)、金本(阪神)、新井(阪神)がその例。私は長年「広島は日本で唯一のプロ野球球団」と言ってきた。


 最近では、都市対抗野球の強豪でさえ、親会社が野球部に使う数億円の年間経費を削るために廃部が相次いでいる。もとはと言えば、近鉄本社が1兆円余の有利子負債を抱える財務危機から、経営改革の一つとして年間30億円を超える球団の赤字補填を止めざるを得なくなったのである。株主に対し、球団維持の正当化を説明できなくなった。球団合併と呼ばれたが、経営の定義では無償の事業譲渡だった。それどころか、私の記憶が正しければ、当初3年間はオリックスに年間5億円の経営支援金を払うことが契約に盛り込まれた。それでも球団を手放すだけで近鉄本社には年に30億円の経費削減になった。

 月刊誌によると、オリックスグループは一時5兆円の有利子負債を抱えていたと伝えている。これまでグループ傘下の企業を売却して債務を減らそうとしている。ノンバンク金融業の最大手とは言え、オリックスグループにとって赤字球団はお荷物になっているだろう。

 オリックスグループはどう動くか、オリックス球団はどこへ行くのか?
 若者諸君の次代にはどうなっているか、皆さんはどう考えるだろうか?

 この日、内野の芝に座ってコンビニのにぎり弁当を食べて観戦した。青空に立ち上がる真っ白な夏雲の間からさす強い陽光を浴びて観る試合。二軍でも一軍でも野球は面白い。


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1 コメント:

さいきゆみ さんのコメント...

お気を悪くされたら申し訳ないのですが…若干文章がどんどん長くなる傾向にあるようです。
前半と後半を分けられるとかしたほうがいいような気がしますが…。

軽く読めません。

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