2013年3月4日月曜日

#87 日本語はこれでいいのかーー政治家は模範たれ

 ちょっと小うるさいことを書きます。  
 最近の口語日本語の乱れがひどくなっています。元凶はテレビ番組にあると思います。そのためみんなが真似をするようです。  
 日本語を軽く考えてはいけません。日本語は教養の原点であり、日本の文化の基礎と言ってもよいのです。幸いなことに、新聞や雑誌の活字日本語では正統日本語がよく守られています。
 日本語の会話は自由なものでなんでもええ、という意見もありますが、基本的には私もそう思います。ただし、話し言葉にも私的なものと公的なものがあり、区別しなければなりません。なぜなら、公的日本語は私的な輪を超えて多数の他人に聴いてもらわなければならないからです。  
 昔、日本語を勉強したアメリカ人がぼやいていました。「日本に来て日本人が話す日本語は習ってきた日本語とはまるで違う」と。アメリカでも若者やスポーツ選手などが話す英語が基本の英語から離れていることはあります。と言っても、日本語ほど話し言葉と書き言葉が違うことはありません。  
 模範にできない日本語を話し、広まることに影響力がある人たちには責任を持ってもらいたいものです。

  ◇ 政治家の日本語

 鳩山元首相。「~をさせていただきます」の謙譲語、つまりへりくだって相手を尊敬する表現と言われるが、彼の場合は基本から外れている。「歌わさせていただきます」とか「~の役をやらさせていただいています」とか、女性芸能人が常用している。政治家なら「~をします」で決意をはっきりした方が適切。
 管元首相。「ある意味では」とか「いい意味では」とか、文脈に照らして意味がない飾り言葉が多かった。  
 麻生副総理。首相時代に「なりますんで」とか「思いますんで」とか、国会答弁でも記者会見でも本来「の」というべきところを「ん」の一点張り。
 前原元民主党代表、元国交大臣。「ダムというものは」とか「政策というものは」とか、なんでも「というもの」を付ける。本来「そもそも~というものは」のように偶に使って強調のニュアンスを出す表現。  
 安倍首相。「~だろう」とか「~であろう」とか、「~だと思います」と意志を表現すべきところを推測の表現に聞える。また、彼は「えー」というつなぎの雑音が多過ぎる。アメリカの政治家は訓練して雑音を入れない。  小沢生活の党代表。雑音に関しては彼の右に出る政治家はいない。「あー」、「いー」、「うー」、「えー」、「おー」と雑音すべてを使う。偉過ぎて誰も注意しないのだろう。  
 渡辺みんなの党代表。「アジェンダ」とか「レジームチェンジ」とかカタカナ英語を多用する。agendaは会社の会議で「今日の議題は」と使うように議題のことで、彼はpolicyのつもりで使っているのか。有権者に意味が伝わらないカタカナ英語は意味がない。
 その他政治家。引退した政治家は「そんなアバウトな話は~」のようにアバウトをよく使った。aboutは前置詞だから形容詞のように使うのはおかしい。「そんな概略の話は~」と使うべき。多用される「~イコール~」というのもおかしい。equalは「等しい」、「対等な」という意味であり、equalではなく「同様に」とか「同じく」とかの日本語が正しい。  
 そうでなくともいい加減なカタカナ英語が乱用されている中、政治家は襟を正すべきだ。 「政治家の日本語を見習うな」と言われるようになったらお笑いにもならない。

芸人の日本語

 NHKのFMラジオで朝のクラシック音楽を聴いている。昨年まで歌手と落語家のしゃべりが音楽の間に入っていた。この落語家、なんでも「とか」と「みたい」を言葉の後ろに乱発する。その耳障りなこと。辟易していた。
 ある日、友達に議論をふっかけてみた。
 「ほら、真面目な番組に芸人を出して面白くしようとしているが、日本語に影響を、むしろ害を与えている。どう思うか?」
 「あれで視聴率を稼ごうとしているのだろう」
 「本当にそうか?」  
 「思い込みだろう。それで変えられない」
 「芸人が流行り言葉を乱用しているのは?」  
 「仕方ないよ。彼らには芸のうちなのやから。芸人が普通の日本語をしゃべったのでは面白くもないやろ」
 私はもう反論できなかった。

女の日本語
 
 どういうわけか、女の多くが一区切りずつ語尾を強く上げて話する。例えば、「~だからア―」、「~なってエー」、「~するとオ―」という風に。これも耳障り。  他方、男はこういうしゃべり方をしない。

接客の日本語

 新幹線の中でコーヒーを買う。席の前のテーブルに300円を置くと、売り子が「こちらの方からいただいてよろしいですか?」と言う。私は腹の中で、「当たり前だ。ほかにどこにある?ありがとうございます」と言えばよいのだと思う。
 レストランのレジで支払いをする。「の方から」、「いただいてよろしいですか」と言われる。  市役所でも「印鑑をいただいてよろしいですか」と言われる。
 こんなマニュアルをつくって教育している管理者が悪いのだ。もう毎度のことで彼女たちを責めても仕方がない。                              (完)  


Back to TOP  

0 コメント:

編集

Back to TOP