2015年5月13日水曜日

#138 英語より浪花節――友達の子供の気概

 先日、友達から今話題の英語教材を孫に贈ろうと思うが、どうかと相談を受けました。
  他でも質問を受けたこともあるので、今回、私の意見を押し付けずに本稿を読んでもらうことにしました。 諸君にも読んでほしいと思います。先ず英語教育について諸君に質問します。自分の意見を述べることができますか?

 「なぜ日本人万人が英語を話せなければならないのか?」
 「なぜ大学入試の共通試験にヒアリングが要るのか?」  
  [世界の言語大国で人はどれだけ英語を話せると思うか?]
 「小学校から英語を教えることに意味があるか?」  
  「読み、書き、文法の学校教育は本当に悪いのか?」
 「諸君はどこまで話せることがか目標か?」
 「学校の英語教育で英語を話せるようになれるか?」  
 「英語の発音に日本語訛りがあることは巧くないことか?」

 これらの問いに答えられたら、下記に進んでください。私の考えのどこに賛成するか、反対するか、考えを決めてください。

◇ 「聴くだけで英語が話せるようになる」

 私が住む町の地方紙には、相変わらず毎週のように英語教材の広告攻勢が今も続いている。この教材を最後まで買うと20万円を超える。英語に対する負い目と、一旦始めると止められない心理をうまく使っている。
 「英語の勉強は要らない」という殺し文句に引っかけられる。 主婦や寿司屋店主の英語を話せるようになったというコメントが写真とともに載せられている。テレビのコマーシャルでもやっている。ほかにも、「机に向かって英語の勉強一切しない」、「暗記・文法も不要」、「東大医学部卒、医学博士も絶賛!!」などと広告に書いている。
 
 写真や映像には人が信じやすい。巧みな販売戦略だ。  しかし、ちょっと待ってほしい。  どんなレベルで英語を話せるのか?
 
 ホテルのチェックインや来客との応対に英語を使えるかもしれないので、虚偽広告とは言えないが、それ以上のレベルには聴くだけでは無理。ちょっとした会話が目標なら、こんな大金を払わなくてもよい。金持ちの大人が買うのは勝手だが、学校で英語を教わっている子供には使わせるな!
 私のお勧めはNHKのラジオ英会話番組だ。もう何十年も聴いてきて、今も時々聴いている。

◇ 仕事に使える英語勉強法

 私がボクサー方式と呼ぶ勉強法だ。常日頃は朝のロードワークのようにラジオ英会話を毎日聴く。そして、試合が決まると、つまり海外旅行や海外出張があると、一ヶ月くらいは集中的に勉強する。その間に仮定法など弱点があると、中学校か高校の文法教科書に戻って勉強し直す。
 物理や数学なら基礎の上に次の理論が成り立っているのに対し、英語はどこからでも入って弱点だけを取り出して勉強できる。この違いがある。勉強と言っても大したことないのだ。

 親の思い込みと押しつけ

 親の多くが学校の英語教育はだめだと思っている。だから高い英語教材を子供に買い与える。これはむなしい投資だろう。これはとんでもない誤解だ。
 大企業経営者もテレビに出るヤツも学校の英語教育を批判してきた。「使いものにならない」と。私がアメリカで会ってきた日本人の英語名手たちは、みんな学校英語の産物であった。
 読み、書き、文法を抜きにしてこういうレベルにはなれない。何でも土台が大切なのに、親たちはなぜこんなことが分からないのか。  諸君が親なら、これから親になるなら、子供に他より先駆けさせたい気になるなよ。

 一つ面白い話。車メーカーに勤めていた友達が、アメリカの子会社の駐在員になった。彼は妻、男の兄弟の四人家族で渡米した。ある日、彼から電話があり、小学校高学年の長男を九州の祖母のところに帰したとか。
 「あれは英語嫌いで、そのため日本に帰りたがった。順応しないのだから仕方ないよ」と言う。訊いてみると、長男は浪花節が大好きで、いつも風呂で唸っていたらしい。私は「その子はしっかりしとるなあ」と真面目に言ったものだ。
 英語は、音楽のように、好き嫌いがあり、素質の違いがある。諸君は子供に英語を押し付けてはあかんよ。  

◇ 一見まともに聞える妄言に惑わされるな

 「英語は早い年齢から始めた方が良い」というのは、かなり広く信じられているようだ。「赤子は勉強しなくても自然に耳から言葉を覚える」がその論拠になっている。
 諸君はこのアホらしさに気がついているだろうか。
 日本人の子供がアメリカで生まれて生活したら、英語を耳から覚えるだろう。しかし、親が帰国するなら日本語は耳から学べない。母国語は思考力の源だから、思考力でハンディを背負う。あれもこれもということにはならないのだ。
 結論を言うと、英会話を始めるに遅すぎるということはない。一念発起すれば何歳からでも巧くなれる。巧くなれないのは、努力を継続しないからだ。テレビで「自分は英語をしゃべれないから、小学校からの英語教育に賛成だ」と言うが、これは学校教育のせいではなく、自分が努力しなかったからだ。多くがそうだろう。

 長い英語の現場について教育の論文

 私は英語が使われる現場に身を置いてきた。会話の上達が早かったのは、その前に読み、書き、文法に強かったからだ。
 終わりに、現場に置いて見聞してきたことを書いた論文を参考にしてほしい。諸君には最後まで読む根気があるかな。  本稿の左端に小項目が並んでいる。「日本語英語」をクリックすると開ける。                         (完)


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