2013年5月3日金曜日

Long and Winding Road to China Democracy


#91 「ちょっと見」と「中国プロ」――事実に表と裏がある

 
 
 「百聞は一見に如かず」と言われます。確かに聞く情報の危うさに比べると自分の目で見ることは確かな面があります。それでも一見にも誤認が伴います。
 さて、前回一見に基づいて上海について書きました。偏見や誤認があるかもしれないと思い、I氏に確認を求めたところ、下記のようなアドバイスをもらいました。敢えて前回に訂正をしないで、そのまま転載することにしました。

 諸君は私の「ちょっと見」と、上海に長年生活する「中国プロ」の違いを知る上で参考に供します。昔、アメリカにちょっと行ってアメリカを語ることを「アメション」と言いました。この言葉と語源を知っていますか?

 
   I氏からのアドバイス 

    「英語ができる人も居る」「日本語ができる人は滅多にいない」のが実態で、外国語資格を持っている人たちは、ホワイトカラー(白襟族)として外国関係の業務に従事していることが多いようです。
  自己顕示欲の強い人が多いので「日本人に英語を分からないフリをする」ことは少ないと思います

    領事館前のレストラン;中国人オーナー経営の日本料理店がはやらなかったので、別のオーナーが四川料理店を開業。単純な淘汰だと思います。

    領土とアヘンは中国人にとって150年の悪夢に繋がるもので、とりわけ中華が東方の



倭人(小日本人)にやられたことは、中国人全般にマグマのように長く残るだろう、と昨日の大手メーカー総経理+コンサルタント会社の有名人との会合で意見が合致しました。
表面化がヌルイ温泉程度で済む処、火山のように爆発する処・・・現象は様々でしょうが心の底のマグマには常に注意しています。
親日と見られる人も島の問題では一歩も譲りません。

  農村戸籍にしばられ、移動の自由が無かった時代に比べて、改革開放政策で、移動が黙認されたのは大きな変化です。その後、安価な労働力として、徐々に都市政府や国家に認知され、遂には法律で定住が認められました。
教育・医療などの差別も残りますが、代を重ねながら「上海人」になっていくのでしょう。今の「上海人」も浙江・江蘇からの出稼ぎ定住者が代替わりして都会人の顔をしているだけとも感じます。
国内の華僑現象と呼んでよいかもしれません。
 
   中国政府との外交がおかしい

 一昨年になるか、当時民主党の小沢一郎議員が子分の国会議員を100人以上も引き連れて北京詣でをした。胡錦濤前主席に一人ずつ握手をし、喜々として記念写真におさまる姿は朝貢訪問のイメージそのものだった。今でもぞっとする。
 自民党政権の今も、日中交流議員団、高村副総裁、防衛局長の訪問が相次ぎ行われようとしたが、中国政府によってすべてキャンセルされた。
 諸君はここで、おかしいと思わないか?

 日中政府間の対立は両国の問題であり、日本側が一方的に責任を負うわけではない。にもかかわらず、中国側からの日本訪問は一つもない。これでは朝貢外交の続きではないか。
 どういうわけか、日本のメディアはこのおかしさを取り上げない。
 日中対立による経済への打撃は両国の痛み分けである。おそらく中国側に痛みが大きい。これからじわじわと利いてくる。当分の間、日本政府は中国への働きかけを止めた方がよい。「押さず、押されず」でじっと耐えるのも外交だろう。

 先日、中国の駐米大使が、「尖閣問題はすべて日本が一方的に起こした問題」と発言したことが伝えられた。うーん、彼らの論理は分からんなあ。
 もとはと言えば、長年問題としてあったが、昨年9月にウラジオストックで開催されたASEAN会議中に、すれ違いになった胡錦濤主席が野田首相に「尖閣を国有化しないように。さもなくば大問題になるぞ」と脅しをかけたことから問題が表面化した。喩えはよろしくないが、中国組の胡組長が日本組の野田組長に対し、「あのシマには手を付けるな」と言ったいうことだ。
 野田首相は胡組長に逆らってシマを自分の組のものにしたから、胡組長は面子をつぶされたから反攻に出た。日本のテレビ番組では、中国は面子を重んじる、と分かったようなことを解説する出演者がいた。どこに面子を重んじない国があるのか?

   中華思想を中国人は信じているのか

 中華思想の弊害を指摘する意見をあちこちで見聞きする。私は中国政府が内政統治の政治目的にしていると思っていたが、どうももっと国民の間で広がりがあるらしい。民族(漢民族)の優越を説く中国政府のキャンペーンは人に説得力があることは分かる。なぜなら民族の優越を説いて国民を躍らせた例は過去にいくつもあるからだ。
 例えば、ドイツのヒットラー政権はアーリア民族の優越を説き、その結果ユダヤ人を排斥した。最近ではセルビアにおいてセルビア人の優越意識からコソボなどの異民族を圧迫し、民族浄化を行った。ほかならぬ日本でも戦前は大和民族の優越を謳った。
 民族の優越意識は自国民に受けるがゆえに危ない

 ひょっとすると、歴代の中国政府要人は小学校時代から中国古典と毛沢東思想の教育を受けて、外国の著作を読まなかったなら、これが中国政府の勝手な論理に通じているのかもしれない。
 かつて日本政府の首相などが訪中した時、中国政府の要人が中国故事を持ちだし、その知識の程度で人物定めをしたという話を聞いたことがある。世界の文化の中心が中国にあると信じる彼らの中華思想の表れだろう。
 ある学者によると、中華思想は2100年も前の華(または夏)王朝時代から「華夏」教育が行われ、これが中華思想の始まりだという。 

  富山と大連の関係について補足

 前稿で富山と大連の関係について何かあるのだろうか?と書いた。
 早速、読者の友人からメールが入った。彼によると、富山県と大連がある遼寧省とは友好提携をしており、もう37年も前からだそうだ。両県省の間では政府要人、民間人、留学生の交流がある。
 私が「国際地方化」の言葉を提唱した10年も前のことだ。

                 (完)

   


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