2011年10月4日火曜日

ネット月刊誌『言論大阪』#18,10月,2011  関西の電力危機はこれからーー関西はどうなるのか?

 前回#17「大阪人の節電3.8%」で関西電力の停電対策について書いたのは9月14日でした。偶然にもその翌日、韓国では予告なしの大停電が起きました。今回はこれから書くことにします。

◇ 韓国の大停電 
 電力使用オーバーで突然韓国全土にわたり大停電が起き、復旧に5時間がかかった。平日の午後3時半のことだったから、企業から家庭、交通信号、ATMにいたるまで被害が広汎に及んだ。
 韓国では発電と送電が分離されているが、どちらも公社、つまり国の機関だから、政府は損害賠償をすると発表した。読売新聞など日本の新聞が報道した。
 電力公社は大口需要家に自主節電を呼び掛けていたというが、関電の例ほどには官民一体の徹底がなかったようだ。私が思うに、韓国は日本の政治や先端技術ほどには民生の情報収集を行わず、特に関電の動向には関心が低かっただろう。
 韓国の事例から、停電の復旧には5時間かかるという目安が分かった。

◇ 読売新聞大阪を叱る
 関西の節電率について、読売新聞は三つの違うデータを報道した。
 先ず9月11日の記事では「関電管内 節電率わずか3.8%
 続いて9月13日の記事では「節電浸透 家庭用電力16%減
 さらに9月23日には「目標乱立 混乱招く」という見出しの文中では、節電率が約5%にとどまった、と書いた。
 これから言えば、混乱を招いたのは読売新聞の方だ。 
 その日の大阪版の紙面を決める編集会議が行われると聞く。同じ記者が書いたのか、それとも別の記者が書いたのかは分からないが、いずれにしても三つの記事には整合性がないことに会議では誰も気づかなかったのか?近々の記事を記憶していないのか?大阪版の紙面は限られているのだから、せめて大阪版の編集をしっかりやってもらいたい。
 まだ新聞が伝えないことがある。例えば、万が一停電が起きたら緊急節電をどうするのか?そのまま電力供給を復帰したら遮断回路が再び飛ぶからだ。テレビ番組は後追いばかりで、出演者にも信を置けないので、私は新聞を頼りにしている。後追い報道だけではなく、先を読むことも新聞の使命だろう。
 私は滞米時代を含めて読売新聞の読者である。時々保守偏重の記事があるが、中道保守のバランスを評価し、朝日新聞など他紙はインターネットの要約版か、図書館で読む。
 かつて滞米時代にシンポジウムの基調講演講師として招かれたことがあり、全国版には「論点」に3回採用されたことがあるので、恩義の気持ちもある。読売月刊誌にも長い論文を2回掲載してもらった。かつて東京本社の親しかった知己はみんな定年退職されてしまった。

◇ 関西の電力危機はこれから
 関電は11基の原発を持っている。現在このうち7基は定期検査中か運転待ちで動いていない。さらに来年1月には残る4基も定期検査に入るので、全基が止まると言われる。
 総発電力の半分以上を原発に頼る関電にとって死活問題だ。それどころか企業から家庭にいたるまですべて影響を受ける。
 原発問題については「若者塾」#57と55で書いた。批判も受けたが、冷静になって現実を直視してほしい。
 東電の原発事故から余りにも大きな犠牲が生じた。しかし、これにより各電力会社の安全に対する緊張が生まれた、各社の社内改革も進む、産官学の利権集団と化した原子力ムラも解体される、など原発の安全性が高められることになった。
 関電による節電要請は技法においてまずかった。その一方で彼らなりに危機感を持って対処し、今回は最悪の事態を回避した。
 問題はこれからだ。まだ現実に電力危機がある限り、関西に新たに雇用を作り出す企業の進出は望めない。私が本稿#4で提唱しているように、八尾空港が伊丹空港に移転した後の跡地を企業に売却することも困難になっている。
 原発について諸君はどう考えるか?関西の市民はどう考えるか?

《情報交流》
 関西経済同友会が、御堂筋に自転車道と水路を設ける提案をした。次世代の大阪をつくるのに素晴らしい提案だ。若者諸君も支援してほしいと思う。
 もう一つ欲をかくと、御堂筋のどこかからなにわ筋に抜ける自転車道をつくり、梅田公園まで走れるようにしてほしい。梅田公園は「うめきた」に代わる名称で、本稿#13で詳しく書いた。
 
 




 
 


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