2014年3月20日木曜日

#110 ああ、オリンピック!――その陰の面を年寄りが語る

 ソチで開催されたオリンピックもパラリンピックも過去のことになり、やっとメディアで報道されることがなくなりました。 みんながオリンピック、オリンピックとはやし立てると、その陰になる面が見落とされるものです。
 私はこれを書きたいと思っていましたが、今回、年寄り数人の意見をまとめてみました。時流に逆らうのでもなく、年寄りの臍が曲がっているわけでもありません。 若者諸君は反感を持つかもしれません。

オリンピックに対する年寄りの意見集  

 「女子フィギュアスケートでは浅田真央がショートプログラムでミスを重ねたが、あんなのは今まで見たことがないな」
 「オレは毒をもられたか、食べ物に睡眠薬を入れられたのではないかと疑っている」
 「ハッハッハ、なんたるユニークな発想だな。しかし、キムヨナムはオリンピック村から隔離されてホテル住まいさせたのは警戒心からなのか?」  
 「ペアとダンスはどこが違うんかいな。オレにはよう分からん」
 「一体、あんなのがスポーツなのかい?綺麗な衣装を着て音楽に合わせて踊る競技はフィギュアスケートだけだな。ありゃショウだよ」  
 「韓国がメダル取りに集中強化するショートトラックも面白くないな。スピードスケートの魅力がない。オレはフライ級スケートと呼んでいる」
 「小柄な選手が有利だからか?10ヶ国かそこらしか参加しない限定競争や」
 「そう、長野オリンピックで知事が水澄ましみたいと言って非難を浴びた。中国と韓国には格好のメダル取り種目だな」

 「あのバイアスロンで距離スキーと射撃の組み合わせは時代錯誤やな。日本選手は男女とも自衛隊員だが、80位とかみんな最下位。選手も本当は出たくないだろう」
  「バイアスロンは戦争ごっこだな。陸軍兵士が戦場をスキーで駆けながらライフル射撃をする種目。上位はフランス以北の国の選手ばりだ」

 「金が足りない、足りないと言うんだから、シーズン毎に設備を整えなければならないリュージュのそり競技を日本はやめた方がいい。50位とか80位なんてなんで代表に送るの?」
 「ほかにもあるよ。始めから上位に入れる見込みがない種目。ボブスレーとかスケルトン。高価な乗り物に乗って1/1000秒を争うなんて競技じゃないよな」  

 「モーグル、ハーフパイプ、それにオレは知らなかった種目のスロープスタイルなど審査員が点数をつける種目もピンとこないな」
  「アメリカではハーフパイプの競技は、スキー板やボードのほかに自転車を使う種目もあるよ」   
 「オレは人が採点する種目は好かん」 

  「10ヶ国しか参加しないカーリングも退屈やな。長野オリンピックから正式種目になって人気があるらしい」
 「読みや戦略が必要で氷上のチェスなんて呼ばれるそうだが、読みと戦略はどの団体競技にも必要で、カーリングに限ったことじゃない」
  「カーリングがオリンピック種目なら、夏のオリンピックにボーリングやペダンクがあってもおかしくないわな」  
 「ありゃ、スポーツじゃなくて遊びだな」  
 「そんなことを言えばほかにも遊び種目はいっぱいあるよ」  
 「ここで評論家先生の出番か。もともとオリンピックは遊びだったんだ。アメリカで読んだ本によると、それも金と暇がある貴族あるいは上流の紳士たちの間でな。だから彼らは郵便配達人や鉄鋼労働者など労働者階級は肉体プロとして排斥していたんだよ。これがオリンピックの崇高なアマチュア精神だった。我々は学校教育でオリンピックの表だけを教えられた。 その後、オリンピックはまともなアマチュア競技に進歩したが、ロスオリンピックで商業主義に変質して主催者が儲かるショウになった。今は冬季オリンピックに絞ると、17日間の大イベントに仕立てるためにどんどん競技種目を増やさなければならないのさ」

スポーツ選手の認知渇望症  

 滞米生活中に、町の親しい友達と会食した時のこと。ボクシングヘビー級の元王者、ムハメッド・アリが2度目の現役復帰をしたことが話題になった。
 「彼はね、人に忘れられることがたまらないので、またしてもテレビに出してほしいのだろう」
 「みんな元有名人はそんなものだろう」と友達。
 私はしばらくの間、これを「ムハメッド・アリ病」と呼んでいたが、批判的な意見があったので「認知渇望症」に変えた。
 マスコミも世間も「夢を持て」と煽りたてる。それでなくても、オリンピックを目指す若者が増え続ける。表の面を言えば、競技団体は底辺が広がるとして喜ぶ。他方、裏の面に目を向ければ、わずか1%にも満たない勝者を除いて多数の選手たちが夢をあきらめさせられる。そして、スポーツには集中できても勉強や仕事には根気が続かない不幸な人間をわんさかつくっていく。その後には長い人生がある。大事なことは、選手生活は一時の夢だったとさっさと忘れ、本番の人生に向き合うことだ。
 選手諸君、テレビ出演を求めず、認知渇望症にかかるなよ。普通の生活にはエキサイティングもない、大それた成功もないかもしれない。その代わり別の地味な夢を持てるかもしれない。              (完)

追記。大阪市長選。3月23日、投開票の結果、橋下市長が再選された。予想された通り、投票率は史上最低の23.6%で、橋下市長の得票数はたったの38万、この中には大阪都構想も分からない市民の橋下人気票が含まれるから、大阪都に賛成する市民はわずかだろう。
 橋下市長さん、大阪都構想は敗れたり!大阪市、大阪府の改革にはいっぱいやるべきことがある。どうか大阪都構想と心中しないでほしい。
 
 
 


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