2014年1月8日水曜日

#106 ブラック企業と移民ーー「若者世論ネット」の戦果

 諸君たちがやった! 世の中を変えたのだ。  それは諸君たちが自らの劣悪で不当な労働条件を訴えるために、インターネット上でブラック企業の名称を使い始めて摘発したことです。そして、厚生労働省が動き始めました。 
 私が「若者世論ネット」を提唱するよりもずっと前に、若者たちがインターネットによってお互いに呼応し、緩やかな連帯をつくっていたのですね。 これこそ「若者世論ネット」です。

 
  さて、昨年12月には本稿を一つも書けませんでした。一ヶ月間も穴をあけたことは初めてのことです。 その間、病気ではなかったし、体調も悪くなかった。炬燵でちびちびと酒を飲み、うたた寝。雑誌と本棚の古い本を読む。ただ書けなかったのです。発想はいくらでもあるのに、いざまとめようと思ってパソコンに向かうと気が乗らなかったのです。長く執筆していると、こういうブレーキは時たまあることですが、今回のブレーキは長かった。昔、会社の仕事でも不調の時期がありました。諸君も経験しているかもしれませんね。 正月が明けてようやくトンネルを抜けました。

  ある日、小説のほかにブログの執筆が時に重荷だと漏らすと、友達から「大して読まれていないのやから、止めてもっと老後を楽しめばええ。なんのためにやっとるんや?」と言われました。「それはな、オレの遺書にするからや。こつこつと書き、こつこつと金を貯めて自費出版をする。その時には寄付してくれ」と答えました。これは本気です。
 オレの志はまだまだ、おっとどっこい生きている!

「ブラック企業」とは?  

 新聞の記事によれば、ブラック企業とは「長時間勤務やパワーハラスメントなどで過酷な労働を強い、若者を精神疾患にしたり、退職に追い込んだりする企業。新入社員を大量採用した上で選別し、パワハラを繰り返して多数を辞めさせることや、低賃金で長時間労働をさせ、追い詰められた若者を使い捨てるのが特徴的なやり方」と要約されている。  
 雇用の問題は、たとえ雇用側に不法行為があっても雇われている側には雇用主に直接改善を求めることは難しい。労働基準局や弁護士に相談すると、調査に入ってくる過程で誰が訴えたのかばれてしまう。中小企業も零細店も労働組合とは縁がない。なにしろ、労働組合の組織率はたった17%で頼りにならない。だから退職するしかない。
 今の若い者は我慢が足りないと批判することはお門違い。これからは「若者世論ネット」がものを言う。労働条件があまりにひどい場合には、匿名か仮名でほかの若者に情報を流すことは有効だ。雇用主の名前と立地名を書こう。不運に遭っている諸君も、今しばし仕事で忍耐してほしい。

ブラック経営者は無くならない  

 現実を見れば、不当な労働条件で人を雇用し、やっと生きている中小や零細の企業は少なくない。「まともな条件では人を雇えない」という言い分もあるだろう。  しかし、今、雇用の需給が均衡してきて、その上に法の監視が強まれば彼らブラック経営者には困難な時代になる。おそらく非正規やパートタイムの雇用を増やして生き残ろうとするだろう。
 今また政府は人手不足に対処するために、外国人労働者の受け入れを考え始めた。バブル期に日系ブラジル人を中心に大量の外国人労働者を入れたが、今も35万人もの在住者が残っているという。3Kの過酷な労働に耐えてきた人たちだ。彼らが多く住む町では、自治体は大変な重荷を今も背負っている。彼らの子供たちの教育支援に多くのボランティアが貢献している。
 政府は前回の外国人受け入れから何を学んだのか?  今度は若者労働者に代わって、ブラック経営者は彼らを雇うだろう。すでに研修の目的で来日した外国人を、研修は名目だけで安い労働力として使っている。  諸君の雇用機会を脅かすことになるかもしれない。どう考えるか?

◇ 諸君に何ができるか  

 アメリカ政府はTPP交渉で日本政府を押しまくっているが、アメリカが圧倒的に強い農業も、実は合法非合法移民のメキシコ人労働者を抜きにしては成り立たない。いくら機械化されても補助的な労働者を必要としているのだ。移民労働者はいくら働いても農地を持てない。
 ヨーロッパの先進国でも、外国人労働者を二等市民にして産業が成り立っている。アメリカのメキシコ人の農業労働者に比べれば、自営の機会が多いかもしれない。 日本も例外ではなくなるだろう。
 話は飛ぶが、関西にある女子プロ野球リーグの選手は、将来に備えて試合がない時に職業訓練を受けている。野球はいずれ引退することになり、就職を考えなければならない。そのためにパソコンや経理などを勉強している、
  私が諸君に言いたいことは、不遇が会社のせいなのか、仕事のせいなのか、区別して考えてほしいことだ。上述の三つの例では将来の展望が開けにくい。しかし、ブラック企業でもその道のプロになれるなら、転社(転職ではない)の準備ができるまで簡単にやめない方がよいかもしれない。本稿#18の「嫌な上司」を読んでほしい。     (完)


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