2016年3月11日金曜日

#155 世界各国の国難と日本外交

  日本政府は確かに多くの外交と内政の課題を抱えています。それでもまだ国難というほどではありません。安倍首相はしばしば「次世代のために」という言葉を使い、実際、次代の日本のために手を打とうとする政策を掲げ、実行に移そうとしています。
   他方、世界各国は将来について考える余裕がないほど目前の問題に振り回されています。日本は今のうちに腰を据えて国の将来について手を打つ時です。今は我慢比べの時代です。
  諸君、何かを得るためには我慢が要る。諸君の次代のために。

◇ 韓国は知っていた。

  3年前に朴大統領が就任した時、「加害者と被害者の歴史的立場は千年の歴史が流 れても変わらない」と発言した彼女が急に日本との関係を改善する姿勢に豹変した。接近を試みた中国政府から軽くあしらわれて成果がなかったとか、アメリカ政府にフレーキをかけられたとか識者の分析をメディアは報道したが、それだけではないだろう。
 私は韓国政府が北朝鮮の核実験を事前に知っていたと推測している。あの強力な韓国情報機関なら、正確な時期は特定できなくとも、迫っていることは情報入手していただろう。国家の安全を脅かす事態に直面して日本との関係を修復する必要に迫られたのだ。これでやっと彼女の豹変を理解できる。
 そこで、慰安婦問題。醒めて考えれば、韓国政府が慰安婦問題を日韓関係の最大の課題としてきたことは信じられない。韓国の経済界もそう思うだろう。韓国政府は先の外相会談で慰安婦問題にけりをつけ、慰安婦像の撤去を約束した。しかし、彼女が自ら煽ってきた反日世論が障害になって像の撤去は進まない。日本大使館前の像は公道に設置されて違法であるのに、韓国政府は撤去できないと言っているのは信用できない。
 日本政府は国際世論に事実を伝えていくしかない。日本外交には問題というほどではない。国連も国際世論の反日には我慢すればよい。それにしても、常のことではあるが、なぜ国連も東京の欧米特派員は事実を曲げて日本に不利な情報しか流さないのか?

◇ 英国政府の苦難

  ヨーロッパ各国が直面している苦難について、英国を一つの例として挙げてみる。  スコットランドの独立をめぐる住民投票に対し、辛うじて切り抜けた後、今度はEU離脱に関して揺すられている。EU域内では、例えば、ポーランドから出稼ぎ労働者が資格に関わらず入れるし、移住も自由だ。英国民の雇用機会が奪われて失業率を高める。 加えて難民が移住し、その中にテロリストが含まれる。EUからの離脱の民意が高まる背景の一つになっている。また、テロに悩まされるから外国人排斥運動が起きる。 
  最近、世界の金融センターであったロンドン證券取引所がニューヨーク證券取引所に買収されることが報道された。かつての大英帝国Great Britainの国民には反感を持たれるだろう。因みに、英国はアメリカではU.K(United Kingdom)と呼ばれる。

◇ 中国政府の苦難

  全人代で政府が施政方針を発表したが、例によってスローガンみたいなものでどれだけ実行されるか。 石炭、不動産、鉄道など万年赤字の巨大国有企業を整理する構造改革も大量の失業者を生むことになる。これらの決算は怪しい。無謀な不動産投資を続けてきた地方政府に対してどこまでメスを入れられるのか。これらの幹部は共産党員であるから、失業すれば、大衆以上の反撃を招くだろう。
  貿易の減少も経済に打撃だ。特に、中国政府は輸出と輸入の両方に関税を課すから 両方で国庫収入が減る。今は中国への海外からの新規投資も大きく減るだろう。政府が目指す6%の経済成長率は無理であり、それどころかマイナス成長を唱える日本の識者がいる。
 経済が低迷する中で、農業・ 改革や環境汚染の問題はどこまで進むのか。この10年を取ってみても、スローガンだけになっている。
 国家経済のほかに、チベット、新疆ウイグル、台湾の独立問題がある。苦難の火種だ。
 習首席は、北京では共産党と政府の権力者であるかもしれないが、国政面ではとても最高権力者とは思えない。目前の敵もいないのに、増強に無節操に金を使う海軍への権力は及んでいないように感じる。中国政府は財政に関する人材を育ててきたものの、低成長に対する経験がない。

◇ 若者諸君、メディアに振り回されるな

  日本が抱える問題は国難というほどではない。東日本震災は国難であったが、今は克服しつつある。 国の根幹体力は経済だ。G7の中でまだ経済がまともなのは日本、アメリカ、カナダくらいなものだ。巨大に膨れ上がった国債の増発もやっとブレーキがかかった。日変わりする為替レートや株価の乱高下に不安を感じるが、一ヶ月にならせば、平均値はほぼ安定している。 心配なことは、政府が「ええかっこし外交」で抑制が利かないように見えることだ。
 ヨーロッパの難民問題は、いつか中国、北朝鮮、それに韓国からの大量移民が日本に押し寄せて国難になる恐れがある。ヨーロッパのようになれば、難民と移民の区別を審査することはできそうもない。今から対策を立てておく必要がある。
 諸君、今は身を固める時だ。どんなに仕事がつまらない、処遇が悪いと思ってもベストを尽くし、少しでもいい、我慢して金を貯めることだ。経済も今に良くなるだろう。          (完)


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