2015年11月20日金曜日

#149 安保関連法の監視はこれから――政府の実行に歯止め

 安保関連法が成立したとは言え、グレーゾーンのように法律にはしばしば不備があり、想定外の事態が起きるかもしれません。また、米国の圧力によって米国流の解釈で法律すれすれの集団的防衛を迫られるかもしれません。
  集団的防衛に沿って自衛隊を海外に派遣することを政府が決断する時には、じっくりと構えて急がない「しぶちん」と「ええかっこしない」の二つをキーワードにする外交を基礎にしてほしい。 野党が集団で安保関連法を廃止にするのではなく、これからは政府の決断一つひとつについて、必要なら我々は歯止めをかけるのです。若者諸君の民力が試されます。

防衛予算に歯止め  

 日本の防衛予算が約5兆円で、ほぼ日本と同じGDPである中国は17~20兆円。いずれ財政破綻を免れない。まともに中国と軍拡競争をするなら、借金(国債)大国日本も危うい。諸君の世代がかぶる。かつてソ連はアメリカとの軍拡競争によって国が崩壊する要因の一つになったことを忘れてはならない。
 さらに、兵力では自衛隊が約25万人、対する中国は230万人(さらに人民武装警察66万人)ではるかに及ばない。それに中国司令官が「兵隊はいくらでもいる」と豪語した。何百人の兵隊が戦死しても政権は揺るがないだろう。
 他方、日本では自民党政権が安定しているとは言え、自衛隊を海外派遣して戦死者が一人でも出れば、首相辞任の騒ぎが起きる不安定さがある。
 安保関連法で守りを固め、同盟国アメリカの軍事力とアジア諸国の支援が頼りである。自衛隊は叡智と装備の充実によって防衛力を維持し、防衛費を抑制するしかない。
 自衛隊は今、戦闘機、水陸両用強襲車、早期警戒機、無人偵察機などをアメリカから買おうとしている。装備の近代化に必要なものかもしれないが、抑制予算内で買うべきだ。 アメリカの圧力もあるだろうが、アメリカには国防産業を守るために、常に戦争や海外支援で兵器を消費させなければならない背景があることを認識すべきだ。

  ◇ イスラム国と難民――饅頭論

 饅頭論とは私が自治体の行政を研究している時に発想した造語だ。説明すると、饅頭はあんこと皮からできていることから、あんこは論理、皮は情緒(非論理)に喩えた。つまり政治の根幹は論理で考え、その上で民意の味加減をつけるというものだ。片側に偏り過ぎると判断を誤り、両者をうまく配分しなければならない。往々にして民意は情緒に流されやすい。そして、皮とあんこが境い目なしになると、饅頭はまずい。
 今、欧州ではイスラム国のテロと難民が大きな問題になっている。安倍首相は外遊先で支援の意思を表明した。日本政府は何をしようとしているか?
 イスラム世界、あるいは中東の事情は日本政府の理解を超えている。その上、これは欧州の問題だ。日本政府は饅頭のあんこ思考では、他国の支援要請や国内の人道的世論に惑わされてはいけない。
 人道的と言うと、すぐに日本も難民を受け入れるべきだという世論が起こる。政府はしっかり見極め、世論をまともに受け入れない決意につくべきだ。饅頭論のあんこだ。
 なぜかと言うと、

  ① 日本は世界の難民受け入れる前に、体制を数年かけて準備しなければならない。さもなくば、国内に混乱を招き、政府の今の統治能力では収拾できなくなる。
  ② 難民問題は、これまで有効なアフリカ対策を軽視してきたヨーロッパ先進国の責任だ。また、テロに関しては、シリアを初め中東問題は、戦後以来の先進国の外交を引きずっている。
  ③ 日本の外交は、アジア地域に中心を置くべきだ。従って、安保関連法の適用も近隣地域に限定する。アフリカや中東に深く関わらないという抑制を利かすべき。
  ④ 難民受け入れも日本は冷たいと言われようとも、非難に耐える覚悟を持つべき。中国とロシアは身を引いている。
 ⑤ いずれ中国が財政破綻する時には、大量の中国難民が台湾、韓国、日本に押し寄せてくる。また、北朝鮮に何事か起きれば難民が渡ってくる。これは日本の難題だ。
  ⑥ 日本に在留する外国人の難民と難民申請者は約6千人、このうち約半分が認定された難民だ。政府の難民認定が少ないと言われるが、資格認定を緩めるとどっと増えるだろう。日本では難民が仕事も少なく、住みにくいと言われる。移民国アメリカにおいても難民の生活は苦しい。この非難には耐えなければならない。
 他の一面は自治体や市民が支援しているにも関わらず、海外では報道されない。

余談――NHK用語のあほらしさ  

 二ヶ月も前のことか、NHKテレビニュースの中で「今後『イスラム国』は国と誤解されるので、『過激派組織IS』に呼称を変えることにしました」という声明を出した。しかし、その後もNHKのBSニュースでは相変わらず「イスラム国」を使っている。他のテレビも新聞も「イスラム国」を使っている。NHKのひとりよがりだろう。
 問題は、名称変更を承認した管理者たちはこの統一の無さに気付いているのか?私は以前から本稿でNHKの中間管理者が弱いことを指摘してきた。企業の管理者はこんなものではない。
 さて、諸君たちは「イスラム国」を独立国と間違えるか?そして俺たちを馬鹿にするなという反感を持たないか?
 因みに、アメリカのテレビニュースでは「IslamicState」とか「ISIS」を使っている。     (完)  


Back to TOP  

0 コメント:

編集

Back to TOP