2017年7月17日月曜日

#178 大学まで授業料無償化ーー大衆迎合の悪例

  大学までの教育無償化の政策を掲げたのは、アメリカの大統領候補として一時人気があったサンダース議員です。多分、自民党政府が人気取りのため飛びついたものでしょう。  
 この人気取りが国政を危うくしています。さっぱり減らない一兆円もの累積債務を抱える財政危機の中でこんな財源はないはずです。
  今回は、日本の有給休暇について関連する事柄を書きます。諸君にはもう「関係ない」とは言っておられないのです。

 ◇ 大学までの授業料無償化に反対 

 諸君は惑わされるな。進路をよく考えよう。 
 先ず、無償化とは関係なく、大学は過剰供給であることには変わりがない。これが根本問題なのだ。どっちみち大学は少なからず淘汰されるのに、国費を使って学生を増やし、国費で救済することは財政を圧迫し、経済の原則に反する。 
 そもそも諸君はなんのために大学に行くのか?専門知識や技術を学べる専門学校を選ばないのか? 諸君、一度ネットで「国立専門学校」を検索することを勧める。国立だけでなく、多数の公立学校がある。授業料は安く、無償もある。地方がお勧めだ。
  諸君は思い込みしているかもしれないが、専門学校でも一般教養の科目も教えている。 専門学校でも高度なのは、中学から入り、5年間の課程である国公立の高等専門学校(略称、高専)だ。多少大学卒に対して不利に扱われるかもしれないが、技術者や研究者の世界は実力次第だ。      大事なことは、専門学校を選ぶ若者には目的意識があることだ。 
 結論を言うと、私は政府の大学まで無償化する政策には強く反対する。無償化するなら専門学校までにすべきだ。民進党は大学無償化の政策に反対できるか?

 ◇ 東京に大学や学部の新設を認めない

  東京には138の大学がある。全国の大学数780の約18%に当たる。2番目に多いのは大阪市の56であるから、大学の東京集中は異常と言える。因みに、私が知るニューヨーク市には24の大学collegeがある。ここでcollegeと書いたのは上部組織のuniversityと区別するためだ。日本ではuniversityは総合大学と思われているが、そうではない。universityというのは、会社組織で喩えれば持ち株会社に相当し、collegeを傘下に置く経営母体だ。因みに、公立の短大を含めてアメリカには約3千の大学がある。
  さて、なぜ大学が東京に集中するのか?なぜ学生は東京の大学を志向するのか? 当然、需要があるからであり、経営が成り立ちやすいからである。これは今のことで、将来も続くことはない。政府は先んじて改革に乗り出した。
  そこで、学生の側から見聞きした意見を挙げてみよう。

  ① アルバイトの口が多い。
  ② 就活に有利。
  ③ 就職先を見つけやすい。 
  ④ 東京で働ける。(東京本社で採用されても地方勤務になるかもしれない)
  ⑤ 遊び場所が多い。
  ⑥ 旅行にどこでも行ける。(実際、交通機関は便利)
  ⑦ 友達をつくれる。(友達はどこでもつくれるのに) 
  ⑧ 大学卒と呼ばれたい。 

 残念ながら、東京では勉強に打ち込める、という意見を聞いたことがない。 
 他にも親がどこの大学に入ってもいい、大学卒の肩書きを取ってほしいという希望が根強くあること。子供が結婚式で大学卒と紹介されたいと思っている。
  敢えて大学を選ばない人たちに不公平なことだ。 私は政府が無償化をするなら、専門学校までにとどめることにしてほしいと思う。諸君、よく考えて進路を決めてほしい。

 ◇ 働き改革と有給休暇改革 

  アメリカには公的祝日が8~10日しかない(州によって違う)。日本では13日もある。なぜか? それは日本ではたっぷりある有給休暇を会社が使わせないようにしているからだ。そのために社員が気持ち良く休暇を取れず、その代わりお上が定めた祝日を天下御免で休める。
  私がアメリカ企業で働き始めた時、2週間のバケーションが与えられた。6年目から3週間になった。最初は日本企業では経験したことがない長期休暇に戸惑った。私は夏と冬に分けて1週間ずつ取っていた。
  もう50年も昔のこと、立山で春スキーを楽しむために2日間の休暇届けを出したところ、労務係から「風邪にしてくれ」と言われた。最初は抵抗したが、日頃世話になっている年配者の立場を考えて従った。当時、この会社では慰労休暇と呼んでいた。 
 その後、アメリカの大学院で面接を受け、経費について調査するために5月の連休と前後に3日間の休暇を申請した時、管理者から役員まで猛烈な反対をくらった。私は強行した。
  ほんの数年前のこと、大商社の法務部に勤めるアメリカ人弁護士が1週間の休暇を取ろうとした時、「3日以上の休暇は許可されない」と言われた。会社規則にもないことで、闇の慣行に過ぎない。アメリカ人は「そんな馬鹿な」と言ったそうだ。
  つくり話くさいが、このアメリカ人は3年間の日本生活で憶えた日本語は「そんな馬鹿な」だけだったそうだ。 政府が進める働き方改革の一つとして、有給休暇問題を取り上げてほしいものだ。人手不足の中で難しいと経営者は反対するだろうが、現行の有給休暇を減らしても社員が気持ち良く休めるバケーション制度に変えるべきだ。   (完)


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