2010年11月14日日曜日

#41 日本への移民受け入れをどうするか? ーー政府のビザ規制が弱い

 先日、日本人の血縁があるという中国人約50人が関西国際空港入国管理局事務所の審査で簡単に入国を許されました。彼らは入国するやいなや全員が大阪市に生活保護を申請して一旦認められたが、新聞報道などにより大阪市は驚き、入国審査のやり直しを求めたが、その後どうなったか?
 大阪市は脇の甘さを突かれて、生活保護者の申請増加に悩まされています。市民20人に一人の生活保護者を抱え、それでなくとも財政危機にあることから、国の支援を増やすことを要請しています。実際、周辺市の行政から大阪市は生活保護を受けやすいと言って、大阪市に引っ越しすることを勧めています。それどころか、四国のある市は生活困窮者に対して大阪までの高速バスの片道料金を支給して大阪市に追い払っているというのだから、ひどい話です。
 さて、今回は大阪の問題ではなく、日本政府の移民管理政策について書いてみます。また面白くない文ですが、若者諸君の時代に大きく関わることです。

◇ 情を捨てて原則につかなければならない
 前述した中国人はみんなお年寄りであり、おそらく中国にはまだまともな福祉政策がないので、生活に困窮していたことは想像がつく。日本に来ることは最後の望みであったかもしれない。中国側にも日本側にもこういう困窮者に限らず、日本に不法移民を送る組織があると言われている。利用される困窮者は本当に気の毒な人たちと思う。
 しかし、国家の統治を担う政府は、法律に従って厳しく原則を貫かなければならない。原則とは、内戦などによって国外に逃げなければならない内戦難民と、政治活動によって命を脅かされる亡命者を除いて、経済的な理由による経済難民を受け入れないことだ。これは国際標準である。
 一つ厳しい例を挙げよう。
 私がアメリカ生活中、1990年代の始めであったと思うが、アドリア海先端の海峡と100キロしか離れていない(韓国と九州の間は150キロ)アルバニアからイタリアに4万人もの経済難民が、何隻もの船で押し寄せたことがある。当時、アルバニアは共産主義の時代が終わり経済が混乱状態にあった。  
 ところが、イタリア政府は彼らをサッカー競技場に収容した後、全員をアルバニアに追い返した。メキシコからの難民に悩まされるアメリカでは注目されて新聞やテレビがこのように報道した。
 そのアメリカでは政府は移民原則を適用し、厳しく取り締まっているが、何しろ陸続きの国境は2千キロを超えるので限界がある。メキシコからの不法移民は1千万人を超えると言われる。

◇  日本への留学生増加の功罪
 今、日本に大学と日本語学校を含めて中国からの留学生が13万人に達し、このうち1万人が日本で就職すると言われる。
 なぜこんなに多くの中国人が留学ビザから就労ビザに変えて日本で働けるのだろうか?日本の大学を卒業すれば、同じ教育を受けた日本人卒業者と変わらない。母国語を話せるという違いはあるかもしれないが、それなら中国語に堪能な日本人学生と変わらない。
 アメリカの大学を卒業した日本人の中で、アメリカで就職したい留学生に対してはアメリカ政府は就労ビザへの切り替えを厳しく規制している。そのまま働けるのはインターンシップ制度で1~2年の限定期間だけだ。どの国の留学生に対しても同じ。
 日本企業は日本で経験を積ませた後、中国事業のために中国子会社で幹部として勤務してもらうことを意図していることがあるのかもしれない。インターンなら良しとしても、それでも1万人は多すぎる。就職難に苦労している日本人学生の就職機会を奪っているのではないか。不況期にはアメリカでは外国人雇用に対して強い反対運動が起きた。このような反対は日本ではまだ聞いたことがない。
 日本政府の規制、つまり原則適用が甘いのではないか?
 もう一つの問題は、多数の中国人留学生をすべて幸福にはできないことだ。むしろ多くは苦労が報われないまま、中国に帰ることを余議なくされる。彼らは帰国後反日派になるかもしれない。私が知ることで、アメリカで満足した処遇を受けた日本人は帰国後に親米派となり、そうでない場合には反米の感情を持ちやすい。
 日本への留学生、そして移住者も他国を知らず、他国ならもっと苦労したかもしれないという発想を持たない。だから日本批判に傾きやすい。
 日本政府の安易な留学生増加の旗振りは危ない。このことを認識してもらいたい。

◇  日本も移住天国になりかねない
 どの国でも国が必要とする専門職の人材を受け入れているが、一般職の人材は移住を制限している。例外はある。
 例えば、1989年に日本政府は人手不足を解消するために、法律を改正して日系ブラジル人労働者の受け入れを認めた。言葉と低賃金の問題を抱えて、その後本国への帰国者が出た。地域住民が彼らに支援の手を尽くしても、今は就職機会がない日本人が多いのだから仕方がない。政府の施策には限界がある。
 それでも外国からの移住者はこれからも増えるだろう。
 特に中国からの大量移民の恐れがいつか現実化するだろう。国内統治に難事をかかえる中国政府の努力にも限界がある。
 ひとたび混乱が起きれば、移住先として狙われるのは、台湾、ベトナム、韓国、日本の近隣諸国になるだろう。台湾の友達によれば、言葉の問題がない台湾には、すでに10万人の不法移民がいる。日本が移民天国のように憧れの国である話がこれからも流布すればどっと日本に押し寄せるかもしれない。
 日本政府は当然考えているだろうが、イタリア政府のように決断できるかどうか。
 若者諸君、これはキミらの時代の問題なのだ。


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