2014年6月1日日曜日

#116 政治の右と左、保守とリベラルとは?――整理を試みる

 前回でウクライナの騒乱について他国の例も挙げて書きましたが、読者からの反応は鈍く、一ヶ月に500を超えたこともある閲覧数が初めて300を切りました。考えれば無理もないことで、日本にとってウクライナは関係がない存在ですね。タイトルも良くなかった。週刊誌調に「中国に飛び火するか―ウクライナの騒乱」にすれば良かったかな。  
 しかし、私はテーマが何であれ、諸君たちが次代の中心になるので、近未来の時代を意識して書いています。 以前に中年世代から質問を受けたことで、また最近若者から訊かれました。右派、左派を初め、政治と社会の思想について言葉が混乱しているので、今回は用語について整理してみましょう。

右か左か、ややこしい区分け  

 人は区分けをしたがる。あの人は右か左か、のように。さまざまな用語が使われているのでややこしい。そこで思想の用語を挙げてみよう。
 先ず「右」からは、右派、右翼、保守、国粋主義、極右。
 右派は穏当な表現で、政治的にも社会的にも大きな変革を望まず、国家の在り方と伝統を重んじる。保守主義と同義。右翼と呼ぶと右翼団体のイメージと重なるようであまり使われない。国粋主義というのは、天皇を頂点とする国体護持を唱える日本の伝統的国家至上主義であり、右翼団体が信奉する。極右も国粋主義とおおむね同義であるが、日本ではヨーロッパで最近台頭するような極右政党は見られない。
 次に「左」では左派、左翼、革新派、リベラル、進歩主義、社会主義、共産主義、過激派など。    
 最近では左翼、革新派、進歩主義の言葉はあまり使われなくなり、反保守としてリベラルがよく使われる。リベラルは個人の権利や社会の変化に寛容である反面、伝統的価値観があいまいで国家観が薄い。  
 そのほか中間の用語として中道保守と中道左派がある。

諸君に問う、保守かリベラルか

  講釈をさておいて、一つの例で諸君の考えを問うことにしよう。
 アメリカでは最近、いくつかの州で同性結婚を認める法律が通った。これからもっと広 がるかもしれない。 私がアメリカの地方都市に住み始めた1978年には、同性結婚どころか同性愛も社会の表では認められていなかった。同性愛を表社会でも認知されることを求める運動がデモの形で行われていた。
 町の友達との会話では、「同性愛は勝手にやればよいが、押入れの隅に引っ込んでいろ」と言い、デモに反発していた。私はここまで言わなかったが、内心では「何も騒がなくていいだろう。静かにやればいいではないか」と思っていた。
 それが90年代になると、ニューヨークや西海岸、特にサンフランシスコでは大規模な同性愛者によるデモが行われ、出張した時には「我々は同性愛でござい」と誇示する七色の旗があちこちの家に掲げられているのに驚いた。 そして、今や同性結婚でさえ法律で公認されるにいたった。
 30年でこれだけ変わったのだ。最近、アメリカ人の一人が、「離婚率が5割を超えたのだから、普通の結婚に大した意味がなくなったのだよ」と言う。 さて、私はと言えば、DNAが起因するという同性愛を認めるにしても、同性結婚には反対だ。つけ加えると、夫婦別姓も子供が迷惑するから反対だ。夫の姓で戸籍に入っても妻が職業上の理由で姓を変えたくないなら、そのまま通称として旧名を使えばよい。
 因みに、私は本名が博で、博志はペンネームで通称であり、本名は公文書でしか使わない。 こと同性結婚に対しては、私は保守派である。そして、日本はアメリカ社会に追随せず、日本には日本の社会があると信じる点で保守派である。私は日本が特殊社会ではなく、アメリカが世界のどの国にも参考にならない特別の社会であると思っている。
 諸君は保守かリベラルか、どちらか?

政党と私の政治遍歴

 かつては政党の違いが分かりやすかった。 若い頃は自民党と社会党の二大政党時代だった。 
 日本企業の労働組合の影響で社会党を支持していた。加えて、日本の政治に疑問を持ち、社会主義に期待を寄せていたこともある。 田中元首相は、「自民党には右から左までの人材を擁し、総合商社みたいなものだ」と言って国民政党と称し長期政権の基礎にしていた。自民党はまともな保守政党ではなかったから、そのために野党が育たなかった。
  当時言われていたことがある。「30代で自民党支持はバカ、40代になっても社会党支持はバカ」と。  
 最近では、ソ連が解体した後、マルクス主義が衰えた。それまで左派あるいは左派急進派として鳴らした学者や評論家は拠って立つ足場を失った。彼らはその代わりに嫌日・反日で飯を食っている。こういう連中「はねっかえり左派」が国立大学とNHKにいる。国と視聴者に養われる身でありながら。                    (完)


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