2014年6月13日金曜日

#117 憲法改正の実現は遠い――尖閣に何が起きるかが問題

 このブログについて長くて堅いというのが定評(?)らしい。主に年寄りからの意見です。私もそう思っています。 しかし、老い先が長くない私にしてみれば、若者に何か遺したいと願うことから、面白いことを軽く書いても意味がないのです。仮に面白く書こうとすると、真面目な番組で身についていないおふざけをするNHKのアナウンサーのように、しらけてしまうかもしれません。
 もともとおふざけは芸として難しいものです。 ご意見に耳を傾けて、先ずは一節を少しずつ短くしていくことにしましょう。

 今回は改憲と憲法の解釈変更について書いてみます。諸君の時代にはどうなっているか?

憲法改訂とアジア情勢  

 「集団的自衛権を持つが、行使できない」というのは、これまで歴代政府が政府の一部局である内閣法制局の解釈に従ってきた。本来なら、憲法を改訂して他国並みに集団的自衛権の行使をはっきりすべきだという野党の主張は正論だ。
 しかし、現実には憲法96条に改正の要件は、国会議員の2/3以上の賛成で発議し、その上で国民投票によって過半数の賛成を得なければならない、と定めている。これはほど遠いことで、改正が実現することはいつになるのか分からない。諸君たちの時代にさえ実現するかどうか。  
 その間にアジア情勢は刻々と変化している。  中国は東シナ海と南シナ海の全域を「排他的」(私は「独占」と訳すことを提唱)経済水域を事実上中国の内海化することを着々と実行している。
 中国は南シナ海に石油掘削施設を設置し、さらに小島を埋め立てて軍事施設を建設しようとしている。いずれもこのままでは実効支配になってしまう。
 ベトナムとフィリピンが艦艇を派遣して阻止しようとしているが、もう遅い。中国が工事を始めた時に阻止しなければならなかった。他国のことは言えない。半世紀前に韓国が武力行使によって竹島にヘリポートと監視施設の建設を始めた時には、日本政府は抗議をしただけで黙ってなりゆきに任せて今日にいたっている。
 ベトナム、フィリピン、日本は中国と韓国の実効支配を排除するには武力行使の手段しか打つ手がない。戦闘をいとわない中国相手ならとてもやれない。

  ◇ 改憲のハードルは高くないのに

 改憲発議のハードルが高過ぎとされ、そのせいか戦後に制定されてから一度も改正されていない。  「これまでうまく機能してきた」とか「国民の意見が盛り上がらない」と言われて改正に反対が強い。自民党も長く改正を唱えながら、選挙対策のゆえか本気で国会に発議をかけたことがない。  軍国主義と敗戦の反動から終戦直後に制定された現行憲法を変えることは長くタブーだった。
 アメリカがつくった憲法であることは歴史的事実ではあるが、この絶対的平和憲法は我々日本人の手にある、つまり日本人が保有する憲法だ。今は日本人が変えようと意図すれば変えられる。アメリカは関係がない。
 さて、本当にハードルが高いのか?  因みに、アメリカでは憲法改正(Amendment修正と言う)には連邦議会両院で2/3以上の賛成により発議、各州の3/4の賛成が必要とされる。1788年に憲法が制定されてから今日まで26回修正されている。 もう一つインターネットで調べてみると、日本と同じく敗戦国のドイツでは、連邦議会両院の議員総数の2/3の賛成が憲法改正の要件であり、国民投票はない。これまで時代に合わせて50回以上も改正されている。  こう見てくると、日本の改正要件は決してハードルが高いとは言えない。

  ◇ なぜ憲法の解釈変更か?

 改憲が当分できないことを知る自民党・政府は、集団的自衛権を行使するためには憲法の解釈変更しかないと判断しているのだろう。国の安全保障を担う政府は正論(往々にして空論)より現実につくことは当然のことだ。
 ところが、国会の会期末が22日に迫る今、公明党が集団的自衛権を閣議決定することに反対を続けている。創価学会政治部の平和主義公明党は簡単に譲るわけにいかないが、どっちみち条件をつけて合意するだろう。なんでも反対の姿勢を続けた後で、政府案に合意することは地方政治でも国政でもよくあることだ。
 さて、なぜ改憲を今できないのか?
 これには長年蓄積されてきた根深い改憲アレルギーがある。 それは、表面的に反対勢力が強いことであり、野党の議員が国会で「子や孫を戦争に巻き込んで犠牲者が出てもよいのか?」、「世界中でアメリカ軍に引っ張られて戦争することになる」という短絡した発言に大衆は説得される。反対集会やデモに参加するオバサンやバアサンは日本が置かれた状況を認識しているのだろうか。諸君は?

◇ 中国に対する抑止力  

 東シナ海における中国の海軍と空軍は日本の脅威になっている。特に尖閣島と海域に対する脅威は誰にも分かるはず。 ベトナムやフィリピンが領有を主張する島に中国が施設建設と島の埋め立てによって実効支配をしようとしている。残念ながら両国のアクションは遅かった。もっと早い段階で対応すべきだった。
 今、いつでも中国は尖閣島に施設の建設をして実効支配に出る恐れがある。将来に改憲をするにしても、法律整備もすぐには対応できない。今は憲法の解釈変更で対応することはやむを得ない選択だ。
  マスコミは、内閣法制局の後退と政府の人事介入を批判するが、もともと政府内閣の部局、つまり行政の機関が国の安全保障政策を支配することがおかしい。本来なら司法機関として最高裁に属すべきなのだ。 因みに、アメリカの違憲判断は連邦最高裁が行い、8人の判事は時の政権が任命し、議会が承認する制度になっている。それでも政権の政策遂行に有利な判事が任命される。 集団的自衛権の行使は当座限定でよいから、早く閣議決定すべきだ。これが中国に対する抑止力になる。                   (完) 


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